第二十四話
「う……ん」
身体がだるい。
ログアウトした後はいつもこう。
しばらく寝転がっていれば、霧が晴れるようにすっきりするけれど、いつまでたってもログアウトの後のこの感じには慣れない。
けれど私はまだいいほうで、ひどい人になると何十分も身体の調子が悪いままな人もいるらしい。
この不調――ガイアスさんはVR酔いって言っていた――が五分以上続く人は法律でVRシステムの使用が禁止されるって。
もうログインしちゃダメなんて言われたらまた泣いちゃいそう。
そんな事を考えていると、ようやく頭がすっきりしてきた。
ふと違和感を感じて目元を擦る。
「あ……」
手の甲に雫がついていた。
鏡を見ると目元が赤くなっていて、涙の痕が残っていた。
少し嬉しくなる。
VRの世界なんて作り物だ、なんていう人がいるけど、私が……ううん、ジュディが泣けば、現実の私も涙を流すんだ。
ルークやメリルさん、それに、ガイアスさんと一緒に過ごす時間は作り物なんかじゃない。
『これからも一緒だ』
不意にさっき言ってくれた言葉を思い出して、また涙がこみあげてきた。
私は慌てて部屋を飛び出すと、洗面所に駆け込んだ。
冷たい水で何度も顔を洗う。
目はまだ赤い。
冷たいタオルで押さえておけば少しは赤みがひくかな?
今日はお姉ちゃんと久しぶりのビジュアルチャットなのに、こんな真っ赤な目じゃまた心配させちゃう。
『久しぶり、佳代。元気にしてたか?」
「うん、お姉ちゃんこそ大丈夫?お仕事大変じゃない?」
『大変だよ。一日でも早く帰りたいから毎日必死さ』
冗談めかしているけれど、久しぶりに見たお姉ちゃんは疲れた顔をしていた。
私も早く帰ってきてもらいたいけど、お姉ちゃん無理してないかな?
『そういえばこの前かわいいぬいぐるみを見つけたんだ。日本には売ってないみたいだから、今度……ん?』
突然お姉ちゃんがカメラに顔を近づけてきた。
「ど、どうしたの?」
『佳代。泣いていたのか?』
「えっ」
嘘、目の赤みはもうひいたはずなのに。
『どうした、何があった?』
「えっ、その、別に、泣いてなんか……」
『……私にいえないような事なのか?』
うう、嘘は下手ってよく言われるけど、完全にバレちゃってるよ。
『まさか、例のアトラスで出来た友達絡みか?もしかして何かひどい事でも――』
「違うよっ!」
お姉ちゃんがびっくりしている。
自分でも驚いた。気づいたら大きな声が出ていた。
「ガ、ガイアスさんもメリルさんもひどい事なんてしないよ!今日だって私を心配してくれて、けど私――」
ああ、また涙が。
ガイアスさんとメリルさんも困らせちゃったのに、今度はお姉ちゃんにまで。
そう思うと余計に涙が出てくる。
「私、い、一緒にいたくて、我侭言っちゃって、ほ、ほんとは私なんて足手まとい、なのにっ、けどこれからも一緒って言ってくれて、嬉しくてっ」
涙と一緒に言葉がこぼれる。
さっきは涙だけで、言えなかった言葉が。
お姉ちゃんの前だからだと思う。
いつも甘えてばかりだったから、お姉ちゃんの顔を見ると我慢できなくなる。
しっかりしないと。
ガイアスさんもメリルさんも、それにルークもきっと私を守ってくれる。
だからこそしっかりしないと。
私もみんなを守れるように。
だからちゃんと言わないと。
「ひ、ひどいこと、なんて、されてないよ。あの人達の事をそんなふうに言わないで」
涙を拭って、カメラを見据えて、言った。
あの人達の事を悪く言ったら、お姉ちゃんだって許さないんだから。
『すまなかった。佳代の友達を疑うなんて言い訳のしようもないな。ごめん』
お姉ちゃんは微笑んでいた。
『あんなに小さかったのになぁ。いつのまにそんなに強くなったんだ?びっくりしたよ』
「お、おね」
『ああ、また泣くのか?どれだけ泣けば気がすむんだ。ふふふ、おしりの殻は取れてもまだヒヨコだな』
「おねえちゃん早く帰ってきて。会えばわかるよ。ガイアスさんもメリルさんもいい人なんだから」
『ああ、会わなくてもわかるよ。お前がこれだけ信頼している人だ、悪い人なわけないだろう』
「会わなきゃわかんないよ。すっごく優しいんだから。ルークもかわいいんだよ」
『おいおい、そんなに我侭言うなんて幼稚園の頃以来じゃないか。なんだか懐かしいな」
「ふぐ、うえええええええ」
『ちょっと、佳代?あー……どうしたらいいんだ?これ……』
「あ」
目を覚ます。
泣きつかれて寝ちゃってたみたい……。
もう涙は出ないけど、代わりに顔が真っ赤になる。
は、恥ずかしい!
