表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拓海のホルン  作者: 鈴木貴
第1章 迷い(終了から始まり)
12/132

12.少しずつ、切り替えられそうな気がする

テストは……正直手ごたえがなかった。


黒沢のノートの「ここ出る」は本当に出た。


それでも、全く自信はない——。


後日、テスト結果が返ってきた。


黒沢、学年4位。

俺、補習は免れた。


……バスケ部のあいつは何位だったんだろう?


教室では、黒沢が同じクラスのサッカー部のやつに絡まれていた。


「お前何点だよ~?」


黒沢は無言で98点の答案用紙を広げる。


「俺は見せたんだから、見せろよ。」


圧強め。悪い笑顔。


サッカー部のやつは「俺は……」と、こっそり折り曲げた用紙を黒沢に奪われる——。


黒沢が広げると——


「45点!俺の半分も取れないって? 人に絡んでる場合かよ~!

あ、それとも笑いを取りに来た?」


どんどん悪い顔になっていく。


「黒沢ー、もうそれぐらいにしてやれよー。」


クラスの女子が苦笑しながらたしなめる。


すると——黒沢の目が冷徹になる。


「何? あいつのこと好きなん?」


「先生ー!黒沢がセクハラしてきましたー!セクハラ学級委員!」


「えー、点数で最初にケンカ売ってきたのはあいつなんだけど。」


女子は引き際と判断したようで——。


「冗談だよ。先生、解決でーす。」


有岡先生は、一部始終を無表情で黙って見ていた。


帰り道、一人だった。


黒沢は放課後、学級委員の何かがあるらしい。


家で勉強していた手をいったん休め、考える。


黒沢は、ノートのコピーの間に部活案内のプリントを挟んでいてくれた。


ただし、サッカー部のところは黒く塗りつぶされていた。


その上に赤字で『これはない』と。


俺は思い出し笑いする。


「黒沢と書いて悪魔って読む、って言ってたな。」


味方を探す努力をしていなかったのかもしれない。


でも——今は、少し切り替えられそうな気がする。


それだけでも、良かったと思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