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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第二章 濃霧異変
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濃霧異変 23 氷の妖祖

Twitter→https://x.com/yudora_naruse?t=NXot8S_6i15vALkK1tmwyg&s=09


この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。



◆登場人物紹介◆



フリージア

種族:妖怪族(妖祖) 年齢:不明

血統能力:冷子支配、身体変化、憑依、眷族創造、妖法行使、契約遵守、浮遊、対妖怪特効、霊体化、隠形

技能権能:妖王覇気、闘気、闘包霊力、具現覇気、超威圧

程度の能力:冷気を操る程度の能力

得意な霊術:妖術

たまに使う霊術:無し

◆13妖祖の一人で《永雪の女王》と謳われる氷の妖祖。

174cmの長身で男装のコート姿。白銀の髪と蒼氷色の瞳の麗人。

鏡也の祖父の知人で、現在は北の極点で眠りについている。

物腰は柔らかいが、何故か逆らうとまずいと思わせる不思議な雰囲気がある。

飛び出して行った光凛を追って、二人も外へと飛び出した。


「おや。まだいたのか。こんな辺鄙な場所に三人も住んでいるなんて。なかなかどうして、物好きも結構いるものだね」


男装の麗人が、石造りの階段をゆっくりと登ってくる。

白銀の髪に蒼氷色(アイスブルー)の瞳。

そして立ち昇る青い鎧気(オーラ)

