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拓海のホルン  作者: 鈴木貴
第2章 番外編:サッカー部
34/132

34.【番外編:サッカー部】噂が広がる部員たち、立て直しのためのミーティング

週1回の部活も、校長先生の予定が合わない日は活動がなくなった。


学校でもサッカー部の問題は広まり、部員たちは肩身が狭くなっていた。


以前はきゃあきゃあと応援していた女子たちも、通りすがりにひそひそと囁くようになった。


「最低…」

「まじでキモいんだけど…」


そんな言葉が聞こえてくるようになった。


このままではだめだと、部長は部員を集め、ミーティングを開いた。


学校内では先生に目を付けられるため、公園で私服で集まることになった。


暑い中、木陰に座り、水筒のお茶を片手に輪になって話し合いが始まった。


子供たちやその母親たちが近くで遊んでいる中、中学生の集団が真剣に話し合っている様子に、ちらちらと視線を感じる。


これからのサッカー部をどうするか。

練習は? 試合は?

それぞれ意見を出し合い、改善策を探った。


その1か月後、校長先生が来る部活の日には、話し合いの通りの練習メニューをこなすようにした。


ある日、校長先生が新しい部活顧問として数学の根本先生を紹介した。


60代くらいの坊主頭、白いひげを生やし、鋭い眼光を持つ先生だった。


やっと部活ができる、と部員たちが思ったその瞬間——校長先生は言った。


「私の代わりになったというだけで、週1回の活動は変わらない。

元々、根本先生は剣道部の顧問だ。

ご自身も剣道五段の腕前で、指導に当たられている。メインはそちらだ。

私の依頼も最初は断られた。

しかし、サッカー部の現状を見かねて、週1回、短時間なら——という条件付きで引き受けてくださった。」


部員たちは「はい」と返事をした。


校長先生は根本先生に「では、お願いします。」と伝え、立ち去った。


根本先生は一言、


「嫌々来ている。」

と言っただけだった。


それでも部長は根本先生の前に立ち、きちんと挨拶をした。

「今日からよろしくお願いいたします!」


他の部員も慌てて、

「よろしくお願いいたします!」

と頭を下げた。


その様子を見ていた根本先生は、淡々と告げた。

「今日は練習なし。」


部員たちは「えっ!?」と驚き、ショックを受ける。


根本先生は続けた。

「制服に着替えて剣道場に来るように。

休んだり帰ったやつは退部。」


それだけ言い残し、立ち去った。

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