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拓海のホルン  作者: 鈴木貴
第1章 迷い(終了から始まり)
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01.サッカー少年の夢と現実

俺の人生は、ボールと共にあった。保育園の頃から、近所のスポーツ少年団でひたすらサッカーをしてきた。

フォワードとして、ゴールを狙うことが俺の使命だった。

小5ではキャプテンを任され、週末の練習や試合に明け暮れる日々。


だから、中学に進学したら迷うことなくサッカー部へ——それが俺の中の絶対的な選択だった。

部の強さにはあまり期待していなかったが、「俺が入れば点を取れる」という自信があった。

保育園からずっとサッカーを続けてきた親友の佐藤とは、当然のように

「一緒にサッカー部行こうぜ!」

と約束を交わしていた。


仮入部期間を待つことなく、俺は担任に入部届を提出。

顧問に「新入部員第一号!」と紹介され、先輩たちにも温かく迎えられた。

そして翌日から朝練に参加し、先輩たちと同じメニューに加わることになった。


強くないと聞いていたチームだったが、やはり上手い先輩はいる。

部内での模擬試合——俺は身長のある先輩相手にフェイントを仕掛け、フィジカルで勝負した。

先輩から「おっ、やるね!」と声をかけられ、レギュラー候補として認められたことが何より嬉しかった。


しかし、手加減なしの本気プレーには全く太刀打ちできなかった。

学年差の圧倒的な壁を感じ、「まだまだだな…」と実感する。


6月の先輩たちの引退を控え、7月からは正式にレギュラーとしてプレーすることになる——部長と顧問にそう告げられた瞬間、「よっしゃー!」と勢いよくジャンプした。


「ただし、とりあえずミッドフィルダーで。」


先生の言葉に「あれ?」と思ったが、納得もした。

先輩たちのプレーを学び、チームに溶け込むためには、そのポジションが最適なのだろう。


部活の日々は期待に満ちていた。

体育のジャージは練習前には汗と熱で発酵するような状態になっていたけれど、それすらも俺の青春の一部だった。

背番号を確定させるゼッケンを持ち帰って洗濯し、翌日に持参するルール。

そんな些細なルーティンすら、俺にとっては特別だった。


サッカー部の未来——俺の未来は、ここから始まる。

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