お姉ちゃんの前であんな……!
私は頭を抱えて身悶える。
『風邪には気をつけて。素敵な友達によろしく』
ディスプレイに表示されたお姉ちゃんからのテキストチャットに気付いたのは、三十分程経ってからの事だった。
ジュディとルークを加えて、スキル上げを再開して一週間。
最初の三日間で俺とメリルのリハビリと、ジュディとルークが古代樹の森での狩りが出来るかを確認した。
結果は上々、というよりも、ジュディのバードスキル有りだとトレントやラプトルでは温過ぎる程だった。
『進軍の凱歌』で手数が増える事によりスキルの上がりが良くなり、戦闘の合間の休憩時間も『快気の賛美歌』で短縮できる。
とりあえずの三日間の試し狩りが想像以上に順調だったために、俺達は現在古代樹の森の内周部を探索している。
古代樹の森は、大きく分けて外周部、内周部、中心部の三つのエリアで構成されている。
外周部のモンスターはトレントやラプトルが主で、俺達が一ヶ月前に狩りをしたのも外周部だ。
古代樹の森で最も広いエリアであり、現在狩りをするプレイヤーが最も多いエリアでもある。
内周部のモンスターは外周部と比べて固体性能が強化されており、数も多い。
更に外周部のモンスターに加えて、身体のあちこちに外骨格のような装甲を持つ鎧熊と、トレントよりも樹齢を重ね強力なネイチャースペルを行使するエルダートレントが追加されている。
俺達が現在メインで狩っているのはこの二種のモンスターだ。
中心部に関しては未だにろくな情報が出回っていない。
中心部は樹木で出来たダンジョンとなっているようで、踏破するのはカンストしない限り不可能とされている。
この情報を大規模掲示板に書き込んだプレイヤーは中心部に挑んで最初に遭遇した敵に逃げる事すら許されず殺されてロストしたそうだ。
森の中心には世界樹の苗木があると言われているが、もちろん真偽は不明。
今日もスキルカンストと中心部の踏破を目指す闇の民のトッププレイヤー達が、こぞって古代樹の森に挑んでいる。
古代樹の森に、肉を打つ鈍い音が木霊する。
『グアアアアアアッ』
メリルに外骨格で覆われていない鼻面を強かに打ち据えられた鎧熊が、痛みから逃れようとするかのように凶器のような四肢を滅茶苦茶に振り回す。
しかし既にメリルは余裕を持ってバックステップで距離を取り、往年のアクションスターの物まねを挟む余裕すら見せている。
再び怒りの雄叫びを上げながら、その強靭な顎を目いっぱい開いて襲い掛かってくる鎧熊の攻撃は、やはり余裕を持って回避される。
ただでさえすばしっこいメリルだが、今はジュディの『進軍の凱歌』のAGI上昇効果により、その動きは最早目で追うのも苦労する程だ。
しかしバードスキルの特性故に、俊敏性が上昇しているのは鎧熊も同じである。
すれ違いざまに放たれたメリルの回し蹴りは、鎧熊を捉える事が出来ずに空を切った。
「ありゃ」
攻撃失敗後の硬直を逃さず、鎧熊がナイフのような爪を振るう。
『グオォッ!?』
だが、次の瞬間、地面に叩きつけられていたのは鎧熊の方だった。
メリルはニヤニヤしながら、突然の衝撃に混乱しながら地面をのたうつ鎧熊を見下ろしている。
最近のメリルのお気に入り、格闘術SA『空気投げ』だ。
相手の攻撃モーション中に発動すると、相手に触れる事無く投げ飛ばすカウンター技である。
成功すれば転倒と混乱の状態異常を与える強力なSAだが、発動タイミングがシビアすぎて使いにくいというのが一般の意見だ。
