濃霧異変 09 二柱の問答
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この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
亜空間。そこでは今、簡易神域が展開され、超越の域に踏み込んだ二柱の神が対峙していた。
「「…………」」
神域をぶつけあい、削りあいながら、二柱は静かに睨み合う。
「さてさて。まずはお決まりの問答からだね。……キミはどうして主様に従わず、奥方様を脅かそうとするの?」
ルージェがそう問うと、背理神は鼻で笑った。
「何度問われようと答えは変わらぬ。我はそう在るべく生まれ、そうあらんと望んだ。ただ、それだけのことに過ぎぬ」
全ての理に背き、全ての秩序を捻じ曲げる。
それが背理神というものだ。
「ふーん。ボクはそうは思わないけどね。キミはかつて、超越神に挑んだ。でもそれは、秩序を司る奥方様に……じゃなかったよね?それはどうしてかなー」
「……見つからなかったのだ。そやつの名も姿も、我は知らぬ」
神話では、秩序を司る超越神だけは名も姿も伝わっていない。
かの神はより良い秩序をもたらすため、記憶と人格を封じて人に転生して生きている。
ルージェはその姿も名前も知っているが、口にすることは御方の命令で禁止されている。
御方は自らの妻の名を利用されることを嫌い、広まらないように口にすることを禁じたのである。
「ふーん? それで、いっつも創世神殿を留守にしてどこかに遊びに行ってるララちゃんを狙ったの? 時針枢刻宮に引き籠ってるクロノア様じゃなくて?」
いつ創世神殿に帰るかわからない創世神ララを狙うより、絶対に時針枢刻宮にいる時神クロノアを狙う方が確実だったはずだ。
「最も戦闘経験の浅いララちゃんを狙った……。そうでしょ?」
創世神ララは、超越神で唯一同格との死闘を経験したことがない。
「…………」
背理神は答えない。
「キミは秩序を捻じ曲げたいわけじゃなくて、ただ力が欲しいだけの俗物だよね?」
ルージェのその決めつけに、今度は背理神も黙ってはいない。
「否である。我は全てを奪い、捻じ曲げ、そして棄てる者なり」
「……っ!」
それまで平坦だった背理神の声に、初めて感情の色が見えた。それは憎悪だった。
その声に含まれた憎悪は想像を絶した。
ルージェはこれまで背理神を、そう生まれただけの秩序への反逆者か、ただ力を求める理想無き俗物かだと考えていた。
しかし、彼はそのどちらでもなかった。
「そっか。キミは……復讐者なんだね」
「然りである。我は遍く全てを斥け、必ずこの不条理から背理する!」
その宣言の直後、背理神は戦闘態勢へと移行した。
問答は終わる。
ただ勝者のみが、ことの結末を語るであろう。
超越の戦いが、今始まろうとしていた。




