すーぱぁお父さん出動(2)
(4)
その男は霧の中に座っていた。霧というよりも水の中と言った方が近いぐらいの、濃密で不透明な空間であった。
少し気を抜くと、足元の地面の存在すら希薄になって奈落の底へ引きずり込まれてしまいそうだ。いや、実際に今ある地面の感覚は、私自身の意識が作り出しているものだ。その意味では、ここはある種、幻想の中の精神的世界といえるかも知れない。
ここでは、精神の力の弱い者は存在さえできないだろう。自分自身を構成する物質の波動関数──存在確率が発散してしまうのだ。逆に強い意思の力を持つモノは、あらゆる事が可能になるに違いない。奇跡をすら起こす事もできるだろう。
如何に術者の能力が高く高度な結界を構成しようとも、元々は通常空間の一部であった以上、このような異質な空間を維持することは、とうてい不可能に近い。かなり異空間の属性に浸食されているようだ。これは、呼び出されるモノの出現が近い事を示している。事態は一刻を争う。
私が遠くに見える男へと歩みを進めようとした時、
「よく、ここまで来れたものですね」
と、『目の前の男』が言った。彼我の距離は瞬間的に近づいたらしい。ここでは距離の感覚も、あまり意味を持たないのか……。
私は何も答えず、その男を観察していた。
若い。一見、20才代前半にしか見えない。しかし、だからと言って幼く見える訳ではない。やや長髪の黒髪を、うなじで束ねてある。目も黒い。印象としてはモンゴロイド──それも遊牧民族系の顔立ちだが、上品でほっそりとして落ち着いたその顔つきや、やや蒼味のかった肌の色からは、北欧系の血も入っているように見える。漆黒のクラシックなタキシードと細い蝶ネクタイも、同世代の『普通の美男子』が着れば気障にしか見えないが、彼の場合は完全に体表の一部のように着こなしている。その辺の若人とは根本的に人間の品格が違うのだ。成り金とは異なり、最初から血の中に気品が溶け込んでいる。
座しているのではっきりしないが、背は高そうである。多分、190cmはあるだろう。通り──いや、ストリートを普通に歩いただけで、若い女性が群がるに違いない。
「召し使い達には、お客様方のお相手をするようにと申し付けておいた筈ですが……。はて? 彼等が、何か阻喪を致しましたか?」
男が不思議そうに訊ねた。
「これの事か」
私は、右手を開いて彼に見せた。そこには小さく干からびたタツノオトシゴのような生物の残骸が6匹乗っていた。どれも、頭部や腹部に傷が入っている。そう、これが結界の入り口を守護していた警官や、その後に襲って来た戦士達の正体だった。
「ほう……、これはこれは。ぼくの『ヨーマノイド』をこのようにしてしまうなどとは。……初めて見ました。一体どうやったのですか? 特に入り口の二人には、それなりの道具を持たせておきました筈ですのに。是非ともお聞かせ下さいませんか?」
「あの武器か? なかなか面白いおもちゃだな」
「あれが通用しない方がいらっしゃるとは、到底考えも及びませんが……」
端正な顔に深刻な表情が現れた。本気で悩んでいるように見える。
「おまえにも、あんなおもちゃが通用するのか」
「ああ、なるほど! 確かに」
彼は左の掌に拳を打ちつけると、合点がいったと言う顔をした。
「あの程度の弾など、何発当ったところでびくともせん。通用しないと知って、ひどく驚いていたぞ。どうせ、本物の警官のドッペルゲンガーと混合して作ったんだろう。やけに人間臭かった。動揺したところを攻めたら、あっという間だったな。素手だったが、むしろ、後から現れたモノ達の方が手強かったぞ」
私は、ありのままを語った。その間、青年は眼を輝かせて私の話に聞入っていた。
