識鏡録 35 人里の調査
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
レミリアと鏡也がドンパチやっている、ちょうどその頃。
「おうおう、派手にやっておるわい」
萃香は能力でその様子を人里から観測し、楽しげに呟いた。
萃香は才能、技量、経験、どれをとっても隙がないが、何よりも秀でているのが知識なのだ。
萃香はあらゆる情報を集め、その情報をしっかり活用する。
相手の強味や弱点を丸裸にしてから戦うのだ。
強者でありながら、それに驕らない。
飄々としていながら油断の欠片もないのだから、くえない鬼である。
「ちょっと! 真面目にやってよね!」
前を歩いていた霊夢は、振り返って注意する。
「そうは言ってものう……。怪しい奴などおらぬではないか」
萃香の働き口はひとまず保留にして、2人は赤子が消えるという事件(?)について調査していた。
昼間のうちに聞き込みは済ませたが、大したことは分からなかった。
だから日の落ちた今こうして見回りをしているわけなのだが……。
「だいたい、わしの能力があるんじゃから、わざわざ歩き回らんでもよかろう」
「私が調査してるってことを人里の人達に見せないと意味無いじゃない」
博麗神社は人里からかなり離れているので、こういう時にアピールしなければならないのだ。
「見せると言うてものう……」
道に人影は無い。まだ電気が普及してない人里では、日が落ちてから外に出るような人は滅多にいないのである。
「細かいところはいいのよ。それより怪しい奴は見つかったの?」
「怪しい奴のう……」
夜中に出歩いているような者は、どこか後暗いところがある者ばかりだ。
怪しいかと言われれば全員怪しくはある。
だが、その中でも特に怪しい奴がいた。
夜中であるにもかかわらず黒いローブで顔を隠している不審者が。
「……目星は付けておる。じゃがまだ人里の法を犯したわけではない。今しばし待て」
「まどろっこしいわね。ボコしてから吐かせればいいじゃない」
神聖たるべき巫女のセリフではない。
萃香はこめかみを押さえて首を振る。
「頼むからもう少し神に仕える者としての自覚をじゃな……」
「そう言われてもね。仕える神がいるのかもわからないんだもの」
「……神はおる。博麗神社は元々神を鎮め、封じ込めるために造られたのじゃ。今も封じられた神がそのままちゃんとおるわい」
「なにそれ? 初めて聞いたわよ」
「そうじゃったかの?」
萃香はケロりととぼけた。
「それより、そろそろ行くぞ。どうやらあたりのようじゃ」
「誤魔化されてるような気もするけど……まあ、いいわ。行くわよ!」