しかしメリルは、ジュディのスキル上げの間格下相手にひたすらこの技を練習し、今や完全に自分の物にしている。
ちなみに普段SAを使う時は大声でSAの名前を叫ぶメリルだが、この『空気投げ』だけは技名を言わない。
曰く
「無言で投げ飛ばすのが最高に渋いのよ」
だそうである。
本当に女かこいつは。
なんとか混乱から立ち直った哀れな鎧熊だが、再び顔を上げた所に、『スーパー稲妻キック』を喰らって再び地面に沈み、二度と起き上がる事は無かった。
「そっちはどう?」
空気投げが決まって余程嬉しいのか、解体を終えたメリルが鼻歌交じりの軽い足取りで戻って来た。
俺の隣にはハープを奏でるジュディ。
その視線の先にはエルダートレントと相対しているルークがいる。
『urrrrrrr』
こちらも『進軍の凱歌』によって攻撃速度が上昇し、トレントの豪腕、いや豪枝が暴風のように振り回されている。
しかしそれ以上に強化されたルークの強靭な足腰が生み出す不規則なステップを捉える事は出来ない。
『urrruruuu』
物理攻撃では捉えられぬと悟ったか、エルダートレントがネイチャースペルの詠唱を始める。
「させません!」
ジュディの指がハープの弦を弾くと、耳を覆いたくなるような不協和音が発生する。
範囲内で行われている詠唱を全て強制的に中断させ、その後十秒間範囲内での詠唱を封じるSA、その名もズバリ『不協和音』。
詠唱を封じられたエルダートレントに出来るのは枝を振り回す事のみ。
しかし一際大きく振るわれた一撃が振り切られた時、既にルークはトレントの背後を取っていた。
ルークの蹄が大地を蹴り、猛烈な突撃が無防備なトレントの背中に打ち込まれる。
ネイチャースペルSA『サンダークローク』によって紫電を纏ったルークの逞しい角が、トレントの樹皮を引き裂き、内部組織を焼く。
突進の衝撃で倒されたトレントに、止めのネイチャースペルSA『ウインドスパイク』が叩き込まれると、トレントは物言わぬ倒木と成り果てた。
「ルーク、ご苦労様」
ジュディの労いの言葉に、ルークはトレントの亡骸には目もくれず、凄まじい加速で駆け寄ると撫でてくれといわんばかりにジュディの手元に擦り寄る。
「もう、いつまでもあまえんぼなんだから」
ジュディに首を撫でられてかわいらしい鳴き声を上げる姿からは、先ほどのトレントと戦っていた時の雄姿の欠片も伺えない。
「よーしよしよし、よくやったぞールークぅ」
どさくさに紛れて、ルークをわしゃわしゃと撫でまくるメリル。
しかしルークはメリルから逃れるように身を捩る。
そりゃあんなごつい手甲で撫で回されても嬉しくないだろうな。
「あっ、こら!逃げるな!」
逃げ出すエルク、追う猪。
しかしあれだけエルダートレントの攻撃を華麗に避けていたルークを、あっさりと捕まえて再びナデナデするメリル。
ものすごく嫌そうなルークの表情には、諦めのようなものが浮かんでいた。
「そのへんにしとけ野生動物」
「誰が野生動物よ!あんたなんか鉄の塊のくせに!」
「鉄の塊でもなんでもいいよ。とにかく移動だ。遊んでてロストなんて笑えないぞ」
内周部最大の脅威は、鎧熊でもエルダートレントでもない。
高速で森の中を巡回するヴェロキラプトルの群れだ。
そのスピードは凄まじく、知覚範囲も広いようでかなり遠くから戦闘の気配を嗅ぎつけすっ飛んでくる。
その凶悪さは、古代樹の森内周部での死因の殆どがラプトルの群れの乱入によるものと言われている程だ。