「こんなおもちゃに身の回りの世話をやらせているのか? よく我慢出来るな」
そう言って、私は掌を握り締めた。タツノオトシゴモドキが粉々になる。
「いえいえ。彼等には、専らお客様の接待をさせておりました。ぼくの身の回りは、また違ったモノがおります」
「大した違いはあるまい」
「さようで」
そこで男はクスリと笑った。嘲笑ではなく、照れ隠しと言った笑いだ。
「ぼくの考えていた以上の御方の様だ。この国も、まだまだ捨てたものではありませんね。是非とも、御名前を御聞かせ願えませんか?」
「人に名前を訊く時は、まず自分から名乗るものだぞ」
「確かに。これは失礼を致しました」
青年はそう言うと、すぐさま立ち上がった。そして、自らの名を名乗った。
「お初にお目にかかります、ぼくは、暗黒丸。左道暗黒丸と申します」
予想に反して、返ってきた名は至極日本的なものだった。しかも、
「左道一族の者か……。ならば、呼び出すモノは『耶伽噌素斗』だな」
「よく御存じで」
左道一族……。左道とは外法,邪法の類を意味する。西洋的な言い方をすれば黒魔術の事だ。彼等の奉ずるのが、『耶伽噌素斗』と呼ばれる邪神とそれに連なる神々である。『耶伽噌素斗』は『九頭竜神』や『馬須佐兜羅』、『狗濤愚羅』と並ぶ、超古代に隠され封印された神──未知の知性体の一つと伝えられている。破壊鬼皇など足元にも及ばない、超A級破壊知性体だ。
幸いなのは、彼等がこの三次元世界とはあまりに異質なため、実体化するためには複合型積層多重結界によるコーティング処理と莫大な維持エネルギーが必要になる事と、そのために長時間実体化していられない事だ。
それでも、出現した瞬間に日本中の人間が発狂するのは間違い無い。おそらく、そのうちの6割は10秒以内に死んでいるだろう。たとえ何もしなかったとしても、存在そのものが危険なのだ。
「さぁ、ぼくは自己紹介を致しましたよ。今度は貴方の御名前を御聞かせ願えますか」
子供のように目を輝かせている青年を前に、私も名乗ることにした。普通は名乗らないのだが、この期に及んで隠すような事ではあるまい。
「防衛省 情報戦略自衛隊 特務戦闘工作部隊 別班、松戸清次郎二佐」
この時、彼の顔が一瞬驚いた表情を見せた。
「まさか……貴方が……。なるほど、それでは結界に配置した程度のヨーマノイドでは、歯が立たないのも道理です。せいぜいが、特戦機動部隊あたりが派遣されるだろうと思っていましたが……。さすがに『清らかな松戸』が相手では、五分と持ちこたえられなかったでしょうね」
「隠蔽用の防御結界に信頼をおきすぎたな。敗れたとはいえ、特務情報工作部隊の力を甘く見るな。的確な情報収集が出来ていれば、それ相応の判断も出来る」
「ふむん。……ぼくも今回は結構凝った結界を作りましたし、我ながら出来もいいと思っていたのですが。……少々有頂天になり過ぎていたようですね。まだまだ修行が足りません」
彼──暗黒丸にしてみれば、結界の存在までは見破られても、何をやっているかまでは分からない──と言うよりも、大した事はやっていないように見せたつもりだったのだろう。だが、彼はミスを犯した。特務情報第四班の隊員を殺してしまったのだ。情報戦略自衛隊の工作員を倒せる力を持つモノが、ちゃちな事をしているはずが無い。
もっとも、特戦機動部隊──七つある特別戦闘機動部隊が任務のために全て出払っていた、という事情もある。そえに、こんな街のど真ん中に、強襲弾道移送コンテナ『別雷神』を打ち込む訳にもいくまい。
「その程度の修行の成果として、『耶伽噌素斗』の召喚を行うなどは止めておくことだな。それとも、私が修行をやり直してやろうか」
私の挑発に対しても、彼はにこやかに応えた。
