濃霧異変 06 背理せし者
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
◆登場人物紹介◆
ルージェ・ベロニカ・アルサデス
種族:元悪魔族の皇神 年齢:数百億歳
血統能力:浮遊、霊体化、念話、時空支配、魔気、魔眼、魔法掌握、超天使特効、超悪魔特効、魅了、魅惑、眷属召喚、影法行使、影移動、隠形、契約遵守、神気、神通力、神意霊鋼創造、神域操作、加護付与、同時顕現
個別権能:概念掌握、超次物質顕現、神速演算、並列演算、並列思考、復元再生
技能権能:闘気、闘包霊力、魔王覇気、具現覇気、分霊分離
得意な霊術:魔術、呪術、操影術
稀に使う霊術:召喚術
◆虹の九騎士の一人《赤外の騎士》
黒い髪と紅い瞳を持つ美しい元悪魔。
背は低く外見は幼いが、九騎士の最年長。
《純善たる悪魔》と言われる、悪魔族としては極めて珍しい美しい心根の持ち主。
「ゲェ!? アルファ!? は、早くない……?」
現れたのは、虹の九騎士の一人《紫外の騎士》アルファ・コマンド・プロト・マキナ。
「早くない? ではありません! 主様は当機にお任せになると仰られたではありませんか!」
アルファは怒っているというより、動揺しているようだった。
「だ、だってぇ……。ケリドゥヌスが来るんでしょ? やっぱりアイツはボクの手で始末したいしぃ……」
ルージェはそうモゴモゴと言い訳する。
「言い訳は不要です。主様は待機をお命じになりました。これは背信行為です」
「まあまあ、そんなにカッカしないでよ。御方は器が大きいから、きっと気にしないよ」
これにはアルファも同意する。御方は臣下の自主性に寛容だ。
ましてや大恩ある御方のことが大好きなルージェには、私怨を交ぜつつも根底に「御方の役に立ちたい」という想いがある。
かつて御方は言った。「全員が全員思い通りに動いたら、全部予想通りでつまらないでしょ?」と。
「主様は当機にお命じになりました。忠実に動く駒としてご期待を授かる当機にです。今回の命令違反は高くつきますよ」
全員が全員思い通りでもつまらないが、全員が全員思い通りに動かなければ、それはそれで困る。
真面目なアルファは、御方より命令通りに動くことを期待されているのだ。
そんなアルファに任せられたということは、ここが狂ってはまずいということに他ならない。
「うぅ……」
ルージェとて馬鹿では無い。
御方の役に立ちたいというそれだけであれば、今回の暴挙には及ばなかったであろう。
「でも……。ケリドゥヌスは許せない。必ずボクの手で消し去ると約束したの。それが搾りカス未満の分霊でも!」
悪魔族にとって、契約は極めて重要なものだ。
約束は契約とは少し違うが、ルージェにとってこの約束の重みは契約と変わらない。
既に悪魔族を超越した存在となってはいるルージェだが、それでもルーツはルーツ。重要なアイデンティティの一部を無視は出来なかった。
「ボクがボクであるためには、こうするしかなかったんだよ」
そう言って、真っ直ぐにアルファと視線を合わせる。
数瞬の交錯の後、二人の気配が膨れ上がり、具現化された覇気と覇気がぶつかりあって激しく幻想の火花を撒き散らす。
「っ!! 何よ……あれ……!」
覇気とは鬼気や妖気といった鎧気と総称される権能を再現するべく編み出された技能権能だ。
鬼気や妖気に比べれば応用が少なく下位互換とも言える権能ではあるが、種族に関わらず使うことが出来るのが利点なのである。
「オイオイ……。とんでもねぇ覇気だな」
ほとんど動けなくなった頭の妖魔をいまだにボコっていた妹紅だったが、流石にこれには手を止めて二人を見やる。
魔気を操れるルージェがあえて覇気で受けたのは、覇気が具現化した気迫だからである。
アルファの気迫をあえて気迫で受けることで、自らの想いの強さを証明したのだ。
「(いったい……)」
どれだけの年月、どれだけの想いを重ね続ければ、これだけの覇気を発することが出来るようになるのだろうか。
霊夢は息を飲んで二人の対峙を見守る。
「……再度警告します。これは重大な背信行為です。当機と貴女が揃っていては、ケリドゥヌスも姿を現さないでしょう。今すぐ御座所へお帰り下さい」
「やだね。それに姿を現さないなら、暴けばいいんだよ……!」
隠形するケリドゥヌスを探し当てることは不可能に近い。
だが、ルージェであれば……。
「大全空析」
ルージェは権能を行使し、周囲の情報を取り込んでいく。
「引っかからないか。でも、それなら……!」
ルージェは突然、右手を斜め後方へ突き出す。
「黒魔浄炎」
一瞬の間もなく魔法陣が展開され、黒炎が蓬莱竹を消し炭に変える……はずだった。
「「ッ!?」」
不自然に魔法陣が歪み、消える。
そこには、先程まではなかった人影があった。
「やっぱりね。そこだと思ったよ。じゃ、覚悟はいいかな? ケリドゥヌス……!」
人影は徐々に輪郭を持ち、中性的な青年の姿を取る。
「いかにも。我背理神ケリドゥヌス。虚ろなる全能者の忠僕よ、何故我の居場所が分かった?」
それはアルファ達にとっても気になるところだ。
「背理神……!?」
霊夢達にとっては寝耳に水とでも言うべきで、いきなり出てきた大物に動揺を隠せない。
「落着きなさい。あれは神性も無きに等しい程度の分霊です」
アルファにそう囁かれて霊夢は少し落着き、聖眼で背理神を観察する。
霊力はほとんどない。神気に至っては全く感じられない。
本当に神なのかも怪しく感じられる程だ。
「その程度の分霊でボクの権能にも引っかからないってことは、全力で隠れてるってことでしょ? だったら、近くにいて肉眼で見てると思ったんだよね~」
そう言って、ルージェは黒翼を広げる。
「大当たり☆」
ルージェは今にも飛びかからんとする勢いだったが、アルファが慌てて制止する。
「ちょ、ちょっと待って下さい。この辺り一帯消し飛ばすおつもりですか」
「む……そっか。じゃあ、あっちのデカブツは任せたよ?」
ルージェの神力が膨れ上がり、神気が勢いよく噴き出される。
「神域展開。簡易神域:魔想権幻____!」




