表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルイン・ラグナロク  作者: 葉都菜・創作クラブ
第8章 黒い夢の生還
17/23

第15話 黒い夢の復活

※パトフォー視点です。

 ――EF2015.02.18 05:12 【ルイン本部 サイエンネット研究所】


 鳴り響く警報音の中、俺はゆっくりと立ち上がる。胸が酷く痛い。意識がまだ朦朧とする。ここはどこだ?

 大きな薄暗い部屋。割れた円柱状の水槽が並んでいる。……そうか、ルイン本部のサイエンネット研究所か。

 ……思い出した。俺はサイエンネット・タイプ4=ウィルス完成の報告を受け、コマンダー・フィンブルと共にこのルイン本部へとやってきた。だが、パトラー=オイジュスが急に目覚め、俺は彼女に――


[ルイン本部の自爆装置が起動しました。残り48分で施設を消滅させます]

「…………!?」


 自爆装置だと? 誰が起動させた?

 俺は部屋に設置されたメイン・コンピューターに近づき、データを回収しようとする。せめて、サイエンネット・タイプ4=ウィルスのデータだけでもあれば、ネオ・連合政府か国際政府に命じて、再びウィルスを創り出せる。

 だが、コンピューターに表示された文字は予想しないものだった。


『指定のデータは存在しません』


 バカな! 誰がシールド・メモリを引き抜いた!? ……いや、犯人は大方、ヒライルーだろう。あの女がやりそうなことだ。

 だが、サイエンネット・タイプ3=ウィルスまでのデータならネオ・連合政府や国際政府の施設にもバックアップ・データがある。それを使い、もう一度、サイエンネット・タイプ4=ウィルスを作るしかない。

 俺は懐に装備したハンドガンを手に、その場を離れる。もはや、この施設に用はない。一刻も早く脱出するだけ。


「パトラー、ヒライルー…… この怨みは忘れないぞ……!」


 俺はサイエンネット研究所の扉を開け、廊下に出る。さっそく、呻き声と共に何かが走ってくる。グールと化したクローン兵たちだ。


「邪魔だ」


 俺はハンドガンの銃口を前にし、彼女の頭を一撃で撃ち抜く。醜いその身体は弾き飛ばされ、血を床に撒き散らす。

 だが、その後ろから別のクローン兵が飛んでくる。両腕が翼と化した飛行タイプのグールだ。俺はハンドガンの銃口をやや上に向け、首を正確に撃ち抜く。その身体が俺に向かって落ちてくる。


「所詮、グールになっても使えないザコか」


 俺は軽くその身体を避ける。地面を転がる死骸。俺はそれを背にルイン本部の施設を進んでいく。あちこちに軍用兵器が転がっている。機能が停止しているようだな。

 クローン兵たちは、サイエンネット・タイプ1=ウィルスに半適合したフィルドをベースに創っている。施設に充満したサイエンネット・タイプ3=ウィルスや、ここには置かれていないサイエンネット・タイプ2=ウィルスを加えて創られたクローン兵も多くいるが、やはり直接にウィルスを取り込むと、グールと化すらしいな。


「ただのクローン兵がサイエンネット・タイプ4=ウィルスを取り込んだらどうなるか……。それも見てみたいものだな」


 俺は向かって来るグールたちの頭を撃ち抜きながら呟くように言う。タイプ4・ウィルスなら、恐らくは少しは使えるグールが出来るのではないか?