「それも非常に魅力的な提案ですね。ですが、我が主をこれ以上待たせる訳にも参りません。ここはどうでしょう。「何もなかった」と言う事で、見逃していただけないでしょうか?」
「よくそんな事が言えるな。『耶伽噌素斗』がチラとでも顔を覗かせて、何もなかったで済ませられる訳が無い。おまえの方こそ、これ以上馬鹿げた召喚など止めて、ニューヨーク辺りで占いでも始めたらどうだ。それとも、事芸能界にデビューしてみるか。どちらにしても、金も名声も手に入れられるぞ」
「なるほど! 確かにぼくの容貌と魔道の力を以ってすれば……、いやいや容貌のみでも充分過ぎるぞ。ならば……」
左道は、本気で悩み始めたようだった。このまま召喚を諦めてくれると助かるのだが……。
「そうかっ」
しばらく物思いに耽っていた左道が、いきなり叫び声を上げた。
「我が主を召喚してから後、芸能界入りをすればいいんだ。これで万事丸く収まりますね」
彼の発言に、私は大きな溜息を吐いた。
「そんな訳がなかろう。『耶伽噌素斗』の破壊した世界で、誰がおまえのファンになるのだ」
「……困りましたねぇ。取り敢えず、貴方がぼくのファン一号と言うことではいけませんか? 貴方なら、主と対面しても平気でしょう」
外見はまともそうに見えるが、この男もまっとうな考えの持ち主では無かった。
「そんな事が通る筈がなかろう」
本気なのか冗談なのかはっきりしないが、『耶伽噌素斗』の召喚を中止する気はないようだ。
「飽く迄も『耶伽噌素斗』を呼び出すと言うのなら、こちらも実力行使をするしかないな」
「うーむ、交渉決裂ですか。いい案だと思ったんですけれどねぇ……。それでは仕方がありません。ぼくも、主の召喚を中止する訳には参りません。それに、一度、ぼく自身の目で貴方のお力を拝見しておきたいと思いますし……」
「ならば……、やるか」
「いえ。貴方のお相手は、ほれ、あそこに」
暗黒丸が、あごをしゃくった方から、2人の戦士がとけ出すように現れた。それと同時に、私と暗黒丸との距離が遠くなった。この空間の支配力は、彼の方が上の様だ。
(5)
「……そのヨーマノイドは、こんな時のために特別に調製しましたモノ達です。先刻お相手したヨーマノイドのようにはいきませんよ。願わくば、この次も生きている貴方とお会いしたいものですね」
左道の声が、遥か彼方からのように、空間内に響き渡った。
「よく言う……」
私は、改めて眼前の2人を注意深く観察した。
双子の如く、何から何までそっくりであった。彼等も結界の入り口で待ち構えていたヨーマノイドと同様に、見た目には普通の人間のように見える。
衣服はほとんど着けていない。わずかに腰の回りを布が覆っている他は、両の手首と足首に幅広の赤っぽい金属と思しきサポーターを巻いているのみである。それだけで尋常の相手ではない事が知れる。
鎧兜の類の防具類は、確かに敵の攻撃を防ぎ急所を守る意味で重要ではあるが、その重さや拘束感によって、返って動きが抑えられてしまう。更に、防具を着けていると言う安心感が、油断や隙きを生む事すらある。奥義を修めた達人同士の戦いでは、防具類などは返って邪魔なだけなのだ。
「わたくしは、アルファ」
「わたくしは、オメガと申します」
と言っても、どっちがアルファだかオメガだかの見分けが付かない。左道自身も、きっと区別していないのだろう。便宜上の名前かも知れない。
「我々自身は、貴方様には何の恨みもありません。主人の命により戦い、勝利する事が、我々の使命です」
オメガと名乗った方が言った。強力な意思のこもった言葉だった。先に戦った木偶人形とは桁違いにレベルが違う。
