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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第二章 濃霧異変
70/78

濃霧異変 17 白峰光凛と勘違い

Twitter→https://x.com/yudora_naruse?t=NXot8S_6i15vALkK1tmwyg&s=09


この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。



◆登場人物紹介◆



白峰光凛(しらみねひかり)

種族:古龍人(ドラゴノイド)♀(先祖返り) 年齢:約3000歳。

血統能力:真龍変化、身体変化、鱗鎧、龍力、龍域、時空操作、浮遊、低次物質顕現

技能権能:闘気、龍覇気、威圧、闘包霊力、因果解放

程度の能力:宿星の力を操る程度の能力

得意な霊術:無し

たまに使う霊術:法術

◆十劉傑第3位《白龍》。

白い瞳と、腰にとどきそうな程の艶のある美しい白髪の持ち主。

さらしを巻いているので分かりずらいが、胸はそれなりにある。

宿星の勇者であり、明陽星アマテオラの加護を受けている。

所有する神竜刀『白崩』は鏡也から下賜されたもので、宝物。

頑固なところがあり、常識と違うことが起きると、常識の方を信じがち。

目玉の覗く不気味な空間を抜けると、そこは雪山だった。

ただし、普通の雪山ではない。


「なんだこれ……? 氷の……花……?」


一面の雪から生えているのは、氷で出来た花。


「雪月花です。一年中雪に包まれる高所にのみ群生します」


そう解説したのは、清瀧美波だ。


「説明ありがとう。ところで、こっちに来て良かったのか? なんかまずいことが起きてるんだろう?」


先導するように山頂へ向けて歩き出した美波の後を追いながら、そう尋ねる。


「レフィリアが向かいましたから。しばらくは持つでしょう。それに……私達にとっては、畜生界より我が君の方が大切なのです」


畜生界に住まうのは、獣人と獣系の妖怪がほとんどだ。

古龍人(ドラゴノイド)である美波にとって獣人族は別に同胞という訳でもなく、幻想郷への影響を懸念した紫の依頼で動いているに過ぎないのだ。


「見えて参りました。あれが光凛の住む霊廟です」


それは大きくは無いが、美しく荘厳な建物だった。


「……あれ、誰が建てたんだ?」


建設を依頼したのが白峰光凛だということは聞いたが、実際に建設した者が別にいるはずだ。


星那(せな)が……《橙龍》橙山星那が建てたものです。我が君のための霊廟ですから、星那も気合いを入れておりました」


「……星那は建築家かなんかなの……?」


とても素人が建てたものとは思えない。


「いえ。とても器用な人なのです」


器用の域を超えてるような気もするがそれを言っても仕方がない。

鏡也はそっと口を噤んだ。


「ん? なんだ? 霊廟の門が____」


開く。そう言い終わる前に、美波の気配が膨れ上がった。


「我が君ッ! お下がりをッッ!」


美波は鏡也を庇い、腰に帯びた神竜刀を勢いよく引き抜く。

直後。白閃が閃いた。


ギャリィィィィンッッ!!


龍気と龍気が激突し、幻想の火花を散らす。

白閃の正体は、白い髪と瞳の古龍人(ドラゴノイド)だった。

察するに、彼女が《白龍》白峰光凛だろう。


「邪魔をしないで。今、解放します」


「落ち着きなさい! まずは話を____」


美波が言い終わるより速く、光凛が追撃を放つ。


「閃空円斬」


「っ! 我が君!」


ふたたび美波が庇いに入るが、光凛はそこを狙って畳みかける。


「くっ! 光凛ッ! 我が君の御前ですよ!」


光凛はその声には応えず、美波越しに鏡也を睨む。


「我が君を騙る不届き者め。そこで待っていろ。その首、すぐに落としてやるぞ……!」


凄まじい殺気だ。


「偽者だと思われてるのか!」


「違うとでも?」


「落ち着きなさい。光凛! レフィリアも認めたのです! 偽者ではありません!」


そう同胞から聞かされても、光凛は信じない。


「何を馬鹿な。我が君がご復活なさるにはどう考えても早すぎる!」


概念神(イデア)の復活には、少なくとも千万年単位の時間がかかる。

たった2000年で復活したと言われても信じられないのは当然だ。


「覚悟ッ!」


「なっ!? 我が君ッッ!」


ここ2000年実戦から遠ざかっていたとはいえ、光凛は第3位。第4位の美波とは僅かながら実力差が存在する。

普通に戦ったなら決定的ではないその差も、鏡也を庇いながらでは話が変わってくるのだ。

光凛の斬撃がついに美波の防御を抜き、鏡也に迫る。


「来い。アクルパルファムッ!」


確固たる意志を持って、愛剣に命じる。

唯一無二の主の呼び声に応えて顕現した神剣が、光凛の斬撃を受け止めた。


「なっ……!? それは……その剣は……!」


本来、鏡也の技量では光凛の本気の斬撃を受け止める事など不可能に近い。

光凛がアクルパルファムを見て動揺しなければ首が飛んでいたであろう。


「そんな……その剣は……我が君の母君が命を賭して産み出した、我が君にしか使えない神器のはず……」


光凛の身体の闘気が霧散していく。

鏡理神剣アクルパルファムは、第一宗子識神鏡也の母親にあたる鏡神アクルネイシアが産み出した神器だ。


「……そうなのか?」


ワナワナと震えはじめた光凛を見つつ、美波に確認する。


「はい。その剣……鏡理神剣アクルパルファムは我が君にしか応えません」


「そんな凄そうなものだったのか……」


神器にも当然、格というものがある。

神の命と概念を賭して生み出されたアクルパルファムは、神器の中でもかなり高位にあたるのだ。


「ももも、申し訳あまりせんッ!!」


光凛は大慌てで地面にひれ伏した。

慌て過ぎて噛んでいる。


「まあまあ、落ち着いて。気にしてないよ」


危うく首を飛ばされかけた鏡也だが、美人には甘かった。


「いえ!! そうは参りませんッ! かくなる上はこの首で____!」


光凛は一切の躊躇い無く、抜き身のままだった神竜刀『白崩』を己の首に添えた。


「ッ!」


その光景には不思議と憶えがあった。

その昔、頑固な彼女がようやく忠誠を誓ってくれた少し後。

やる気が空回りして大きな失敗をした光凛は、こうして首に神竜刀を当てて責任を取ろうとしていた。


「女の子は、多少ドジなくらいの方が可愛げがあっていい」


「ッッ!!」


光凛の手から力が抜け、神竜刀が滑り落ちた。

その頬を涙が伝い、光凛は主君の復活を確信する。


「それは……あの時の……」


かつて光凛が首を落として責任を取ろうとした時、鏡也はそう言って笑った。


「なんとなく、思い出した気がする」


「ああ……ああ……! 我が君……! 我が君!」


光凛は勢い良く鏡也に抱き着き、泣きじゃくった。

鏡也はそんな光凛をそっと抱きとめると、かつてそうしたように言葉をかける。


「共にいこう。鏡に笑顔が映る世のために」


「はい……! どこまでも、お仕え致します……!」


とどめなく流れる涙を拭い、光凛は力強く応えた。


一点の曇り無き忠誠を、明陽星アマテオラは感じ取っていた……。

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