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運命の気まぐれ
血の香りに包まれるのは、キライじゃない。
午前一時、帰宅。
玄関前に黒い塊を発見。
「…おい。」
声を掛けると、それはもぞもぞと動いた。
「ここで何してる。」
顔を上げたそれは、昨日の少女。
目が合うなり、無邪気に笑う。
「お前なぁ…。」
呆れた声音は、不服そうな少女の言葉に途切れた。
「お前じゃないよぅ。
あたいはSってのー。」
小さく唇を尖らせる。
諦めて溜め息を吐き、鍵を取り出した。
「どけ、邪魔だ。」
そう言うと、素直に横にずれた。
小さく丸まる姿を見て、また溜め息を吐いた。
「…今日だけだ。
さっさと入れ。」
きょとん、としたSと目が合った。