生体だろうが機械だろうが、それ以外のモノだろうが、戦闘破壊能力があるレベルを越えると、武装や筋力 (出力)はあまり重要ではなくなる。それに代わって意思の力が重要になってくるのだ。
どんなに強力な戦闘破壊能力を持とうが、意思の力を持たぬモノは、ただの爆弾や銃弾と同じである。それ相応の対処さえすれば、た易く処理出来る。
しかし、そこに高度で強い意思の力が加わると、その戦闘力・破壊力は数桁のオーダーで倍加するのだ。それ故、高度で強力な戦闘体は『破壊知性体』と称されるのである。
眼前のモノ達は、肉体的な戦闘力以上に、強力な精神力を付与されているに違いないようだった。
「武器はお好きな物をお使いください」
アルファの指差した方に、各種の武器が無造作に山と積まれていた。大小様々な刀剣,槍の類から、銃器類、果ては戦車や戦闘機、戦闘用サーボ=スレイブまでそろっている。
「お前達は何を使うのだ?」
「貴方様に合わせます」
「本当に、何でもいいのだな」
私は敢えて念を押した。
「御随意に」
「ふむ……」
私は武器の山に近づくと、その一角から一本の棒のような物を引張り出した。
見た目には、長さ50cm、太さ3cm位の寸胴の棒である。材質は……、木材とも石材とも取れるような見た目と手触りであった。アルファ&オメガの顔が一瞬曇る。
「ま、まさか、それを手にするとは……。さすがは主人の見込まれた御方です」
そう評するアルファの声には、感動すら含まれているようだった。
「『ヘリオスの宝剣』まで置いてあるとはな。正直言って、驚いているよ。当然、本物だろうな」
「間違いなく本物です。……ですが、貴方様に使いこなせるでしょうか?」
「やってみなくては分からんさ」
私が手にした棒──『ヘリオスの宝剣』は、持ち主の生体エネルギーをプラズマに変換し、局所場によって一定の形状に維持する機能を持っている。一種のコンバーター兼フィールド発生装置なのだ。平たく言えば、オーラソード発生機と言う事になる。持ち主の力量によっては、山を切り裂く事も、海を蒸発させる事も出来る、強力なアイテムだ。
欠点は、宝剣自身にはジェネレータを内蔵していないために全エネルギーを持ち主に頼ってしまう事。それと、コンバーター内には原理的に出力コントローラーの類が組み込まれていないため、不用意に使用すると持ち主の生体エネルギーを際限なく吸い出して使い切ってしまう事だ。並みの人間の体力での場合、ものの数秒で生体エネルギーを使い果たしてミイラになってしまうだろう。一歩間違えば、自滅してしまいかねない、まさしく両刃の剣なのだ。アルファが言った、『使いこなせる』かどうかと言うのは、そういう事である。
「お前達は何を使う?」
「我々はこれを使いましょう」
彼等も、それぞれが手にした武器を示した。
アルファはやや長めの三叉戟を、オメガは短剣の柄にワイヤー状の鞭を結んだ物を手にしていた。
「ふむ。『ポセイドンの矛』と、そっちは『ヘラの鞭刃』か。どちらも、生体プラズマで起動する武具だな」
「御存じですか」
オメガが感嘆の言葉を漏らした。
「少しはな。まぁ、名前程度だが」
私は多少謙遜して応えた。
「さすが……。主人の命に関係なく、戦いたくなってきました」
なるほど、単なる人形ではなく、自由意志を持たされているのか。それも、戦闘破壊マシーンとしてのそれではなく、武人としての高貴な精神だ。夕食までには帰りたいのだが、手短に終わりそうには無いな。
「では、わたくしから……」
そう言って、アルファが一歩前に出た。
「二人一緒ではないのか?」
オメガの顔が一瞬曇った。口を開きかけたところを、アルファが制し、
「まずは、お手並み拝見からです。……もっとも、続きがあればの話ですが」
口調が挑むようになっているが、簡単には挑発に乗ってこない。戦うために創られたモノだけはある。
