表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拓海のホルン  作者: 鈴木貴
第1章 迷い(終了から始まり)
4/132

04.新しい選択肢

「もうサッカー部、辞めてるだろ?」


黒沢の声が、昼休みの教室に軽快に響いた。


「これからまた新しく入る部活探さなきゃじゃん。

どーせ他の部活の仮入部、探したりしないで『サッカーだ!』って決めて、仮入部期間中に入部届出して、そのまま3年間!って思ってたんだろ?」


確かに、その通りだった。


「だとすると、他の部活わからないんじゃない?

これから活動日に見学して、入る部を探すといいと思う。

それでさ——今日はちょーっと音楽室、見学しにくるだけでいいからさ。」


黒沢は、勢いよくまくしたてる。


身長170センチのやせ型、角形黒縁メガネの短髪。ノリが軽い。

学級委員であり、吹奏楽部員でもある黒沢は、俺の休みがちな日々を気にかけていたのか、それともただ単に人数を増やしたいだけなのか。


俺の心は、まだどこか遠くにあった。


サッカー部では、色んなことが短期間のうちに起こりすぎた。

まだ1か月も経たないうちに退部届を出した。


しばらく休みたい。

学校の外では、ひっそりと過ごしたい。


そんな俺の気持ちを知らないのか、黒沢は気にせず話を続ける。


「入学式の次の日のオリエンテーションでさ、部活の入部について先生言ってたじゃん?

人間関係とか怪我とか病気とかで部活に参加できなくなったときのことを考えて、3つぐらい候補あげて順位つけとけって。」


俺は、入学前から「サッカー部に入る!」と決めていた。

だから、他の部活のことは全く知らなかった。

興味を持つことすらなかった。


でも、今となっては——入学当初の学活で、有岡先生が言っていたことが、痛いほどよくわかる。


「仮入部期間中は2、3候補をあげて、体験しておくといい。

毎年、そこそこの人数が途中で辞める。

その後、途中入部するときに、仮入部の経験があると決めやすいから。」


先生は、あのときハッキリと言っていた。


「先生はちゃんと言ったからな!」


今なら、その意味がわかる。


でも、それでも——俺にとっての部活は、サッカーしかなかったんだ。


黒沢の誘い。

音楽室。


これが、新しい選択肢なのか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