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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第二章 濃霧異変
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濃霧異変 26 神力のカラクリ

Twitter→https://x.com/yudora_naruse?t=NXot8S_6i15vALkK1tmwyg&s=09


この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

「レフィが死ぬ……? どういうことだ?」


「そろそろ有り余っていた神力が尽きる頃合じゃ。そうなればあやつは……ただの亜神に過ぎなくなる」


神力は信仰……より厳密に言えば認知から生じる。

事象や存在の認知から生じる信仰力が神髄と呼ばれる神の器官に集積され、そこから世界の秩序に乗っ取って再分配されるのだ。

神髄は神々の全てに網のように繋がっていて、信仰力を神の核……神核へと届けている。

神髄や神核は人間などでは知覚出来ない高次元に存在し、信仰力もまた同様である。

しかし、そのままでは高次元に存在するが故に下位次元への干渉力が無きに等しい。

そのため神核の中で信仰力をより現実への干渉力を強めた形に再構成するのだ。

そうして産み出されるのが神力なのである。


こうした神力のカラクリは神にしか知りえないが、萃香にはわかる。


「つまりじゃな……」


信仰力は厳密に分配される。

雷を認知されたことで生じた信仰力は雷の神に均等に。

猫を認知されたことで生じた信仰力は猫の神に均等に。

毘沙門天への信仰から生じた信仰力は、ただ一人しかいない毘沙門天へ均等に、つまりは全てが分配される。


信仰力は事象への認知と個人への信仰、そして神格に対応する分配がある。


「レフィリアは白雷の神じゃ。故に白雷に対する認知から生じた信仰力は貰える。といえは白雷は雷に類する概念じゃからの。より広い概念、つまりは雷の概念に一部を持っていかれる。それに白雷の神は少ないが他にもいるのじゃ」


事象への認知から来る信仰力は、決して多くはない。

彼女が白虎神と呼ばれるのは彼女が元白虎の獣人だからであり、白虎の神だからではないのだ。


「神格としては亜神じゃからの。これは概念神(イデア)の中では一番下じゃ」


神格に対する分配も最低限。


「それでもあやつが五大神将に名を連ねていたのは、あやつ個人に対する信仰が凄まじかったからじゃ」


第一宗子識神鏡也に従って数多の戦場で戦い、敵にも味方にもその戦いぶりを恐れられた。

荒れ狂う白雷。その戦いぶりは苛烈を極め、多くの者は語り草としたものだ。

あの時代、白虎神レフィリアの名を知らぬ物はいなかった。


「じゃあまさか、その時代に溜め込んだ信仰力を……?」


鏡也はようやくレフィリアの神力が尽きる理由に合点がいった。


「そうじゃ。あやつは神力はともかく信仰力を感知する能力に欠けておるようでな。漏れ出る神気もそのままにしておった。流石にそろそろ尽きる頃合いじゃろうて」


萃香としても戦力の弱体化は避けたかったので何度か忠告したのだが、そもそもやり方が分からないようだったのだ。

これは感覚的な問題なので、萃香でも教えることは出来なかったのである。


「いやしかし、熾獅王とかいうのは獣人なんだろ? 神力なんて無くても勝てるんじゃないのか?」


「あれは1000年前、レフィリアと戦って勝ちに等しい引き分けをもぎ取った男じゃ。神力が尽きれば戦いにもならんじゃろう」


なんで獣人が1000年も生きてるんだよ。

思わず心の中でそうツッコミを入れたが、それどころではない。


「そんなに強いのか……。いや、どうしてそんなに強いんだ?」


「わからぬ」


「わか……え?」


キョトンとした表情を浮かべる鏡也を見て萃香は苦笑する。


「わからぬと言ったのじゃ。わしにもわからぬことくらいある」


博覧強記と言うにふさわしい萃香の知識も決して万能ではない。

盟約の関係上畜生界に入れないのも痛く、萃香も熾獅王の強さの秘密を掴めずにいた。


「そんな奴と戦わないといけないのか……」


戦闘狂ではない鏡也はいかにも嫌そうな顔をしているが、それでも行かないとは口にしない。


「いや、そうとも限らぬ。元々畜生界にレフィリアを置いておったのは、あくまで今回のような乱が起きるのを遅らせるためじゃ。もはや止められぬところまで来たのであれば、無理に畜生界に居座る理由もなかろう」


仮に畜生界を熾獅王以外の者が統べたとすれば、肥沃な幻想郷本土の土地を狙って侵攻をかけてくる危険がある。

今までは内側の熾獅王に目が向いているが、万が一熾獅王が倒れれば畜生界の貧しい住民達の不満は外へ向くことになるだろう。


一方で住民達が熾獅王に歯向かって倒れれば、住民達からの搾取で成り立つ彼の生活はおぼつかなくなり、代わりの搾取対象を求めてやはり幻想郷本土へと侵攻してくるだろう。


とはいえ住民達と熾獅王の両方を同時に倒そうとすれば、それはすなわち畜生界に対する侵略であり、畜生界の神である埴安神袿姫(はにやすしんけいき)を敵に回すことになる。


住民達に熾獅王、埴安神と彼女が率いる埴輪兵軍までもが敵に回れば、幻想郷本土もただでは済まない。


そして畜生界を維持する埴安神を倒せば、畜生界そのものが維持できなくなり、やはり幻想郷本土への侵略が始まるだろう。

それも生き残りをかけた壮絶な侵略が。


「事態がどう進んでも得が無いから、今まで遅延に努めてたってわけか……。待てよ? ならどうしてレフィリアを行かせたんだ?」


「今すぐ神力が尽きるとは限らないからのう。畜生界に派遣されておる配下の回収を行うまでの時間稼ぎがあやつの役割じゃ。本気になった熾獅王の相手を出来る者の中で畜生界へ入れるのは、あやつくらいじゃからの」


「なるほどね。だがそれだと、俺が行っても出来ることなくないか?」


「レフィリアは負けず嫌いじゃからの。素直に時間だけ稼いで撤退するかは怪しいところじゃな」


「ああ……。そこで命令を出せる俺か」


鏡也が命令すれば、レフィリアは逆らえない。


「それならまあ、俺が行くしかないわな」


「我が君! それは危険です!」


仕方ないというように肩をすくめる鏡也に、光凛がすかさず口を挟む。


「行って連れ帰ってくるだけだ。熾獅王はこっちまでは出てこないんだろう?」


「あれは間抜けではないと聞いておる。畜生界の連中とわしらを同時に相手する愚は犯すまいて」


「なら決まりだ。レフィリアを回収しに行く」


鏡也は決定を下した。

光凛と美波はまだ言いたいことがありそうな表情だったが、主君の決定に異を唱えはしなかった。


「よかろう。手配する。無事に帰って来るのじゃぞ」


こうして鏡也達は、畜生界へ向かうのだった……。

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