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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第二章 濃霧異変
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濃霧異変 18 第三位と第四位

Twitter→https://x.com/yudora_naruse?t=NXot8S_6i15vALkK1tmwyg&s=09


この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

「……私の時は受け入れて下さらなかったのに」


「うっ……」


美波のいじけた声に、鏡也は思わず身を竦める。


「わかった。わかったよ。美波も一緒だ。これからよろしくね」


光凛を受けいれた以上、美波だけ拒絶する訳にもいかないだろう。


「っ! 御意のままに」


まだ仕事も探していないのに、女の子を二人も養わなければならなくなってしまった。


「お金、どうしようかなぁ……」


美女に傅かれるのは素晴らしいことだが、忠誠心は永遠でも無限でもない。

彼女達とて人である以上食事は必要だろうし、忠誠心で腹は膨れないのだ。


「我が君、こちらへ。霊廟を案内いたします」


「自分の霊廟を案内されるのか……。妙な気分だな」


霊廟の中には、雪は積もっていなかった。

凍りついた池、火の灯らぬ燈籠、鏡のように磨き抜かれた石畳。

総じて冷たさを感じさせる、荘厳な霊廟だ。


「思ってたより広いな」


霊廟もそうだが、その敷地もかなり広い。

これだけの建物や敷地を一人で整備したのだとすれば、《橙龍》橙山星那という人物は大建築家と言って差し支えないだろう。


鏡也が感心しつつ呆れている間に、二人の古龍人(ドラゴノイド)が不穏な会話を繰り広げてた。


「美波、腕が落ちたのでは?」


「……言ってくれますね。先程は護衛対象がいたから押されただけです」


「我が君の護衛である十劉傑が、護衛対象がいたからと言い訳するわけか……」


「いいでしょう。その挑発……乗ってあげます」


じりっと脚を開いて石畳を踏み締め、腰に帯びた長刀に手をかける。


「調子に乗った小娘には、躾が必要というもの」


「若輩者とナメてかかるから序列を奪われるのよ」


バチバチと幻想の火花を散らし、二人は龍気を立ち上らせた。


「えぇ……。ちょっと目を離した隙になんかバチバチなんだけど……。血の気多すぎじゃね……?」


龍族は平和と平穏を愛する種族だって聞いていたんだけどなぁ……。

そうボヤいているウチに、二人の闘いは始まった。


「「銀龍式抜刀術」」


二人は同時に構え、踏み込む。


「「龍爪銀閃ッッ!!」」


闘気を帯び、銀色に輝く龍気を纏った二振りの神竜刀が激突する!


「あちゃー。石畳割れてるし……」


せっかくの鏡のように磨き抜かれた石畳が台無しだ。

もし自分が建築者なら、ブチギレる自信がある。


その思考を察したわけでもないだろうが、二人の古龍人(ドラゴノイド)は翼を大きく打って空へと舞い上がると、空中で激しい剣戟を交わし始めた。


清瀧美波の剣技は、剛剣と呼ぶにふさわしい。

圧倒的な剛力で相手の剣先を叩き落とすことで、鉄壁の防御を実現する。

剛力と技術による、攻めの鉄壁。それが清瀧美波の剣技だ。


「相変わらずの馬鹿力……!」


「貴女こそ。相変わらず速いですね……!」


白峰光凛の剣技は、速さの剣技だ。

突きが主体でやや変化に乏しいが、とにかく速い。

ただでさえ防御の難しい突きを、凄まじい速度で放ってくる。


「シッッ!」


裂帛の気合と共に、凄まじい速度の突きが放たれる。


「ハッッ!」


しかしその切先は、美波が剛剣を合わせて叩き落とした。

突きというのは防ぎづらく、腕を伸ばす分リーチも長い。それでいて殺傷力は高く、何処に刺されても戦闘力は減じるだろう。

しかし弱点も当然存在する。

横から力を加えられると弱く、軌道を逸らされやすいこと。そして腕を伸ばす分連続で放ちづらく隙があることだ。

白峰光凛はその弱点を、速さで克服した。

特別に軟らかい腕の筋肉が、より素早い突きと引き戻しを可能としたのだ。

白峰光凛の突きの剣速は、第ニ位《紫龍》紫垣玲依(しがきれい)に匹敵する。

だが、それでも。


「剣技ならば、私が負けることはありません」


剣の腕ならば、美波の方が上だ。

光凛の剣は確かに速い。完全に軌道を逸らせるかと言われれば否だろう。

しかし、掠る程度に抑えることは出来る。

掠る程度であれば、龍気と闘気と龍鱗に守られた美波に傷は付かない。


「ならば、勝てると?」


「…………」


それもまた難しい。

美波の剣技は光凛を上回るが、攻めに特化した光凛の剣を捌くことは出来ても、逆に攻め切るのは難しいのだ。

そしてそこで勝ちきれないからこそ、美波は第四位で、光凛が第三位なのである。

何故なら……


「……宿星の力は、戻っていないのですか」


光凛にはアマテオラの加護がある。

第二位《紫龍》が紫電の宿星ゼオラインに呪われたように、十劉傑の上位三人は古龍人(ドラゴノイド)が種族として持つ以外の力を持っている。

美波は上位(グレーター)古龍人(ドラゴノイド)であり、その中の上澄みだろう。

しかし、それ以上では無い。


「……それが、知りたかったのね」


美波は普通ならあの程度の挑発に乗ることはない。

照れ隠しくらいの気持ちで放った挑発だったが、ようやく合点がいった。


「いいだろう。我が忠誠の証、とくと見よ。輝きをこの身に。アマテオラッッ!」


南天の星が瞬き、光凛の身から陽光が溢れ出す!

少し遅れてすみません。

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