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異なる世界へ招かれて  作者: Dちう
この世界は何だろう?
4/6

ロハスな生活

 俺が寝かされているのは、育児用の落下防止柵のついたベッドだ。

 自力で移動できないので、ここから部屋の内部を観察する事しか出来ない。


 見える範囲にあるのは、暖炉、大きいテーブル、1組2脚の椅子。

 箪笥やキャビネットもある。

 そのどれもが割と年季が入っているが、見た目にも良い作りで手入れが行き届いている。

 

 暖炉に火はくべられていないが寒く無い。

 恐らく寒い季節があるのだろう。

 暑いわけでもないので、今は春なり秋なりだろうか。

 気温差が激しくない方がうれしい。

 俺は暑いのも寒いのも苦手だ。

 冷暖房の無い生活など考えたくも無い。

 

 あのテーブルは前に俺が倒れた時におとうさんが『青い悪魔の苦汁』を煎じてくれていたテーブルだ。

 今は縫い物や針糸が置いてあったりする。

 俺の世話をする人が作業をする為の台なのだろう。


 道具は木製や金属製で、プラスチックや機械類は見当たらない。

 照明は蝋燭やランタンの様な間接照明だ。

 アナクロな生活を送っているからといって、ここが現代ニホンでない証明にはならないが、最低でも中世レベルの文明はあるだろう。

 

 それ以上はこの檻の中に閉じ込められている限りは判らない。

 道具類も完全に前世のニホンと同じでは無さそうで、使用方法のわからないものもいくつか部屋の中に置いてある。

 まあ俺が知らないだけで、中世では普通に使われていたものという事も考えられる。

 下手をすると文字や言葉も俺が知らないだけで、過去の世界で使われていたものかもしれない。

 魔法らしき力が使えたり、俺が前世の記憶を保ったりと不思議現象満載なのだから、ここが異世界である可能性は高いが、断定できるほどの要素ではない。

 なんといっても中世にはあったではないか――魔女狩りが。


 もし俺が魔法を使える事を両親に知られたら、今の幸せはなくなってしまうかもしれない。

 両親が受け入れてくれたとしても、世間がそれを許さないかもしれない。

 悪魔汁に感謝だな。魔法の練習や研究なんて止めておいて良かった。

 少なくともこの世界の社会体制が詳しくわかるまでは、自重しておくべきだろう。


 そうなると、この赤ん坊生活は退屈だな。

 本が読めないから情報を取り入れる事も出来ないし、創作に耽ろうにも書き留める紙やペンは無い。


 前世で社会人をやっていた時は、時間が足りなくてしかたなかったというのに。

 そういえば子供の頃は早く大人になりたいと願ったものだ。


 今生でも同じ事を繰り返していると思うとうんざりしたが、あの頃の慌しさを思い出すと、それも贅沢な悩みかと思って、前世で好きだったアニソンを延々と脳内メドレーし続けた。

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