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拓海のホルン  作者: 鈴木貴
第1章 迷い(終了から始まり)
24/132

24.入部届と騒がしい仲間たち

昨日から緊張して眠りが浅かったせいか、授業中に居眠りすることが多かった。


「大丈夫か?」


黒沢と吹部の女子2人が顔を覗き込んできた。


「あ…うん。」


と答えると、黒沢が、


「まあ、無理すんなよー。」


と言いながら席に戻ろうとした。その時、ついスーツの上着の裾をつかんでしまった。


「お? なんだ? 少女漫画みたいなことしてきたな?」


と振り向かれる。


「あ、ごめん、そういうんじゃなくてさ…。」


ぱっと手を離し、言い淀んだ。


黒沢と吹部女子2人がまた顔を覗き込んでくる。


「……あのさ……。」


少し声を潜め、小さく輪になってもらった。


バックから入部届が入ったクリアファイルを取り出す。


「今日、入部届出すからさ…よろし…」


と言い終わる前に——


黒沢の「イエー! イエー!」という雄叫び。

女子2人の「やったー!」というジャンプ。

そして、ダンス——。


教室中の視線が集まった。


あんまり騒いでほしくない。

多少のリアクションは予想していたけど、それにしても騒ぎすぎだ。


クラス中の視線が、こっちに向いている。


「ちょっとやめてくれ、いたたまれない…。」


と言うと、黒沢が、


「こうなりゃ、善は急げだ! 職員室へレッツゴー!」


と言い、女子2人が両脇で腕を組んできた。


そして、黒沢が自分の前に出て、先導する形になった。


---


教室を出ようと、ドアを開ける——。


その瞬間、有岡先生が出現した。


「うるさい! 黒沢! お前、学級委員が先頭切って騒いでどうする!」


と一喝。


黒沢は、小さい声で、


「鈴木、吹部の入部届、持ってきたんです!」


とこっそり伝えた。


すると——


有岡先生の顔が、にっこりと笑顔に変わった。


「よし、受け取る!」


俺は、クリアファイルごと先生に渡した。


有岡先生は、


「私のサイン後、内田先生にすぐ渡す。とりあえず朝の会やるぞ。」


と言い、教室の生徒たちは席についた。


---


黒沢の「起立! 礼! おはようございます!」


クラスの「おはようございます!」


そして再び黒沢の「着席!」


いつもの流れなのに——


気のせいか、今日はいつもより声が大きかった。

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