 廊下を進んでいると、腹が膨らんだグールたちが現れる。生物兵器繁殖用のクローンがグールと化したのか。

 生物兵器繁殖用として使われた俺への憎しみか、低い呻き声を上げながら、彼女たちは衝撃弾を飛ばしてくる。それを軽く避ける。再びハンドガンの銃口を向け、容赦なく発砲する。銃弾は彼女たちの額を貫き、その身体を床に伏せさせる。

 だが、その腹だけが激しく動く。黒く硬くなった皮膚を引き裂き、中から小さな子どもぐらいの体長をしたグールの容姿に類似した魔物が現れる。生物兵器アサシンだ。生きていたのか。


「開発コストや生産コストを考えると、もはや量産は難しいな」


 俺は小さな身体で飛びかかってくるアサシンを空中で撃ち殺す。元は魔法をも使える生物兵器として開発が進められたが、結局はグールと同じ鋭い爪で攻撃するだけの物理型生物兵器にしかならなかった。これも、タイプ4・ウィルスなら改善するのだろうか? 一段落したら研究させてみる価値はあるかもな。

 生物兵器繁殖用クローンの腹を突き破って別のアサシンが出てくる。2、3匹撃ち殺すと、俺はその場から走って去る。全てを相手にしているほどヒマではない。


 やがて、広い廊下に出る。激しい戦闘があったのか、エリアはすでに半壊していた。だが、そこにもグールたちが歩いていた。彼女たちは俺の姿を視界に入れると、一斉に襲い掛かってくる。

 俺は片腕をそっと上げる。そこから青色の電撃がほとばしり、空中を飛ぶ数匹のグールを弾き飛ばす。俺も普通の人間ではない。この身体にもサイエンネット・ウィルスは流れている。それも、フィルドと同じレベルか、それ以上だ。

 フィルドの身体にあるのは、サイエンネット・タイプ1=ウィルスとそこにタイプ2・ウィルス、タイプ3・ウィルスが後から加えられている。

 俺の身体にはプロト・ウィルス、タイプ1~3・ウィルスが高い濃度で存在している。俺がグールと化さないのも、そこに関係があるのだろう。だが、その引き換えに、ワクチンを定期的に打たねばならない。


「フィルド、お前の血から作ったワクチンだ。お前にはもっと役に立ってもらわんとな……」


 俺は瓦礫から瓦礫へと飛びながら、脱出口を目指す。……無造作に転がっている大型の機械はバトル=オーディンか? お前も呆気ないものだな。お前を壊したのは誰だ? まぁ、お前程度に用はもうないがな。

 しばらく進んでいると、建物の壁に大きな亀裂が入り、そこから外が見えている。俺は強力な衝撃弾を数発飛ばし、崩れかかっていた壁を壊す。そこから外へと飛び出す。

 空が東から薄らと明るくなり始めている。そろそろ夜明けか。だが、俺の夢は終わらぬ。いつか、再び黒い夢で空を覆ってやる――。

  <<タイム・ライン>>


◆2/15 19:27

 ◇完成体(パトラー=オイジュス)が暴走。

 ◇コマンダー・ドロップが殺害される。


◆2/17 01:17

 ◇パトラーとアレイシアが出会う。


◆2/17 02:21

 ◇コマンダー・ライカがパトラーとアレイシアに襲われる。


◆2/17 20:47

 ◇パトラーの師フィルドと、シリカがルイン本部へと乗り込む。


◆2/17 23:34

 ◇フィルドとシリカが怪物化したコマンダー・ライカと出会う。


◆2/18 01:41

 ◇ヒライルーがルイン本部をサイバー攻撃で制圧する。


◆2/18 01:48

 ◇ビリオン=レナトゥスのクローン精鋭部隊が、連合政府最重要シールド・メモリ回収のため、ルイン本部に侵入する。


◆2/18 02:52

 ◇フィルドとパトラーが再会する。


◆2/18 03:01

 ◇ビリオン=レナトゥスのクローン精鋭部隊が連合政府最重要シールド・メモリを回収し、ルイン本部を脱出する。


◆2/18 03:19

 ◇パトラーの記憶が戻る。


◆2/18 04:41

 ◇フィルドらがルイン本部から脱出する。


◆2/18 05:12

 ◇パトフォーがルイン本部からの脱出を目指し始める。


◆2/18 06:00

 ◇ルイン本部が消滅する。


◆2/19 09:18

 ◇「ビリオン=レナトゥス」がサイエンネット・タイプ0=ウィルスとサイエンネット・タイプ5=ウィルスの開発を始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