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拓海のホルン  作者: 鈴木貴
第1章 迷い(終了から始まり)
25/132

25.吹奏楽部は、もうひとつの居場所

朝の会が終わった後、有岡先生は職員室へ戻り、内田先生の元へ駆け寄った。


「鈴木の吹部、入部届です。」


そう言って、笑顔で渡す。


内田先生は、受け取り、じっと入部届を見つめた。


「不備なし。しかと受け取りました。」


と、お辞儀をする。


有岡先生も、お辞儀を返した。


その直後——。


「はっはっはっはっはっはっ!」


内田先生が、大声で笑い出した。


つられて、有岡先生も、

「フフフフフフフフフ……!」

と笑い始める。


2人の不気味な笑いに、職員室の先生方は完全に引き、様子をうかがっている——。




「教員の管理不行届で、不登校の生徒が部活まで興味を持つなんて!」


内田先生が響く声で言うと、ぴくっ、さっ、という動きで、何人かの先生の頭が引っ込んだ。


それでも、内田先生は静かに、けれど力強く言う。


「まあ、ビシバシ行きますよ。


笑みを浮かべるその瞳は、燃えていた。



有岡先生はテンション高めに、


「よろしくお願いいたしまーす!」


と言うと、内田先生は笑顔で、親指を立てたポーズをした。




実は、吹部にも不登校の生徒がいる。


その生徒は、学校の授業には出ずに、部活だけをしに来ていた。


「保健室登校」のように、「部活動登校」。


楽器と演奏は好きだけど、クラスにはいられない——。


校長先生、内田先生、担任の先生、そして両親が協議し、

勉強は家で進め、定期テストは別室で受け、部活に参加するという方向になった。



その生徒の教室には、つるんで荒れている生徒がいた。

何かの拍子に、ターゲットにされ、いじられるようになった。


生徒も止められず、先生が間に入ると一時的に収まるが、

先生が離れると、再び繰り返される。


そして、ついに不登校になった——。



その後、つるんで荒れていた生徒は、しばらく停学。


おとなしくなった。


だが、だからといって、すぐに教室へ戻れるわけではなかった。


幸い、楽器演奏スキルが高かったこともあり、

集団生活には、部活動で指導していく方向で落ち着いた。


内田先生は、音楽の力で、これから充実した中学生活を送らせることを強く決心した。

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