識鏡録 51 一夜の誤ち
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
「ん……。んん……?」
鏡也は、気配を感じて目を覚ました。
「あら。起きたのね。寝ているうちに済ませようと思っていたのだけれど……。ふふ、これはこれで楽しそうかしら」
目に入るのは知らない天井。それが紅魔館の一室であることは何となくわかった。
「……介抱してくれたのか」
そう言って鏡也は起き上がろうとしたが……
「うわぁ……。身体、動かない……」
無理をし過ぎたせいで、まともに力が入らない。手を動かすことすら難しい。
「そうなの。それは、都合がいいわね」
「は……?」
妖艶に微笑むレミリア。
鏡也は嫌な予感がして唾を飲んだ。
「大丈夫。痛くはしないわ。むしろ……とても気持ちよくさせてあげるわよ?」
そう言ってレミリアはベッドににじり寄る。
「ちょ!? おい!? 何をする気だ!?」
「ナニって……言わせる気なの……?///」
レミリアはわざとらしく頬を赤らめて照れてみせる。
「いやいやいや! そもそもなんで!?」
「貴方なら。我が子の父とするに相応しいと思ったから」
そこだけ真面目な声で、レミリアは言う。
レミリアは紅の王家の当主だ。
そこには当然、傘下の者達を率いる責務と、次代に繋ぐ義務がある。
いずれ絶対に跡取りはつくらなければならない。
「うん。なんで???」
疑問が三倍増しになって鏡也はただただ混乱するのみだ。
「私の立場はとても微妙なの。下手に貴族から婿を迎えたりしたら……実権を奪われかねないわ」
パチュリーや咲夜は、レミリアを慕って着いてきている。
しかし、吸血鬼達はそうではない。
レミリアの人柄に惚れ込んでいるのはほんの一部……否、一毛程度。具体的に言えばノクティスくらいのものだ。
しかし彼もまた当主なので、家の存続のために嫁を探さねばならない立場だ。婿に行くわけにはいかないのである。
「でも貴方なら……吸血鬼族でない以上、婿には出来ないわ。それでいて優秀な遺伝子を持っている。だから……ね?」
レミリアは、鏡也のズボンに手をかける。
「これは一夜の誤ち。貴方の気にすることじゃないわ」
「まてまて! そういうのはちゃんと好きな人とだな……!」
好きな人同士でなければしてはいけない。別に本気でそう信じているわけではないが、とにかくこの場を潜り抜けなければならなかった。
「大丈夫。私は貴方の事、嫌いじゃないわ。それで充分なのよ?」
この説得は無意味だ。鏡也は即座にそう悟る。
「(なら……!)」
思考を高速で回転させ、どうにか次の方針を導き出す。
「だいたい、俺はもっと大人な人が好みなんだ。レミリアさんは充分魅力的だけど、流石に幼過ぎる」
「あら。レミィと呼んでくれていいわよ。それに、見た目なら……」
レミリアはそう言うと、目を瞑って僅かの間瞑想する。
「《血醒》……!」
その瞬間、レミリアから強烈な霊波が撒き散らされ、巨大化した翼がレミリアの身体を包む。
「なん……!?」
ゆっくりと翼が開かれて中の様子が見えるにつれ、鏡也は息を飲む。
「どうかしら? これなら文句はないでしょう?」
レミリアはどう見ても、大人の姿だった。
髪は真紅に染まり、身長も少し伸びて、顔つきも大人びて見える。
もはや、容姿に文句を付ける余地はなかった。
「たまげたなぁ……」
《血醒》。それは真吸血鬼にのみに許された、一時的に肉体の全盛期を超える力を引き出す種族権能だ。
本来の外見的変化は全盛期の肉体まで若返り、そこからさらに翼が2枚生えるというものだが、まだ成長途中のレミリアは完全な血醒には至らず、未来の全盛期の肉体まで成長するところまでだった。
「さあ……。むつみあいましょう?」




