識鏡録 40 人造勇者
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
◆登場人物紹介◆
ナナティ
種族:人造人間 年齢:機密情報
血統能力:浮遊、テレパシー
技能権能:闘気
得意な霊術:無し
たまに使う霊術:魔術
◆人工勇者計画の第一世代の一人で勇者の資質を持ち、因果の力を使える。
霊術についての知識はあるが、使うのは得意ではない。
テレパシー能力は同一世代の個体としか交信出来ない不完全なもの。
「森人族と妖精族がですか。ありそうな話です」
今でこそ妖精族は人間よりは強い雑魚という認識が一般的だが、種族間大戦期に妖精族と言えば森人族と組んでドワーフ=機械族連合と激しい争いを繰り返していた武闘派種族の一つだったのだ。
独自の技術体系を持つ機械族を含め、この四種族は当時オーバーテクノロジーの塊とでも言うべき技術力を有していた。
勇者という神秘よりも謎の深い題材を放っておかないというのは、納得の出来る話ではある。
「マスター達は、遺棄された研究施設を見つけた。巨神王ユミルの神雷をうけて壊滅した跡地だったそうです」
巨神王ユミル。巨人族の概念神である。
巨人族はほぼ全種族に対して侵略戦争をふっかけていた種族間大戦期最大の勢力であり、森人族や妖精族の都市も数え切れないほど破壊していた。
そういうことも充分ありうるだろう。
「勇者に関する研究資料、肝心な部分は持ち去られていましたが……その概要だけでマスター達には充分でした」
「長い時間をかけて、勇者の力の研究から、その力を再現する研究へと段階を進めた……。そういうことですか」
「ええ……。私達は人の手によって造られた存在。人造勇者なのです」
「ふむ……」
にわかには信じがたい話だが、ありえないとも言えない。
迷いの竹林にある永遠亭の連中や、玄武の大洞窟に住む河童、幻想郷内と言えるかは怪しいが、月の都など、やってのけかねない勢力には心当たりがあった。
そうして聞き出した情報を吟味する様子を見て、ナナティは内心歯噛みする。
それはつまり、あの後光にも光の手にも、少なくとも時間の制限が無いことを意味する。
もしあってもかなり長いのだろう。
「勝てそうには……ないわね……」
しかし勝てないにしても、別動隊が回収任務を遂行してくれれば問題は無い。
勝つことより撤退する時のことを考えた方がいいかも知れなかった。
寅丸はそう簡単には逃げさせてくれないだろう。
「さて。お話は充分伺いました。そろそろ捕まっていただきましょうか」
宙に浮く光の手達が旋回しつつ配置につき始める。
それを見て、ナナティは決断した。
「生還を最優先に」
小声で妹にそう告げる。
「っ! そんなッ! だって……!」
「生きて帰れば次があるわ」
有無を言わさぬ語調で黙らせる。
「いいわね? 生きて帰るのよ……!」
第一世代は、わずか10人しか製造されていないにもかかわらず、その全個体が生存していた。
その理由こそが、この判断に現れている。
個体数が少なく初めての試験運用だったこともあり、とにかくデータを持ち帰らせるために生存優先のアルゴリズムを与えられているのだ。
「敵わないと判断したら逃げろ」という命令を最初に受けた彼女らは、さしたる戦果はあげられなかったものの、全個体生存という偉業を成しているのであった。
「内緒話は終わりましたか?。では……参りましょうか。スペルカード……発動……!」
それは、殺害から捕縛への移行を意味する宣言だった。
鏡也VSレミリアの戦いについての構想も固まって来たので、いきなりそっちに飛ぶ可能性もあります。




