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ルイン・ラグナロク  作者: 葉都菜・創作クラブ
第8章 黒い夢の生還
18/23

第16話 黒い夢の脱出

※パトフォー視点です。

 冷たい風が吹くルイン本部の外。だが、相変わらず、グール共が闊歩している。俺は現れ次第、進むのに必要最低限だけ魔法と銃弾で倒していく。

 グールたちは引っ掻きと噛み付きで相手にサイエンネット・ウィルスを感染させようとする。少しでもサイエンネット・ウィルス感染者を増やそうとする本能的な行動だろう。


「意志を失ったキャリア(感染者)は惨めだな。ウィルスに操られる存在でしかない……」


 俺は衝撃弾を飛ばし、数匹のグールを弾き飛ばす。そこを突っ込んでいき、邪魔なグールを殴り飛ばしながら、先へと進んでいく。

 意志をしっかりと持った存在――魂ある人間なら、ウィルスを利用し、強大な力を得られる。だが、魂を失えばウィルスに利用されるだけになる。それがプロトからタイプ3までに共通するものだった。タイプ4でも同じだろうか? それを知るには、やはりクローンを使った実験をするしかない。

 ただ、タイプ4・ウィルス保有者は強い。あのパトラーがあれほどにまで強くなった。実験台としてクローンを無暗やたらに使うのは避けた方がよさげだな。


 やがて、俺はメイン高架橋へと辿り着く。ルイン本部の建物群の間を複雑に入り組んだ小さな高架橋から、大型ヘリポートと大型ヘリポートを繋ぐ広い高架橋だ。

 そこを歩くのは、白に緑のラインが入った装甲服を僅かに纏った人間がグール化した魔物。……あれは国際政府の兵士か?


「バカな。俺はルイン本部へ来るような命令を出していない。それにルイン本部へは来るなと命令したハズだが……?」


 ……ということはクェリアが俺の命令に背き、部隊を派遣したに違いない。あの女軍人も信用にならない。裏に誰かがいるのか、サイエンネット・ウィルスが欲しくなったか。


「国際政府に戻るのはやめた方がよさそうだな……」


 俺は国際政府兵だったグールの頭を撃ち抜く。まだサイエンネット・タイプ3=ウィルスは充満している。サイエンネット・ウィルスを保有している者――例えば、フィルド・クローンならこの程度の濃度は大丈夫だろうが、普通の人間には変異量だろう。特に死んだ人間には耐えられないウィルス濃度だ。


「国際政府に戻れぬのなら、ネオ・連合政府しかないな……」


 俺は高架橋を歩いていく。ヘリポートが見えてきた。……1機の小型戦闘機がある。白色に青いラインが入ったデルタ型の小型戦闘機だ。アレはクリスター政府所有の戦闘機か? ……まぁいい。あるなら使わせて貰うだけだ。

 そのとき、本部要塞の方から何かが飛んでくる。濃い青色の身体をした大型グールだ。なんだあの魔物は? 今までに見たことのないタイプのグールだ。


「こ、ころっ、シリ―― あッぐあッ、殺し――!」

「…………?」


 何を言っている? だが、顔つきから意識があるのかどうかは怪しいな。死ぬ直前の記憶が残り、それを基に言葉を口にしているだけか。


「い、たいよッ、あぁああぁーーーー!!」


 泣き叫ぶような声を上げる大型グール。俺は構わずにハンドガンの銃口を向け、何度も射撃する。濃い青色をした皮膚に穴が開き、血が地面に飛び散る。

 だが、彼女の姿が一瞬にして消える。次の瞬間には彼女は目の前に現れ、大型の爪で俺の身体を切り裂く。俺は血を吐きながら、弾き飛ばされ、高架橋の鉄柵に叩き付けられる。


「な、なんだ、この強さっ……!?」


 今までのグールとは比にならないほどの強さを誇っている。まさか、これがサイエンネット・タイプ4=ウィルスによって変異し、完成したグールだというのか?

 俺は片腕を上げ、電撃をほとばしらせる。青色の電撃は、強大な力を誇るグールを襲う。グールは悲鳴にいた叫び声を上げる。


「シリ、カ、あぐッ、おぉオッ!」


 シリカ?

 大型グールは攻撃に耐えきれなくなったのか、その場から飛び出し、ルイン本部の方に向かって消えていく。

 シリカはクリスター政府のクローン軍人だ。あの小型戦闘機に乗ってやってきたのだろうか? そして、あのグールと対峙したのだろうか?

 ……そういえば、あのグール、なんとなくコマンダー・ライカに似ているな。あの愚かなクローンだとしたら、かなりの進化ぶりだ。


 俺は小型戦闘機に乗り込む。あのグールも気になるが、まずはルイン本部からの脱出が先決だ。いずれ、ネオ・連合政府の本部要塞で実験してみれば分かる話だ。





 小型戦闘機がゆっくりと浮き上がり、ルイン本部を背に飛び立つ。すでに日が昇り、夜は明けていた。空が青くなり、雲が白色に変わっていく。

 ルイン本部から遠ざかり、遥か後ろになったとき、その巨大な施設は一瞬の閃光と共に木っ端微塵に吹き飛ぶ。その衝撃はすでに遠く離れたこの小型戦闘機にも伝わる。

 俺は小型戦闘機を操作し、ルイン島の遥か南――ネオ・連合政府の支配地であるハーピー諸島へと向かう。その心には、確かな憎しみと決意が渦巻いていた――。

  <<タイム・ライン>>


◆2/15 19:27

 ◇完成体(パトラー=オイジュス)が暴走。

 ◇コマンダー・ドロップが殺害される。


◆2/17 01:17

 ◇パトラーとアレイシアが出会う。


◆2/17 02:21

 ◇コマンダー・ライカがパトラーとアレイシアに襲われる。


◆2/17 20:47

 ◇パトラーの師フィルドと、シリカがルイン本部へと乗り込む。


◆2/17 23:34

 ◇フィルドとシリカが怪物化したコマンダー・ライカと出会う。


◆2/18 01:41

 ◇ヒライルーがルイン本部をサイバー攻撃で制圧する。


◆2/18 01:48

 ◇ビリオン=レナトゥスのクローン精鋭部隊が、連合政府最重要シールド・メモリ回収のため、ルイン本部に侵入する。


◆2/18 02:52

 ◇フィルドとパトラーが再会する。


◆2/18 03:01

 ◇ビリオン=レナトゥスのクローン精鋭部隊が連合政府最重要シールド・メモリを回収し、ルイン本部を脱出する。


◆2/18 03:19

 ◇パトラーの記憶が戻る。


◆2/18 04:41

 ◇フィルドらがルイン本部から脱出する。


◆2/18 05:12

 ◇パトフォーがルイン本部からの脱出を目指し始める。


◆2/18 05:41

 ◇パトフォーがルイン本部から脱出する。


◆2/18 06:00

 ◇ルイン本部が消滅する。


◆2/19 09:18

 ◇「ビリオン=レナトゥス」がサイエンネット・タイプ0=ウィルスとサイエンネット・タイプ5=ウィルスの開発を始める。

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