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ルイン・ラグナロク  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 師の動揺
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第4話 機械の親玉

※フィルド視点です。

 広いメイン・ストリート。グールやバトル=アルファが襲い掛かってくる。私とシリカは向かってくる敵を剣と魔法でなぎ倒していく。斬り裂かれたグールや軍用兵器の一部分が、宙を舞って床に転がる。

 だが、数が多すぎる。まるでキリがない。倒しても、次から次へと湧き出てくる。


「フィルっ、うわっ!」

「シリカ!」


 シリカがバトル=メシェディに押さえ込まれる。額にアサルトライフルの銃口を押し当てられる。私は目の前に迫っていた騎士型軍用兵器バトル=パラディンの腕を蹴り飛ばす。手にしていた槍が弾き飛ばされる。それは回転し、シリカを殺そうとしていたバトル=メシェディの頭を貫く。

 シリカは自身を押さえ込んでいたバトル=メシェディを蹴り上げて、素早く体勢を立て直す。そして、すぐ後ろにいたグールを斬撃で斬り殺す。


[攻撃セヨ!]


 ……どうなっている?

 私は両腕を翼に変異させた飛行型グール――スカイ=グールを斬撃で斬り落とす。横から飛び掛ってこようとしていたバトル=ベータを衝撃波を纏った腕で殴り壊す。

 ……おかしい。


「フィルド!」


 シリカが戦いながら、すぐ側までやってくる。私は彼女に背を預け、群がってくる敵勢に向かって複数火炎弾を撃ち込む。爆音と共に地面が少しだけ揺れ、熱風がこちらにまで押し寄せてくる。


「グールと連合政府の軍用兵器はなんで共闘しているんだ!」


 シリカが奪ったアサルトライフルで、私の後ろにいるバトル=アルファやグールたちに激しい銃撃を加えながら叫ぶ。

 そう、それだ。グールと軍用兵器は仲間でもなんでもないハズだ。にも関わらず、お互い攻撃し合わない。私たちだけを狙って攻撃してくる。……共闘している。

 私とシリカは敵の攻撃をシールドで防ぎながら、死ぬものぐるいで魔法や斬撃を飛ばす。だが、いつかやられる。このままじゃ、こちらの体力がなくなる。


「パトラーっ……!」


 下唇をぎゅっと噛み締める。やるしかない。もう、運任せだ。

 私は拳を握り締めると、右腕に力を込める。黒い魔法エネルギーが集まっていく。空気がビリビリと振動する。


「フィルド、まさか!」

「シリカ、巻き添えを喰らうなよ!」


 黒い魔法エネルギーを纏った私の右腕は黒く染まっていく。グールと軍用兵器たちがすぐ近くにまで迫ってきている。だが、十分だ……!

 すぐ側にまでやってきていたバトル=メシェディが、ナイフで私の頭を貫こうとしたとき、私は黒色の右腕で、バトル=メシェディもろとも、“空間”を殴る。

 殴られた空間が歪んでいく。僅かな間の後、すさまじい爆発音が鳴り響き、一瞬、目の前が真っ白になる。私の身体も吹き飛ばされ、どちらが上なのかさえも分からなくなる。

 私の身体が壁に叩き付けられ、凹凸の激しい床に倒れる。顔を挙げれば、強力な衝撃波で、敵の大軍は勿論、天井や床、壁が音を立てながら、勢いよく崩れていた。


「クッ……!」


 私は素早く身を起こし、降ってくる瓦礫や飛んでくる軍用兵器の残骸を避ける。そんな私の側にシリカが瓦礫をジャンプ台に飛んでくる。


「パトラーが近くにいないことを祈るだけだな」

「ああ……」


 私たちは宙を舞っている大型の瓦礫を避けながら、先に進もうとする。そろそろ、魔法の威力が弱まってきた。それでも、並みの人間なら、この場にいるだけで身体が引き裂かれる。

 だが、私たちの前に、黒色の身体を持つ大型の軍用兵器が降り立つ。黒いマントを纏った大型軍用兵器だ。


「……バトル=オーディン!」


 シリカが驚き立ち止まる。バトル=オーディンは連合政府最強の軍用兵器だ。バトル=アルファたちの親玉のような存在だ。


[“女王陛下”の命令で、お前たちを排除する]

「……女王?」


 誰のことだ?


「コマンダー・ライカじゃないか? この施設の長官の……」

[消えろ]


 シリカの話が終わらぬ内に、バトル=オーディンは2本の剣を両腕に、私たちに襲い掛かってくる。私は拳だけに黒い魔法エネルギーを纏っていく。

 コマンダー・ライカは連合政府将軍だ。このルイン本部の施設長官。確かに女性で地位も高いが、……女王と呼ばれるほどか?


 シリカの剣がバトル=オーディンの剣を弾き飛ばす。さっきの私の攻撃がかなり効いているのか、バトル=オーディンの動きが鈍い。よく見れば、身体のあちこちから火花が散り、煙が出ている。半分、壊れかけのようだ。

 私はその場から勢いよく飛び出し、シリカと戦うバトル=オーディンの懐に転がり込む。黒く染まった右拳を、機械将軍の腹部に叩き込む。拳のエネルギーは、身体の中で炸裂する。

 内部から爆発を起こし、激しく炎上するバトル=オーディン。爆発が爆発を呼び、機械の将軍はバラバラになっていく。

 私は炎に包まれるバトル=オーディンを投げ捨てる。だが、そのときだった。


[じょ、ヘイカっ……! もうし、ワケっ、――]

「フィルド、行こう」

「ああ」


 私たちは壊れゆくバトル=オーディンに背を向ける。あれでも、連合政府を象徴する機械兵器だったんだがな……


[ジョ、オウっ…“女王パトラー”っ、ヘイ、カ――!]

「……えっ?」


 バトル=オーディンは力を失い、その場に倒れる。炎に包まれた機械の将軍は完全に壊れたらしく、もう言葉を発することはなかった。だが……。


「女王パトラー、だと……?」

  <<登場人物>>


◆バトル=オーディン

 ◇連合政府将軍。

 ◇バトル=アルファやバトル=ベータなどの親玉。


◆パトラー=オイジュス(人間女性)

 ◇フィルドの弟子。

 ◇実験台にされていた女性。元は普通の人間女性だったが、サイエンネット・タイプ4=ウィルスを投与され、超人的な能力を得た。

 ◇バトル=オーディン曰く「女王」だが……?

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