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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第一章 識鏡録
43/78

識鏡録 42 一発と言ったが、一発だけとは言っていない

この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

「いやいやいやいや、そんなことしても意味が無いよ。やめておきなって」


霧也は慌ててそう言うが、萃香の眼を見て諦める。

説得出来るようには見えなかった。


「霊夢。やれい!」


「はいはい。スペルカード発動! 霊符:四象結界!」


萃香はグッと力をこめ、構えをとる。


「安心せい。身内のよしみで手加減はしてやる」


「いや、なら構えないでよ……」


「本気で撃ち込まねば、おぬしにはとどくまいよ」


「手加減するんじゃないの!?」


霧也は思わずツッコミを入れたが、そんなことをしている場合ではなかった。


「……ッ! 鬼神流格闘術・秘伝:漉鋒(ろくほう)ッッ!!」


「わぁ!? くっ! 霧集神盾(むしゅうしんじゅん)ッ!」


霧也の意志に応じて変幻自在に姿を変える霧双輪武が盾へと変わる。

あの霧を構成しているのは、霧也の産み出した神意霊鋼(ヒヒイロカネ)の粒子だ。

萃香の権能でも、その密度を操るのは難しい。


雷が地を叩くような轟音をあげて、鬼気を纏った萃香の拳と盾となって神気を纏った霧双輪武が激突する!


「……。無駄だよ……萃香。いくらキミでも、《威吹(いぶき)》を抜かなきゃ、僕にはとどかない」


「さて。それはどうかのぅ」


その声は、霧也の斜め後方から聞こえた。


「ッ!?」


振り返った霧也は、拳を振りかぶった萃香を捉える。

別身体に鬼気を纏わせてカムフラージュに使い、本体は霧化して移動していたのだ。


「鬼神流格闘術・秘伝:鬼臥突(きがとつ)ッ!」


「くっ!」


霧也は鬼すら倒れ伏すその拳撃にかろうじて腕を割り込ませた。


「ぬん!」


咄嗟に神気を纏ったものの、練り上げられたその拳を防ぐには足りない。


「ぐっ……! うわっ!?」


踏ん張りきれずに、霧也は吹き飛ばされる。

その先には、ちょうど転移門(シフトゲート)があった。

既に二発放った後であり、四象結界は壊れかけている。そこに霧也がぶつかれば確実に壊れてしまう。故に萃香はそちらに吹き飛ばしたのである。


「ふん。今回はこれで勘弁してやるわい」


霧也を追って、霧双輪武も吸い込まれるように転移門(シフトゲート)を通っていく。


「チッ。咄嗟に回収したのう。置いて行ってくれれば封印出来たのじゃが……」


霧也は他にも《神刀:霧曇(きりくも)》や《神衣:霧翼連理(むよくれんり)》等の複数の神器を所有しているが、霧双輪武はその中でも最も重要なものなのだ。

これを封じることが出来れば次の戦闘がかなり楽になっただろうが、仕方ないだろう。


「ちょっと! 一発って言ったじゃないの!」


「なに。霊夢なら二発いけると思ったものでな」


「まーた調子の良いこと言って……」


四象結界にヒビが入っていき、ついに崩壊した。


「……二発は無理よ?」


「う、うむ……」


いくら四象結界がそもそも外からの攻撃を防ぐものであって、内側からの攻撃を防ぐものではないとはいえ、それでも余波二発で霊夢の四象結界を割るというのは尋常ではない。


「まったく。馬鹿力なんだから……」


「ちゃんと加減はしたんじゃがのう……」


「……あれでまだ全力じゃないのね…………」


霊夢は感心を通り越して引いていた。

まったく馬鹿げた力である。


「ま、それはともかく。あれ、誰なの?」


白と水色の混じった髪の、人間で言えば15歳程度に見える少年。

莫大な神力を秘めていることは、霊夢にもわかった。

博麗大結界は対神を強く意識して編まれた結界であり、内部では神気を抑えられてしまう。


他の真霊種族はともかく、神にとっての神気は、放出された神力だ。

神力は信仰によって補充される神の力だが、その保有量には個体によって上限が存在する。

神力を溜め込み過ぎると、人格に悪影響を及ぼしてしまう。

そのため神々は、常にわずかな神力を放出しているのだ。

だが、わずかとは言ってもその量には個体差がある。

補充される神力には個体差があるわけで、当然放出しなければいけない量にも差が生まれるのだ。

だが、それよりも大きな理由があった。

いくら神とはいえ、神力の操作精度にも個体差はある。

神であっても、神力を完璧に操れるわけではないのだ。

完全に抑えてゼロにするというのならともかく、わずかに放出し続けるというのは、実は簡単ではない。

ある程度までは感覚で出来るが、逆に言えば感覚で出来ない程の極わずかな放出は維持出来ないのだ。

強大な神ほど、放出する神力の最低値も高くならざるをえないのである。


「あの神力……。目に視える程だったわ」


大神八坂神奈子(やさかかなこ)も、土着神の頂点にして、天神並の神格を持つ洩矢諏訪子(もりやすわこ)ですら、神気で瞳が黄色くなっていたりはしない。


「あやつは……。あやつは、大天神。()()()()じゃ」


「だ、大天神!? そ、それに識神!? それってつまり……!?」


萃香は重々しく頷いてみせる。


「そうじゃ。あやつは鏡也の弟じゃよ」

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