明らかに只者ではない。

歩みを進める度に足元が僅かに凍りつき、小さな小さな氷の花が咲いていく。


「……止まりなさい。ここは大天神識神鏡也様を祀る霊廟です。許可無く立ち入ることは許しません」


美波は目に見える程の強大な妖気に気圧されつつも、意を決して呼びかける。


「識神鏡也? 智也(ともや)じゃなくて?」


意外にも男装の麗人は素直に足を止め、軽く首を傾げた。


「智也様と言えば……我が君の祖父君ですね」


「へえ。あの智也に孫が……? ちょっと想像つかないな」


まるで、識神智也を見知っているかのような様子だった。

宗神の父にあたる識神智也は、隠者と言われた智識の神だ。

同じ神にすらほとんど姿を見せなかったというかの神を、目の前の麗人は知っているのだろうか。


「……貴女は、何者ですか」


「うん? そう言えばまだ名乗っていなかったね。私はフリージア。何者かと言われても、ただのしがない妖怪だよ」


白銀の髪に蒼氷色(アイスブルー)の瞳。これは妖怪族の中でも雪女の特徴に合致する。

雪女は妖怪族の中でも特別な氏族の一つで、その祖はほとんどの妖怪族の祖である怪王ネクロアンジャス……ではなく、氷の妖祖と言われる《永雪女王》フリージアだ。


「フリージア……?」


妖怪族には、十三妖祖と呼ばれる13人の祖がいる。

《永雪女王》フリージアはその一人だ。


「でも、氷の妖祖はたしか北の極点で眠っているはずじゃ……?」


対外交渉を美波に押し付けて黙っていた光凛が、小さく呟く。


氷の妖祖フリージアは聖戦よりも遙か昔、神世の時代に北極にて眠りについたと伝わっている。

神代の初期に大魔帝を名乗っていた当時の魔人族の指導者を氷漬けにしたという話は残っているが、その後は再び眠りについたはずだ。


「あれは本体じゃないみたいだし、本人なんじゃないか?」


なんともなしに鏡也がそう言ったのは《識眼》で見たからだ。

目の前のフリージアは見た目こそ人だが、その身体は氷の塊で、服は妖気を低次物質顕現で変えているに過ぎない。


「ほう。よく見抜いたね。その眼……キミは智也の血縁だな。名乗りたまえ」


フリージアは本体ではないことを否定しなかった。


「俺は……識神鏡也だ」


「なるほど。キミがこの奥の霊廟の主というわけか。なら一つ頼みがあるんだけど、しばらく私の拠点として使わせてくれないかな?」


その声は威圧的ではなかったが、なんとなく逆らったらまずい気がした。


「っ! 何を―――」


「まあ待て、光凛」


声を荒げかけた光凛を鏡也が制す。


「はッ!」


光凛はすぐさま身を引いて黙った。

たとえカッとなっていたとしても、主君の命令は絶対。

奴隷のように命令を強制されたりしないからこそ、そこの線引きは重要なのだ。


「(意外と素直だな……)」


現状、光凛は鏡也よりも強い。反抗されたらどうしようかと一抹の不安もないではなかったが、どうやら心配要らなそうである。

それよりも、今はフリージアの要求にどう返事するかが重要だ。


「そうだな……。対価は?」


割と勇気のいる問いではあったが、フリージアは怒りだしたりはしなかった。


「なるほど。対価か。私に対価を要求するなんて大した度胸だよ。流石は智也の孫と言ったところかな」


フリージアの識神智也に対する評価はかなり高いらしい。


「しかし、あいにく今は持ち合わせがないな。対価になりそうな物と言えばこの身体くらいだが……」


その発言に美波と光凛は内心穏やかではなかったが、続く鏡也の言葉で僅かに赤面する。


「なんとなく凄そうな素材なのは分かるけどな。何に使うのかも加工方法も分からないような物を貰ってもなぁ……」


今のフリージアの身体は、特殊な氷の塊だ。

対価になりそうな身体とは、この素材のことだったのである。


「ふむ。確かに使い方が分からなければ、これはただ少し丈夫で溶けないだけの氷だな。大した価値は無いか」


溶けない氷と聞けば色々使えそうではあるが、溶けないということは温度が上がらない……つまりは冷気が逃げない断熱性の氷ということで、別に冷たいわけでも周囲が涼しくなるわけでもないので、使い道があるかは微妙なところだろう。

どうやって作るのかは不明だが、自分の依代にする身体が溶けてしまっては困るだろうし、ある意味必然だったのかもしれない。


「とはいえ、私も私の権能によらずにこれを加工する方法は知らないな。何か希望があれば、私の用事が済んだ後に加工してあげよう。それでどうかな?」


「と、言われてもね……。例えばどんなのが

作れるんだ?」


「そうだね。武器ならすぐ作れるよ。複雑な物だと、数日は必要かな。この身体だと細かい作業は難しいからね」


「うーん。武器は間に合ってるかな」


鏡也には鏡理神剣があるし、美波も光凛も神竜刀を持っている。


「武器は要らないか。なら、害意に反応して自動で氷の障壁を生成する妖具なんてどうかな?」


「なるほど。それは悪くないな」


「交渉成立かな?」


「いや、まだ目的と期間を聞いてない。そもそも何の目的で幻想郷に来たんだ? どれだけ滞在する?」


「ああ。それをまだ話してなかったか。いや、特別な理由は特にないんだ。ちょっと眷族の様子を見ようと思っただけでね」


「眷族……雪女か……」


鏡也は小声でそう呟くと美波にチラリと視線を送って問題無いか確認した。

美波は小さく顎を引く。

それが本当ならば特に問題は無いし、嘘をつく理由も見当たらない。


「眷属なら、居場所が分かるんじゃないのか?」


「もちろん。どうやら地下に居るみたいなんだけど、道が分からなくてね。迷路になっているみたいなんだ」


「ああ……。雪女は地底に住んでいるから……」


光凛は納得して小さくこぼす。

地底に繋がっている洞窟はいくつかあるが、どれも内部は複雑で、簡単にはたどり着けないようになっているのだ。


「それにどうにも目的地は暑そうでね。身を休める場所が欲しい。ここは私に合っているから、ちょうどいいと思ったんだ」


本体であれば、暑くても問題は無いだろう。

全てを凍てつかせればいいだけだ。

しかし分体では限界がある。

洞窟の踏破までどれだけかかるか分からない以上、力を無闇に使うべきではないのだ。


「……わかった。条件を飲もう。綺麗に使ってくれるなら好きにしていい。二人もそれでいいな?」


二人の古龍人(ドラゴノイド)は全く同じ動きでうやうやしく跪いた。


「「我が君の御心のままに」」


分体とはいえ妖祖と見事に交渉してみせた主君の決定に異を唱える理由はない。

たとえ今の鏡也が無能に成り下がっていたとしても忠義を尽くすつもりではあるが、主君が有能であるにこしたことはないのだ。


「ありがとう。壊さないように気をつけるよ」


「いいってことよ。美人に頼まれちゃ断れないからね」


「ふふ……。私が美人か。どうやらこの人形は上手く出来ているようだね。何よりだ」


「? そりゃあ、貴女は美人だろう。じゃなきゃ()()()()()()()()()()()()()よ」


「……へえ。この花達を創ったのが私だと、何故わかったのかな?」


雪月花は明らかに普通の植物では無い。

霊力を生命力とするいわゆる霊植物だ。

しかし、霊植物は自然にも存在する。

必ずしも誰かが創ったものというわけではない。


「何となく、かな。その身体の組成と似てる気がしたんだ」


「なるほど。流石にいい目をしているね。称賛は素直に受けとっておくよ。ありがとう」


そう言うとフリージアは階段を上り、鏡也の横を通り抜けていく。


「これからよろしくね」


「うん。まあ俺達はあんまり帰って来ないかもしれないけどな」


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