戦闘前はラプトルの群れが遠ざかるのを確認してから、戦闘後はラプトルの群れが現れる前に移動するのが内周部での鉄則である。
「ほら、ジュディも早く解体を……」
「て、鉄の塊……!プフッ」
そこには、余程ツボに入ったのか俯いてプルプル震えている小動物がいた。
ルークの腹に顔を押し付けて笑いをこらえるジュディの姿に、自分の中の新たな扉が開いてゆくのを感じる。
「……鉄の塊でーす」
「プッ、あははは!や、やめてくださいガイアスさん!」
「お前も鉄の塊にしてやろうか!」
「ずるいわー、それ鉄板ネタね。鉄だけに」
「お、おなかいたいです!」
遠くにラプトルの巡回の気配を感じ、未だ笑いの収まらないジュディをルークの背中に放り投げて速やかにその場を後にした。
まぁ最近の俺達の狩りは、概ねこんな感じである。
狩りを終えて補給のために前線基地に戻る道中。
メリルが薄緑色の宝石のようなアイテムを太陽に透かしながら首を傾げる。
「結局このアイテム何なんだろうね?」
メリルが持っているのは『樹霊の魂核』と呼ばれるアイテムだ。
トレントで一個、エルダートレントで三個しか拾えていないので、ドロップ率はかなり低い。
倒したトレント族の数を考えれば、かなりのレアアイテムなのは間違い無いが、用途は不明である。
「多分生産素材だと思うけどな。そっち方面の情報収集はダルヴァに任せておくのが一番だろ」
一番最初にドロップした樹霊の魂核はダルヴァに預けてある。
生産者に顔が広いダルヴァなら、何らかの用途を見つけてきてくれるだろう。
しかし用途以上に気になるのは、ドロップの条件だ。
樹霊の魂核は、俺とメリルは一個も拾っておらず、四個すべてジュディがトレント族を解体した際にドロップしている。
「んー、ジュディしか拾ってないってのも気になるよね。うちらのリアルラックがヘボいってオチかもしんないけど」
「種族が関係してるのかもな。ダークエルフ限定のドロップとか。落ちたらダークエルフ板でも見てみるか」
エルフとダークエルフは森に暮らす種族なので、木製のアイテムを装備するとボーナスが加算される種族特性を持っている。。
おまけにジュディはSTRとVITが全然育っていないので、【重量軽減】が掛かっていても鉄製防具を着たらまともに動く事が出来なくなってしまう。
なので現在はメリルとお揃いのローブの下に店売りの木製鎧を着ているが、ダークエルフの種族特性を加味してもその防御力は頼り無い。
樹霊の魂核というアイテム名からして木製アイテムの生産素材っぽいので、もし予想が当たっていたらジュディの装備を作ってもらうとしよう。
前線基地の南門で厩舎にルークを預けていると、もはや聞きなれた、しかしここ数日は聞こえてこなかった鉄を叩く音が聞こえてきた。
「あれ?ダルさんもう戻ってきたのかな?」
「まだ三日しか経ってないぞ?別の鍛冶師でも来たんじゃないか?」
先日ダルヴァは商都へと帰っていった。
これまでも何度か商都と前線基地を行ったり来たりしていたのだが、今後は当分前線基地には顔を出せないと言っていたのだ。
なんでも商都で生産者を集めたクランを作るとかで、ダルヴァはそのクランマスターを要請されているらしい。
生産者の少ない前線基地で、廃鉱産の鉄鉱石をほぼ独占していたダルヴァの鍛冶スキルは間違いなく全プレイヤー中トップクラスである。
商都で魔鉱石製武器をオークションに出品した際に相当名前も売れたとかで、今じゃかなりの有名人である。
本人は口では
「柄じゃないんだがなぁ」
と言っていたが、満更でもなさそうに笑っていた。