「そうか……、ならば来い!」
(6)
私と10mほどの距離を置いて対峙したアルファは、三叉戟を左斜め下に向けて構えていた。伝承が本当であるなら、『ポセイドンの矛』は6〜7mの有効圏を持つ。アルファの戦闘力は、さっきのヨーマノイドをはるかに凌ぐと考えられるから、残り3mの間合いなどは無いのと同じであろう。
一方のオメガは、彼の後ろに下がっている。彼の持つ『ヘラの鞭刃』は伸縮自在の鞭を持っている筈だ。この距離でも十分に射程距離内であるが、オメガは武器を足元に置いて腕を組んだままだ。取り敢えずは一対一でやらせるつもりらしい。もっとも、いざとなったら加勢をする可能性がある。その意味で、長射程のオメガが次方になったのは、戦略的に正しいと言えた。
私の方はといえば、『ヘリオスの宝剣』を左手にぶら下げたまま、その場に無造作に立っていた。
「構えなくてもよろしいのですか?」
アルファが訊いてきた。
「まだ、ゴングは鳴ってないようだが」
「先程の貴方様の言葉が、そうではなかったのですか?」
「そうとも言えるかな」
そう応えて私は苦笑した。アルファもかすかに笑みを浮かべた。
「宝剣を力を発生しておかないと、わたくしの攻撃は受け止められませんよ。『ヘリオスの宝剣』ほどではありませんが、『ポセイドンの矛』も生体プラズマを変換して刃に変えられます。あらゆる物質を切断出来てしまうのですよ」
彼のその言葉の通り、三叉戟の矛先が、淡く赤く、ほの光り始めた。
「伝承通りであればな。まぁ、こう見えても毎日サラリーマンとして働いているので、結構疲れているんだ。あんまり、無駄なエネルギーを使わせないでくれないか」
と、私はわざとらしく言った。
「そうですか。では、……参ります」
アルファがそう宣言した途端に、あたりに殺気が満ちた。しかも強烈な。背広を通して肌がぴりぴりする。
一瞬、アルファの姿が霞んで揺らいだかと思うと、次の瞬間にはまた元通りになった。と、常人には見えたことだろう。
「次は二人一緒でもいいぞ」
私の言葉に、アルファが奥歯を噛み締めていた。構えはそのまま、呟くように言った。
「恐るべき御方……。あの一瞬だけに、オーラソードを発生させて攻撃を凌ぐとは。しかも、そのパワー、発生タイミング、全て非の打ち所がない。並みの精神力ではありませんね」
残像を残したまま超高速で移動したアルファが、私の右後方から切りつけるのを、瞬間的に発生させた宝剣のオーラソードで弾きかえしたのだ。
刃を交えるその一瞬だけに集中し、適切なパワーでソードを発生させる。これが、使う者の生体エネルギーを際限無く消費する『ヘリオスの宝剣』を使用する場合のセオリーだ。だが、そのためには極限の集中力が必要だ。ぎりぎりまで、丸腰でいる事に耐えなくてはならない。
「小手調べとはいえ、わたくしのこの攻撃に無傷でいられたのは、あなたが初めてです」
「では、正式に試合開始といくか?」
後方のオメガも、いつの間にか武器を手にしている。
「待て。今一度試したい」
アルファは、進み出ようとするオメガを制した。
「正々堂々、と言うわけか?」
「いえ。主人には、どのような手段を使っても、全力で貴方様を倒すようにと仰せつかっております」
「ふむ……、ならば、二対一の方が確実だろうに」
「ですから、『手段を選ばず』に戦わせていただいております」
アルファの顔に薄い笑みが浮かんでいる。一方、オメガの方は、やや仏頂面だ。本当は、彼も戦いたくてウズウズしているのだろう。
「変わっているな」
私は、何故か、この二人 (二体?)を好ましく思うようになっていた。
「今度は本気を出しますよ」
アルファが再び矛を構えた。