識鏡録 06 霊力と識眼の扱い方
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
泊まる部屋を決めると、長命者なのに気の短い萃香はすぐに修行をつけると言い出した。
「で、修行って何からやるの?」
「まずは知識からじゃ。おぬし、どこまで憶えておる?」
飄々とした態度から時折覗く長命者らしい知性。全てを見透かすような超然とした視線だ。
「なんも。さっき言ってた霊力っていうのもなんの事だか……」
「霊力とは、ざっと言えば魂から零れ出るエネルギーのことじゃ。妖術、魔術、法術。体系は数あるがのぅ、霊力を利用する術を霊術と呼ぶのじゃ」
「……それを教えてくれるのか?」
「それも教えるがの。通常、霊力の扱い方は子供のうちに覚えるものなのじゃよ」
「え? じゃあ使えないのか?」
「いや、おぬしのその眼があれば使えるはずじゃ」
萃香は『はず』と言いながらも、どこか確信ありげな表情だった。
「この眼は……使ってもいいのか……?」
鏡也は眼の使い方は憶えていた。だが、使っても大丈夫なのかは憶えていなかった。だからこそ躊躇していたのである。
「平気じゃ。使ってみよ」
鏡也は瞳に意識を集中させる。
どこか懐かしいような感覚。記憶は無くしても、どこかで憶えている。霊力の扱い方、権能の使い方。全てを識るその眼のことを。
鏡也の瞳に複雑な紋様が浮かんだ。
「(おお……! 出力は微弱じゃが、あれは確かに……!)」
萃香は思わず嬉しくなって笑顔を零す。
2000年の停滞が今、終わろうとしていることを感じて。
「ふふふ。まずは霊力の扱い方からじゃな」
そう言うと、萃香は霊力を練り上げる。
活性化した霊力が周囲の霊気を震わせ、霊波を起こす。
霊力の操作は、それに類する権能を持たない限りコツコツと修練を重ねるしかない。
それは永い永い時を生きてきた萃香の努力の結晶だった。
「なるほど……こうか!」
鏡也もまた霊力を練り上げる。
「(一目か。流石じゃな)」
鏡也が練り上げた霊力は、萃香と遜色ないものであった。
「あらゆるものを識る瞳。さしずめ《識眼》じゃな」
萃香がかつて見ていた同種の権能に比べればまだまだチャチなものではあるが、それでもこの性能は恐るべきものだった。
「ふふふ。面白くなってきたわい」
「……よく分からんが、楽しそうで何よりだ」
「ああ、楽しいのぅ。おぬしにわしの持つ全てを教えてやる。喧嘩友達が居なくて退屈していた所じゃ。徹底的にいこうぞ……!」
鏡也は思わず後ずさる。
「ちょ、ちょっとま――」
「さて、そうと決まれば早速修行じゃ! まずは霊術からじゃな! なに、おぬしならばすぐじゃよ!」
「待て待て! 飯くらい食わせろ!」
「それは修行の後じゃ」
「…………」
この投稿頻度は一時的です。恐らく。