なんにせよ三日で戻って来るというのは考えにくいが、新しい鍛冶師が来ているのならそれはそれで顔見知りになっておくに越した事は無い。
武器はどれだけ酷使しても壊れて使用できなくなる事は無いが、手入れを怠ると性能が落ちる。
対応する武器スキルがあれば手入れをする事は可能だが、鍛冶スキル持ちに依頼して手入れをして貰う方が武器の性能は高くなるし劣化もしにくい。
具体的には鍛冶スキルであればスキル値そのままで判定されるが、対応する武器スキルしか持っていない場合はスキル値÷2の値で判定される。
ダルヴァが商都に帰ってから自分で手入れをしていたのだが、やはり本職に手入れを依頼した方が効率は格段に良い。
俺達は鍛冶設備のある、基地の北西部に向かう事にした。
金槌の音を辿って行くと、そこにはダルヴァと、見知らぬ顔が二人。
見慣れない二人はダルヴァの連れのようだ。
こんなに早く前線基地に戻ってきたのには、彼らが関係しているのだろうか。
「おう、久しぶりだな」
どこか気まずそうに苦笑するダルヴァ。
「久しぶりー、じゃないよ。しばらく基地には来ないとか言ってたくせに、三日で戻ってきてんじゃん。ボケるのは早いんじゃないの?」
ダルヴァが帰る前の晩はジュディの手料理でプチ送別会のようなものまで開いたのだ。
メリルの言い分ももっともである。
「いや、あの時は本当に当分は来れないと思ってたんだが、クランマスターってのは案外暇なもんなんだな」
「まぁダルさんがいてくれれば色々気軽に頼めていいんだけどさ、ほんとにクランのほうは大丈夫なの?」
「大丈夫も何も、大概の事は全部サブマスターがやっちまうんだよなぁ。俺が何かしなくていいのかって聞いたらあいつなんて言ったと思う?『何もしなくて結構です。むしろいつまでここにいるつもりですか?』だとよ!だから戻ってきてやった!」
どうやら随分やり手のサブマスターなようだ。
もしやいざという時の責任を押し付けるためにダルヴァにクランマスターをやらせているのでは……。
「まぁ俺はハンマーを振ってる方が性に合ってるしな。商都は鍛冶師が溢れてて鉱石一つ買うにも一苦労だから、こっちのほうが居心地が良いってもんだ」
グハハと笑いながら、ダルヴァは所在なさげに立っている後ろの二人に目を向ける。
「おっと、紹介がまだだったな。このごついのがガイアスで、猫耳がメリル。かわいらしいお嬢ちゃんがジュディアだ」
「ちょっとダルヴァったら。その説明じゃ私もジュディになっちゃじゃないの!」
突然いつもの調子で馬鹿な事を言い出すメリルに、慣れていない二人は目を丸くして呆気に取られている。
「あ、どうも初めまして。ガイアスと申します。この猪の事は無視してくださって結構ですので」
「こらそこぉ!かわいそうな人を見る目を向けるなぁ!」
「メ、メリルさんはかわいらしいと思いますよ!」
「でしょ?さすがジュディ、見る目があるわね」
「えっ、あ、ありがとうございます?」
「ジュディ、馬鹿が移るから近づいちゃいけません」
「あんたこそ鉄が移るから近づかないでもらえますかー?」
「プッ、て、鉄が移る……!」
「なぁジュディ、笑いの沸点低すぎないか?ツボもおかしいぞ」
「鉄ネタがツボみたいね」
「……初対面の相手の前でくらいおとなしくできんのかお前らは……」
ボケるメリル、突っ込む俺、笑うジュディ。
額に手を当て空を仰ぐダルヴァと呆気に取られている二人。
まぁ俺達は狩り以外でも、概ねこんな感じである。




