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異なる世界へ招かれて  作者: Dちう
この世界は何だろう?
5/6

信仰と聖句

 この世界には、神もしくは信仰の対象というものが存在する。

 

 それが解ったのは、別にこの部屋に神棚や仏壇や偶像があったからではない。

 両親が食事や就寝の際に聖句と呼ばれる祈りを行っているのを見かけるからだ。

 その聖句は、普段彼らが使っている日常の言語ではなく、何故かニホンゴで唱えられている。

 だが、俺が記憶しているニホンゴの内容と実際の状況が一致しない。


 前に俺が気絶から目覚めた時に両親が唱えていたのも聖句で、状況やその他の使用例から察するに、信仰対象への感謝を表しているようであった。多分「アーメン」とか「ありがたや」とか何かそんな感じだ。


 しかしその言葉は俺の耳にはニホンゴで『いただきます、ごちそうさま』としか聞こえない。

 感謝という意味では近しいのかもしれないが、ニホンジンであった俺としては大いに違和感がある。


 恐らく彼らは、その言葉が本来持つ意味も分からず、ただ無心に先祖だか宗教家だかに教えられた通りの聖句を唱えているに過ぎないのだろう。


 涙を流しながら何度も手をこすり合わせて『いただきます、ごちそうさま』と唱える両親の姿は、俺の目にはあまりにも奇異に映った。

 

 日常的に耳にする『ニホンゴ』は、恐らく宗教用語なのだ。

 

 これは信仰対象とニホンに何か関係があるに違いない。

 もしかすると、神代の昔にニホンジンがこの世界を訪れた証であるのかもしれず、その人が神格化されたとすれば説明がつかないだろうか?

 時代を経ることで、この世界の言葉ではないニホンゴが伝言ゲーム化し、意味が曲がって後世に伝わったのではなかろうか?


 今のところ、両親が偶に呟く僅かな聖句しか判断材料が無い。

 赤ん坊の身なので、文献や伝承を集めて検証できないので確定はできない。


 おかあさんが読み聞かせや寝物語をしてくれるようになれば、神話や寓話で色々考証できるようになるだろう。

 その時が早く訪れる事を、この世界の神(なんという神かはわからないが)に祈り願った。

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