パーティーから追放を言い渡されて、パーティーのメスガキ魔法使いが上目遣いで煽ってきたのに可愛く思えて、どうせ追放されるんならやっちゃえって感じでそのまま顔近づけてキスしちゃった。
「テオドール」
「……ああ」
「君を……パーティーから追放する」
きたああああパーティー追放ぅぅぅぅ
「君の実力ではもう俺たちの冒険にはついてこれない。これは遊びじゃないんだ……わかってくれ」
ついに限界きたかああああ
「……わかった。今まで迷惑かけて悪かった」
「今月の拠点賃貸料、君の分を返す。荷物が整ったら引っ越してくれ」
「……これ、一ヶ月分か……?今月もう10日くらい住んでるんだけど」
「いいから受け取れ。今までありがとうな」
俺は荷物を整え、玄関の前に立った。
見送りは来ないか……
まあ、皆忙しいもんな。
人道的に追放して貰っただけでも感謝だな~
そのとき、階段からマリーが駆けて下りてきた。
「テ~オ~♪」
「……マリー」
「聞いたよ~ついに追い出されたって~」
「……まあな」
「あたしたちが追放してあげなかったら死んでたんだから、感謝しないとだね~♪」
「……」
「剣も魔法もろくに使えないとか無能すぎ~♡無能って言葉ってテオのためにあるんじゃないの~?」
「……」
「雑魚モンスター相手でも手こずるとかカッコわる~っ♡あんなの子供でも倒せるよ~♡」
「……」
「家に帰ってゴキブリでも捕ってた方がいいんじゃないの~?あ、でも無理か~♡ゴキブリは仲間だもんね~♡」
「……」
「昔からちっとも成長しないし、あたしたちに守って貰ってばっかりで報酬は山分けして貰うとか、もう寄生虫じゃん~♡」
「……」
「いっそぎょう虫と友達になった方がいいんじゃないの~?」
「……」
「何も言い返せないんだ~♡本当のことだもんね~♡ざぁこざぁこ~♡」
マリーは、顔を近づけながら俺を笑ってきた。
こいつ……昔からこうなんだよな。毎回俺のことバカにしやがって……
口から出ることことごとくうざいしむかつくけど……
……近くで見るとやっぱ可愛いな。
どうせもう会わないんだし……いいか。
俺は、すっとマリーに顔を近づけた。
「ほ~ら~♡何か言いなさ……うぅっ?!」
俺は、そのままマリーの唇の上に俺の唇を重ねた。
「えっ?!」
「これがキスか……思ったより甘いな」
「きっ?!!」
「にゃにゃ……にゃにゃにゃっ……!」
「んじゃ俺行くからな」
俺は玄関を出て、扉を閉めた。
「にゃにしてぃぇんのよこのバカああああ!!!」
***
「さてぇ……これからどうすっかな~」
金はちょっとだけあるけど……どうせ働かないと生活できないしな~
冒険者はやっぱ向いてないからなしだし……
そのとき、町のブレティンが目に入った。
「へえ……そういえばあそこになんか建物たてるって言ってたな……」
「って日当高っ!履歴書書こう!!」
***
何なのよテオのやつ……!
いきなりその……キ……あれしてくるなんて!!
テオは……いつもヘタレで、冒険者の才能はなくて……
あたしがからかうと平気なふりして実はむかついてるのが丸分かりで……
でもそこが可愛くて……
あたしが怪我したらちゃんと心配してくれて……
って、違う!!あんなやつのことなんてちっとも好きじゃないんだから!!!
「マリーちゃん……?大丈夫?体調でも悪いの?」
「えっ?!だ、大丈夫~」
「そう……?」
「にしても、テオのやつには悪いことしたな……」
えっ?!
「追放は仕方なかったと思うけど……長年一緒にやってきたのに、ちょっと寂しいね」
リナ?!もしかしてあんたも……じゃなくて!!
なんであたしが慌ててるの?!
「頑張ってるのはわかるが……成長しないんじゃどうしようもない」
「そういえば、この間テオのやつ見かけたぞ」
「本当?!」
「……マリー?」
「な、なんでもな~い!」
「それで、テオドールくんは元気にやってたの?」
「ああ……3番街の工事現場で働いてたな」
3番街……!
「マリーちゃん……?本当に大丈夫なの?」
「さっきから様子がおかしいぞ」
「テオドールと何かあったのか?」
「な、何いってんの~?何もない~♡あるわけないでしょ~♡」
あれされたなんて死んでも言えない!!!
***
「よし!皆、昼休憩だ!」
「腹減った~」
「今日終わって飲まねえ?」
この仕事……意外と性に合うな?
「てっ、テオ!!」
「マリー?!」
うわっ、きまずっ……!
なんで来たんだ?!あのことで仕返ししに来たのか?!
「その……あの……なんでもない!!!」
マリーは、そのまま走って場を去ってしまった。
「……何だあいつ?」
***
次の日……マリーはまた訪れた。
「て、テ~オ~♪こんなところで働いてたんだ~♡まあ、よわっちいテオにはお似合いだね~♡」
「……悪い、危ないし仕事中だから後にしてくれ」
「それ運んでるの~?魔法もろくに使えないと大変だね~♡」
「重力魔法、アンチグラビティー~♡」
「ほら、こんな簡単なこともできなくて手こずってるなんて~♡」
「……」
マリーは、そのまま木柱を向こうまで運んだ。
「ありがとう」
「にゃ?!」
「いや、普通に助かる」
「ば、ば、バカああっ!!」
マリーは、そのまま走って去った。
「……何だあいつ?!」
***
それから……マリーはちょいちょい仕事場に訪れてちょっかいをかけてきた。
なんかしれっと助けてくれてるし……
何がしたいんだ……?
「テ~オ~♪今日も冴えない顔してるね~♪」
「あのさ、マリー」
「あの日のことで気にしてるんなら……謝るからもうやめないか?」
「えっ?」
「お前の意思も聞かずに勝手に不快な思いさせて悪かった。正直俺も気まずい……もうこないでくれないか?」
「……バカ……」
「そうじゃない!!テオのバカ!!!」
「マリー?!」
不快なんかじゃなかった。
謝って欲しい訳じゃなかった。
もうこないで、なんて言われたい訳じゃなかった。
テオのバカ……!
「きゃっ!」
「いってー折れたかも」
「治療代払えよ、こら」
あっ、杖が……!
「ああぁ……」
「聞こえてんのかこら」
「一回しばかねぇといけねぇな!」
「おい」
テオ……!なんで!!
「あ?」
「そんなに病院に行きたいなら傷増やしたろか?」
テオは、工事用のハンマー……でかいやつを持っていた。
「おい……ありゃヤバいって……行くぞ」
「お、おい!!待て!!」
「はあ……はあ……マリー、大丈夫か?」
「……なんで来たのよ」
「あ?」
「あたしのこと……なんとも思ってないんじゃなかったの?もう顔も見たくないんじゃなかったの?!」
「あれ……ファーストキスだったのに!!軽いノリで奪うなんて!!テオのバカ!!!」
「……?!それは……確かに衝動的にやったけど……!ちゃんとお前が可愛いって思ったからで……!」
えっ?
「きまずいっていうのは本当だけど……それも恥ずかしいからで……!」
「お前のことが嫌いだとか……会いたくないとか思ってない!!」
「……それ、取り消させないから」
「えっ?」
あたしは、テオの唇に唇を重ねた。
「あ?……?!」
「……これでおあいこだね」
「謝ったから来ないで欲しい~?あんたがあたしに命令できるって思ってんの~?」
「ずっと……逃がさないからね?ざぁこ♡」




