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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第二章 濃霧異変
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濃霧異変 15 核心への踏み込み

Twitter→https://x.com/yudora_naruse?t=NXot8S_6i15vALkK1tmwyg&s=09


この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

十劉傑。それは十人の古龍人(ドラゴノイド)で構成された、第一宗子識神鏡也の親衛隊のようなものである。

元々は龍人国の防衛を担う部隊の一員だった。


龍人族(ドラゴニュート)は争いを好まない。

故に、龍人国には戦争に使う軍隊というものが存在しなかった。

龍人族(ドラゴニュート)の中にごくまれに生まれてくる先祖返りの古龍人(ドラゴノイド)を生後すぐに国が引き取り、専用の教育を施して護国の戦士とする。

特別な血筋でもなければ名前すら与えられることのない、そんな数十人しかいない戦士達が、代々龍人国を守っていたのだ。


しかし、そんな歴史にも変化の時が訪れる。

宗神陣営が他の勢力を降し、残すは龍人国だけになったのである。

いかに古龍人(ドラゴノイド)が強いと言えども、他の全勢力を相手にしたら勝ち目は無い。

当時の龍皇(りゅうおう)が気弱な性格だったこともあり、龍人国は国民の安全と引き換えに降伏した。


宗神は、軍門に降った勢力に戦力を差し出させていた。

各種族の戦力比の調整、種族間の交流、反乱の抑制……狙いは多々あってのことだが、龍人国の場合はこれまでとは状況が異なる。


戦いの果てに疲弊して降伏した他の勢力とは異なり、龍人国は無傷のまま降伏した。

龍人国は疲弊していなかった。

宗神が倒れれば、混乱に乗じて龍人国は再び独立出来るだろう。

そんな情勢下において、古龍人(ドラゴノイド)を宗神の近くに置いておくわけにはいかない。

そこで宗神は、龍人族から人気のある第一宗子に古龍人(ドラゴノイド)を任せることにした。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。なんで第一宗子は龍人族から人気があったんだ?」


「……失礼しました。それは、龍人国以外に住む龍人族(ドラゴニュート)を保護していたからです」


龍人国を護る古龍人(ドラゴノイド)の部隊《名も無き(ネームレス)龍騎士(ドラグナイト)》は、あくまで護国の部隊だ。

龍人族(ドラゴニュート)を守るためと教育されてきたのに、余計な争いを生むからと国外の同胞には手を出せない。

そんな状況にままならぬ想いを抱いていた者達にとって、国外の同胞を保護してくれる第一宗子は心の支えとなった。

自分達が助けられない国外の同胞も、彼が保護してくれる。

その事実に、どれだけ救われたことか。


「良い奴じゃないか。第一宗子」


萃香が第一宗子のことを「美人と見れば助けたがる女好き」だとか言っていたから、ろくでもない奴なのかと思っていた。


「はい。とても」


間髪をいれずに美波は同意する。


「我々十名は選ばれ、十劉傑の称号に、名前と太刀を与えていただきました。それに……個性も」


「個性?」


「この髪と眼を。そして《蒼龍》たれと」


古龍人(ドラゴノイド)は本来、煌銀色の髪と瞳を持つ。

より龍の血が濃い真古龍人(ハイドラゴノイド)には内包する属性が瞳に現れたりするが、見たところ美波はただの古龍人(ドラゴノイド)だ。

察するに、髪や瞳の色を変える許可を与えたとか、そういうところだろう。

上位種にしかない特徴を模倣することは、本来不敬とでも言うべき行為だ。

しかし、主からの命令があれば話は変わってくる……。


「(ん?)」


そこまで考えて、鏡也はふと違和感に気付く。

その様子を見て、美波は核心へ踏み込んだ。


「我が君は我ら十劉傑にとって、仕えるべき主君なのです。どうか、再び忠誠を捧げることをお許しください」


そうだ。彼女は「我が君から名前と太刀を与えられた」という旨の発言をしていた。

だが今度は、第一宗子に名前と太刀を与えられたという。それはつまり……


「そのご様子、やはり萃香からは何も聞いておられないのですね」


まさか……まさか……


「俺が…………第一宗子だって言うのか…………?」


「その通りです。我が君」


流石においそれと信じられることではない。


「いやいや、そもそも俺は神じゃないし」


宗神の息子と言うからには、神……少なくとも半神ではあるはずだ。


「いえ。微弱ですが、我が君からは神気を感じます。恐らく、復活が早すぎたのでしょう」


「いやいやいや……。仮にそうだったとして、どうして本物だと分かるんだ? 第一宗子が行方不明になったのは2000年前だって萃香から聞いてるぞ。普通に考えれば、何者かが成りすましてるとか、そういう感じだろ」


一度滅んだ神の復活には、最低でも万単位の時間がかかる。

いくらなんでも2000年は短過ぎるのだ。


「レフィリアが、我が君に抱き着きましたから」


「レフィリアって……」


幻想郷の管理者の一人……だったか。


「それです」


「それ……?」


そう言われ、美波の視線を追う。

さっき首を絞められていた少女が目に止まった。


「まさか……この子がレフィリアなのか……? というか、なんか魂抜けかけてない? そろそろ蘇生しないとまずいんじゃ……」


いくら神とはいえ、いつまでも死んでいてはまずいだろう。


「……そうですね」


「なんか間がなかった?」


「……気のせいです」


忘れてただろ。


「というか、なんでレフィリアが抱き着いたら本物ってことになるんだ?」


「レフィリアは、我が君と交わした奴隷契約を残しています。奴隷契約は、主人の居場所がなんとなく分かるように、また主人を間違えないように見分けることが出来るようになります」


仮に偽物なら今頃殺されてる……というわけだろうか。


「え? 奴隷なの?」


言われてみれば、たしかにそんな気がする。

今の今まで気付かなかったが、それは恐らく認識していなかったからだろう。


こんなに(見た目だけは)美人で可愛らしい奴隷を侍らせていただなんて……


「いやいや、それどころじゃなかった。そろそろ蘇生してあげたら? 本当にまずそうだけど」


「御意のままに」


美波はふところから複雑な模様の刻まれた蓄霊石を取り出すと、レフィリアに押し当てて唱える。


蘇生(リザレクション)


蓄霊石が光り、術陣が展開される。

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