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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第一章 識鏡録
31/77

識鏡録 30 第一ラウンド

この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

レミリアは手を挙げ、高らかに唱える。


「天罰:スターオブダビデ!」


術陣が展開され、六芒星を描く弾幕が大量に射出された。

先程は組み合わせの妙を見せたレミリアだが、今度は単純に強い攻撃で押しにかかる。


実のところ、鏡也は()()()()()タイプのスペルが少ない。

鏡符シリーズは搦手が多いのだ。

故にただ強い攻撃をされると対応に困る。

さすがにレミリアもそれに気付いたわけではないが、偶然の一致というものはえてして最悪のタイミングで起こるものなのである。


「複製符:百万鬼夜行ッ!」


仕方なく、鏡也も奥の手を切る。

ただ一度だけ見た事のある萃香のスペルカードを《識眼》でコピーして作った()()()

単純な数の暴力であるこのスペルカードならば、単純に強い攻撃にも対応出来るのだ。


「……驚いたわ。そんなことも出来るのね」


しかし、一度複製符の存在を知られてしまえば、他のスペカも警戒されてしまう。

出来ることならばここで使いたくはなかった。


二つのスペルカードから放たれた弾幕がぶつかり合い、ガリガリと削りあっていく。

その間に、鏡也は次の手を考えた。

どうにかして流れを掴まなければならない。

ここまでは全てレミリアが主導権を握っていた。

格上に主導権まで握られていては、勝機などあるはずもない。

考える時間はわずかだった。早くしなければレミリアがまた先手を打ってくるのだから。


「複製符:スカーレットシュート」


「っ……!」


複製符は出来ればまだ使いたくなかった。

しかし使ってしまったとなれば、その事実を最大限活かすべきだ。

そう考えた鏡也は、既に複製し終えているスペルカードを発動したのだ。


「紅符:スカーレットシュート!」


レミリアは迎え撃つためにスペカを発動する。

全てを避けるあるいは受けるという選択肢もあるが、リスクを考慮してそれが一番安全と判断したのだ。


その間に、鏡也は距離を詰める。

切り札による攻撃を避けられないために。

もっともたとえそれを直撃させることが出来たとしても、レミリアを倒すことなど出来はしない。

彼女は吸血鬼の女王である。

たとえ身体を粉微塵にされたとしても、さほどの時間も必要とせず再生してしまう。

銀も陽光もなく倒せる相手ではないのだ。

しかしこれは試合であって殺し合いではない。

ようはクリーンヒットを一度だけでも出せばよいのだ。

よもや誇り高き吸血鬼の女王が、人間と対等の条件で勝負するなんてことはあるまい。

鏡也はそう考えていた。


だが、それは甘い考えだったのだ。


鏡也のスペルを迎撃し終えたレミリアは、接近してくる鏡也に対して今まで以上の速度で肉薄する。


「なっ!?」


強引に主導権を取り返しに来たのだ。

加えて、ようやく目が慣れてきたタイミングでのさらなる加速。

主導権を握り返し、そのまま押し切る構えだった。

鏡也がそう気付いた頃には、もう遅かった。


「終わりよ。夜王:ドラキュラクレイドル!」


致命的な一撃(クリーンヒット)が鏡也に迫る。


「ぐっ……! あああああ……!!」


それは死んでいてもおかしくない威力の攻撃だった。

レミリアの能力が無ければ、本当に死んでいたかもしれない。


「ぁ……ぐ……!」


辛うじて減速し地上へ着陸すると、耐えきれずに膝を着く。

立ち上がらんとする鏡也だが、身体が言うことを聞かない。

当然だ。死ななかっとはいえ、立派に致命傷なのである。このまま放って置かれたら余裕で死ねるほどの傷なのだ。


「第二ラウンドまで持たなかったわね」


レミリアは近くへ降りて来ると、少し残念そうに呟く。

その声には、先程まであった親しみのようなものが欠けつつあった。

ここで終われば、完全に消えてなくなるのだろう。鏡也はそう察さざるをえない。


「う……ご……け……ッ……」


動かない。身体はもう限界だ。

鏡也はパチュリーに言われたことを思い出していた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

まさにその通りだった。

一方で、かつての力の一部でも取り戻せれば……そういうことも言っていた。

だが、方法がわからない。

憶えてないものは取り戻しようがないように思える。


「…………」


思考が朦朧としてくる。遠のいて行く意識の中で、レミリアと目があった。

その目はもはや、鏡也に対する興味を失っていた。

彼女は踵を返し、遠ざかっていく。

その背中を見て、わずかに肩を落として歩く姿を見て、鏡也は無意識のうちに呟いた。


「来い……。アクルパルファム……!」

個人視点はどうも違和感があったので戻しました。

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