濃霧異変 16 白虎神の扱い方とスキマ
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この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
◆登場人物紹介◆
八雲紫
種族:妖怪族♀ 年齢:不明
程度の能力:境界を操る程度の能力
得意な霊術:妖術
◆元七大妖怪の一人にして現在は幻想郷の管理者の一人。大老とも呼ばれる。
通称スキマ妖怪。神々の御業にも匹敵する規格外の権能を持ち、妖界大戦期には最も怪王(妖怪族の王たる概念神)の座に近いと言われていた。
「すみません……主様ぁ……。棄てないでください……」
蘇生されたレフィリアは、耳と尻尾を落として縮こまった。
こんな美少女に潤んだ瞳で懇願されては、怒る気も失せるというものだ。
「あまり甘やかしてはいけません。しっかり手網を握っていただかねば……」
「(え? この子俺より強いんだけど……?)」
一瞬そう思ったが、よく考えればレフィリアは奴隷なのだ。命令すればいい。
そう考えれば、不可能という程ではないだろう。
「……ん? というか、管理者なんだろう? こんな所に居ていいのか?」
レフィリアは畜生界にいる……と萃香が言っていたはずだ。
「良くはありません。留守は緋波と咲命に任せてありますが……」
聞いた事のない名前が出た……と思っていると、それに気付いた美波が頭を下げる。
「失礼しました。十劉傑第5位《紅龍》赫柄緋波と第10位《黒龍》黒柳咲命です」
「……もしかして全員幻想郷にいたりする?」
もし全員がふたたび仕えたいなどと言い出したら大変なことになる。
かつての自分がそこまで慕われていたとは思っていないが、美波の様子を見ていると有り得なくはない気がしてくるのだ。
「いえ。幻想郷にいるのは博麗の郷で警備している第7位《橙龍》橙山星那と第9位《茶龍》茶室摩耶……。それと、白頭山の山頂で我が君のお帰りをお待ちしている第3位《白龍》白峰光凛だけです」
十人中、六人。多いのか、少ないのか。
第一宗子に仕えていたということは、2000年前の大戦にも参戦していただろう。
十人全員は残っていないのかも知れない。
「我が君にお願いしたき儀がございます」
ふたたび膝を折り、臣下として奏上する。
「我らには新たな居場所があります。皆ふたたび我が君に仕えたく思ってはおりますが、我が君が望まれぬとなれば致し方ありません。ですが……」
滲み出る悔しさを何とか抑え、彼女は続ける。
「どうか、光凛だけは……。光凛は我が君の霊廟を建て、そこで我が君のお帰りを待っております。彼女にとって、我が君への忠誠は全てでした。どうか……どうか彼女だけでもふたたび麾下にお迎えいただきたく存じます」
それは、大事な後輩を心配する年長者の願いだった。
「フフフ……。ここで断るのは男が廃るわね?」
突如としてどこからともなく声がして咄嗟に周囲を見回す。
「なんだあれ……?」
「スキマ……。八雲殿か」
八雲……というと管理者の一人、八雲紫だろうか。
スキマと呼ばれる不思議な権能を行使すると萃香は言っていた。
あの、目玉のような模様の見える裂け目のようなものがスキマなのだろう。
「直接話すのは久しぶりね。清瀧殿」
畜生界にいる間も、スキマを通して定期連絡はしていた。
しかしその相手は紫の部下の八雲藍で、紫と直接話す機会は久しくなかったのだ。
「はい。して、今回はどのような厄介事で?」
迷いない。まるで厄介事しか持ってこないみたいである。
「あらあら。まるで私が厄介事しか持ってこないかのような……」
「持ってこないでしょう。貴女が直接来る時は……」
即答である。
紫は普段は一日の時間のほとんどを寝て過ごしているので、火急の要件でなければ部下を遣わしてくる。
本人が出向くということは、それだけの大事ということなのだ。
「まあ……そうね。それで要件だけど____」
紫と美波が話し込み始めると、監視が解かれたせいかレフィリアが擦り寄って来る。
「すんすん……いい匂い……ああ……主様……!」
「なんかまた発情しかけてない? ちょっと落ち着いてよ」
「ひゃう!? ご、ごめんなさい……」
冷水を浴びせられたかのような顔だ。
《言霊》と呼ばれる、言葉に霊力を込めて発する技術を使ってみたのだ。
おもに奴隷や言葉の通じない契約者などに対して使うもので、特に奴隷に強制的に言うことを聞かせる時に役立つ。
奴隷契約には、言霊に反応して言うことを聞かせられるような術式が組み込まれているのである。
「(この子が俺の奴隷なのはほぼ確定か)」
演技してる可能性はあるが、そういうことが出来る手合いには見えない。
それも演技だったなら、いっそアッパレとでも言うべきだろう。
彼女が上手だったと諦めるしかない。
ならば、彼女は信用しよう。
「正直に答えて。あの子は……美波は、信用出来ると思うか?」
紫と話している美波の耳がピクリと動く。
あえて聞こえるように言ったのだ。
「? よくわかんないけど……美波ちゃんはいい子ですよ?」
キョトンとした表情で、レフィリアは答える。
「そっか。そうだね。ありがとう。レフィ」
何故かその言葉は、口からスルッと滑りでた。
気付けば、手が頭を撫でていた。
まるで、かつて何度もそうしていたかのように。
「はにゃ~♡」
まるで猫である。
白虎としての矜恃は無いのか。
心の中でツッコミながら、顎を掻いてやる。
「~~♡♡」
可愛い。ペットの猫をあやしている気分だ。
そんな経験は無いのだが。
「主様ぁ……♡」
「はいはい。落ち着いてねー」
段々とレフィリアの扱い方が分かってきた気がする。
「我が君、少しよろしいですか。レフィリアをお借りしたいのですが」
「え?うん」
「ありがとうございます。では」
「そんな!? 主様ぁ~!」
久しぶりに再会したご主人様から離れたくないのか、しがみつくレフィリア。
「レフィ。引き受けた仕事はちゃんとしなきゃダメだぞ。今は畜生界で何かやってるんだろ? こんな所にいていいのか?」
「うっ……。レフィは主様のモノだから、主様の傍にいる!」
だから養えないんだって。
レフィリアは神の位階に到達しているので食事を必要としないが、元が人なので腹は減る。
腹を空かせた女の子の前で自分だけ食事を摂るというのは、精神衛生上よろしくない。
それに、今も有効なのかは知らないが、奴隷保護条約とかいうのに引っかかるだろう。
「フフフ……。モテモテね。さあ、こっちへいらっしゃい。白頭山まで送ってあげるわ」
「あ、白頭山に行くことは確定なのね……」
「行くのでしょう? 美しい乙女に懇願されて、断る貴方ではないものね」
知ったようなことを……と言いたいところだが、どの道押し切られていたような気はするので、グッと堪えた。
「行きましょう。我が君」
そう促され、鏡也はスキマへと足を踏み入れるのだった。




