表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第二章 濃霧異変
64/78

濃霧異変 11 白頭山の霊廟の夜空

Twitter→https://x.com/yudora_naruse?t=NXot8S_6i15vALkK1tmwyg&s=09


この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

霊夢達が背理神と遭遇したその夜。

白頭山の山頂では、吐く息が白くなる寒空の下、白峰光凛(しらみねひかり)がいつものように星を眺めていた。


ここ数日、白頭山では曇天が続いており、この夜はほんのり久しぶりの星空観察だ。

このような僻地で一人暮らしなので、娯楽といえばこれくらいしかない。

とはいえ、星の動きは周期的なもの。2000年も見ていれば、もはや見慣れた景色である。


「……?」


見慣れた景色……のはずだった。

すぐには気付けなかった。

目を逸らしていたから。


「アマテオラ……?」


明陽星アマテオラ。一点の曇りも無い忠義を好む、南天の低い位置に耀く宿星だ。

この宿星は《創造の月(ゼルヴァルノア)》などとは異なり、通常は加護を与えられた者にしか見えない。


「どうして……」


ここに住むようになって2000年、アマテオラを目にすることは無くなった。

かの大戦で忠誠の対象を失い、アマテオラは光凛を見捨てた……はずだった。

それが今、かの星は南天に耀いて彼女に加護を与えている。

2000年前はまだ未熟で加護の力を扱えなかったが、今は少し意識するだけで心温まる優しい加護の力を感じる。


「一体何が起きているの……」


光凛は額のツノにかかる艶めいた白髪をかきあげ、他に変化が無いか空を見上げる。

長く美しい髪が、寒風に揺られてなびいた。

この髪は彼女の忠誠の証だった。

初めて主君に(まみ)えた際、名前の無かった彼女は名前と共に初めての命令を与えられた。

遠くからでも他の者と見間違えることの無いよう、白い髪と瞳であること。

光凛はそれを今も忠実に守っているのだった。


「他は……変わりないか」


夜空を淡く照らし出す《創造の月(ゼルヴァルノア)》も、いつもと変わりないように見える。

宿星に何らかの異変があったというわけではなさそうだ。


「…………」


光凛は目を閉じ、加護を通して宿星の意志を感じ取る。

宿星は通常自我が無いが、意志はあるのだ。


「うーん……」


期待のようなものは感じ取れたが、詳しくは分からなかった。

宿星が何を求めているのかは簡単に感じ取れるのだが、それは昔と変わらない。

一点の曇りも無い忠義。しかし彼女の主君は2000年前の大戦で失われている。


「さっぱり分からないな……」


しかしそれでも、何かが変わる前兆であることだけは間違いないだろう。

これを吉兆と見るか、凶兆と見るか。

光凛には、この温かい加護が凶兆だとはとても思えなかった。


光凛は視線を左方へ向ける。

そこには唯一と誓った主君を祀った霊廟があった。

2000年前の大戦が終結して幻想郷が出来た後、同じ主君を戴いた同胞に頼んで建ててもらったものだ。

それ以来、ずっとここを守って暮らしている。

行き場の無い忠誠心を抱えたまま、2000年の時を過ごした。

長く、空虚な2000年だった。

まだ若い光凛にとって、2000年は長い。

今後2000年もまた空虚に過ごすと思えば気が重い。

それでも生き方を変えようとは思わないのだが。


「我ながら難儀な性格……か……」


天狗が何か大きめの術でも試しているのかも知れないし、あるいは新たに宿星の加護を受ける者が生まれたのかも知れない。

結局は何も分からなかったが、何となく今夜は夜通し霊廟にある主君の神像に祈りを捧げようと足を向けるのだった……。

鏡也の方に飛ぶとは言った。しかし本人の話になるとは言ってない(殴)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