34.【番外編:サッカー部】噂が広がる部員たち、立て直しのためのミーティング
週1回の部活も、校長先生の予定が合わない日は活動がなくなった。
学校でもサッカー部の問題は広まり、部員たちは肩身が狭くなっていた。
以前はきゃあきゃあと応援していた女子たちも、通りすがりにひそひそと囁くようになった。
「最低…」
「まじでキモいんだけど…」
そんな言葉が聞こえてくるようになった。
このままではだめだと、部長は部員を集め、ミーティングを開いた。
学校内では先生に目を付けられるため、公園で私服で集まることになった。
暑い中、木陰に座り、水筒のお茶を片手に輪になって話し合いが始まった。
子供たちやその母親たちが近くで遊んでいる中、中学生の集団が真剣に話し合っている様子に、ちらちらと視線を感じる。
これからのサッカー部をどうするか。
練習は? 試合は?
それぞれ意見を出し合い、改善策を探った。
その1か月後、校長先生が来る部活の日には、話し合いの通りの練習メニューをこなすようにした。
ある日、校長先生が新しい部活顧問として数学の根本先生を紹介した。
60代くらいの坊主頭、白いひげを生やし、鋭い眼光を持つ先生だった。
やっと部活ができる、と部員たちが思ったその瞬間——校長先生は言った。
「私の代わりになったというだけで、週1回の活動は変わらない。
元々、根本先生は剣道部の顧問だ。
ご自身も剣道五段の腕前で、指導に当たられている。メインはそちらだ。
私の依頼も最初は断られた。
しかし、サッカー部の現状を見かねて、週1回、短時間なら——という条件付きで引き受けてくださった。」
部員たちは「はい」と返事をした。
校長先生は根本先生に「では、お願いします。」と伝え、立ち去った。
根本先生は一言、
「嫌々来ている。」
と言っただけだった。
それでも部長は根本先生の前に立ち、きちんと挨拶をした。
「今日からよろしくお願いいたします!」
他の部員も慌てて、
「よろしくお願いいたします!」
と頭を下げた。
その様子を見ていた根本先生は、淡々と告げた。
「今日は練習なし。」
部員たちは「えっ!?」と驚き、ショックを受ける。
根本先生は続けた。
「制服に着替えて剣道場に来るように。
休んだり帰ったやつは退部。」
それだけ言い残し、立ち去った。