識鏡録 47 命蓮寺の阿闍梨
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
◆登場人物紹介◆
聖白蓮
種族:人間族?♀。年齢:1000歳以上。
血統能力:無し
技能権能:闘気、具現覇気、威圧、闘包霊力、思考加速。
程度の能力:魔法を使う程度の能力
得意な霊術:魔術、法術、召喚術
たまに使う霊術:呪術、仙術
◆修行を乗り越えて阿闍梨となった程徳の高い尼だが、弟の命蓮の死をきっかけに魔道に堕ちた。
魔人の血を飲み、人間と言えるか怪しいところまで変質している。
にもかかわらず信仰を失わず、毘沙門天からの信頼も厚い。
襖を開けて、一輪は奥の人影へ話しかける。
「……失礼します。聖にお会いしたいと申す者が南門に来ているとのことです」
命蓮寺仏拝殿。
命蓮寺僧兵団総司令にして阿闍梨である聖白蓮は、就寝時を除くほとんどの時間をここで過ごしている。
命蓮寺という組織は、極めて特殊な構造を持つ。
寺院組織と、里を護る兵団組織。
寺院組織のトップは毘沙門天の代理である寅丸星だが、兵団組織のトップは総司令である聖白蓮だ。
聖は寺院組織のNo.2にあたり、寅丸は兵団組織の副司令にあたる。
基本的に別れている2つの組織なのだが、幹部及び幹部候補生は両方の組織に役職を持っている。
彼らが命蓮寺を一つの組織に纏めているのだ。
寺院組織と兵団組織。建前の上では、寺院組織の方が格は高い。命蓮寺の名目上のトップは毘沙門天の代理である寅丸星なのだから。
しかし規模的には兵団組織の方が桁違いに大きく、毘沙門天に代理として寅丸星を推薦したのが聖であるという経緯もあり、事実上のトップは聖白蓮だと言われているのだ。
このような特殊な構造でありながら外から結束力のある組織だと見られているのは、聖のカリスマと毘沙門天の神徳のなせる技なのかもしれない。
「……どなたでしょうか?」
聖は静謐な声で尋ねる。
聖にまで取り次ぐくらいなのだから、重要人に違いない。
「それが……博麗の巫女なのです」
神道の巫女が、仏教の阿闍梨の元を尋ねてくる。妙な状況ではあるだろう。
普通の巫女と阿闍梨では格が違い過ぎるが、博麗の巫女となればそうでもない。
下手したら宗教戦争に発展しかねない肩書き同士だ。
「ほう……。用件はなんと?」
「緊急とのことです。とにかく聖に会わせろ……と」
「そうですか。……いいでしょう。会います」
そう言うと、聖はゆっくり立ち上がった。
普段聖がこの場所にいるのは、この仏拝殿が命蓮寺の要だからだ。
とはいえ、常にここにいる必要があるわけではない。聖の性格から、可能な時はここにいるようにしているというだけだ。
「それともう一つご報告が」
「なんでしょう」
「定時を過ぎましたが、いまだ副司令が見回りから帰ってこないと、ナズーリンが騒いでおりました」
ナズーリンは元鼠人族で、現在は毘沙門天に弟子入りして加護を受け、神性を帯びている。
寅丸とは違って正式な弟子であり、毘沙門天から寅丸の監視を任されている。
役職は第四兵団長兼副司令付き副官だ。
もちろん、幹部なので寺院組織の方にも役職を持っている。
ナズーリンはかなり几帳面な方で時間にはうるさいが、流石に多少遅れた程度では小言を言うに留まる。
騒いでると言うからには、既に定時をかなり過ぎているのだろう。
「それは心配ですね。博麗の巫女にも聞いてみましょうか。何か知っているかも知れません」
人里は広い。命蓮寺僧兵団の人員をもってしても、見回りをするためには人員を分散しなければならない。
僧兵は屈強ではあるが、所詮は人間だ。
一人二人では妖怪に奇襲された時に対処しきれない。故に、幹部も一定区画を決めて見回りしているのである。
副司令である寅丸星は人里防衛の責任者でもあり、自ら見回りをすることも珍しくない。
「(さて……。結界の方も気になります。博麗の巫女から何か聞き出せたらいいのですが)」




