濃霧異変 03 妖魔との会敵
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
「準備はいい?」
霊夢と薙渚が頷くのを確認し、村紗は練り上げた霊力と精神力をスペルカードに込める。
「スペルカード発動。溺符:シンカブルヴォーテックス」
スペルカードを中心に術法陣が展開され、何本もの激流が竹林を突き刺すように伸びていく。
「……ッッ! 来るぞッ!」
村紗が緊迫した声を上げた、その瞬間。
「グルォォォォッッ!!!!」
耳をつんざくような咆哮と共に、巨大な黒い妖魔が竹林を割って現れた。
5m程の巨大な頭から直接四本の足が生えているような形状で、人間なら毛が生えているような場所からはウネウネと触手が蠢いている。
生理的嫌悪感を抱かせる異形の怪物だ。
「ッ! 今だ!」
村紗の号令と共に、二人は練り上げた術を解放する!
「光霊:神霊宝珠ッ!」「陰陽術:太陰雷迎發是ッ!」
巨大な光珠と数多の雷が妖魔目掛けて降り注ぐ。
「グォォォォーー!!」
二人に続いてしれっと村紗も追撃をかけた。
「転覆:撃沈アンカー」
巨大化された錨が妖魔に直撃する。
これで倒し切れなければ、相当厳しい戦いになるだろう。
だがそれでも勝ち目のある戦いだと、三人は思っていた。この時までは。
「「キュイーキキキ!」」
笑い声にも聞こえる妙な鳴き声と共に、新たに二体の妖魔が竹林から姿を現す。
巨大な人の手のような姿をしていて、中指が首らしく先端に一つ目玉が付いている。
「なっ……!? まだいるの……!?」
先程の頭の妖魔よりはやや弱そうだが、その分動きは速そうだ。
「しかも二体……ですか」
一気に悪化した状況に顔を顰めながらも、薙渚は即座に迎撃準備に入る。
今はまだ様子を見ていて襲って来ていないが、速そうな手の妖魔に距離を詰められたら苦戦は避けられないだろう。
だが、事態はすぐにそれどころではなくなる。
バキバキ……という音と共に竹林を割り、四つ腕の巨大な妖魔が現れたのである。
「あれは……まずいな……」
四つ腕の妖魔は、頭の妖魔よりも強い。
手の妖魔ですら霊夢と薙渚が勝てるかどうかというところなのに、それより強い四つ腕の妖魔が加わるとなれば戦力バランスが逆転する。
「霊夢。薙渚。何分であの手、倒せる?」
勝てるかすら分からない相手だと知っていて、村紗はあえてそう尋ねる。
負けず嫌いなこの二人なら、こう言えば意地でも倒してくれるだろうから。
「正直何とも……。ですが、そうですね。15分いただけたなら」
「誰にもの言ってると思ってるの? あんな奴余裕よ余裕」
根拠の無い放言と言っていい程に強気な発言だが、霊夢も分かっていてわざと強い言葉を使っているのだろう。
今はそれを頼もしく思っておくべきだ。
「(頭の妖魔は……よし。動いてない)」
村紗は引き戻した錨を構え、走り出す!
「転覆:道連れアンカー!」
四つ腕の妖魔のヘイトをかいつつ、邪魔にならないように引き離しにかかる。
「キュイキキ!」
しかし、手の妖魔が素早い動きで邪魔をした。
「あんたの相手はこっちよ! 珠符:明珠暗投ッ!」
炸裂する光球を発射するが、動きの素早い手の妖魔には当たらない。
「くっ……。ちょこまかと……!」
相手の回避力が高いのなら広範囲攻撃でまとめて攻撃するのがセオリーだが、そうすると味方も巻き込んでしまう。
「グォォォォーー!!」
その時。突如として動きを止めていたはずの頭の妖魔が雄叫びと共に動き出し、村紗を狙う。
「っ!? 危ないっ!!」
囲まれるかたちになった村紗は、意表を突かれたこともあって回避動作が遅れた。
「先輩ッ!!」




