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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第一章 識鏡録
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識鏡録 24 新居の問題点

この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

「ここか……。なかなか立派な所じゃないか」


人里に着いた鏡也達は、霊夢に借りがあるという不動産屋へむかい、よさそうな物件に目を付けた。


「うんうん。二人で住んでもまだ余裕がありそうね。見込んだ通りだわ」


霊夢がこの物件に目を付けた時、不動産屋の店主は泣きそうな顔をしていたが、その気持ちがよく分かるというものだ。

どう考えても、タダで渡して良い物件では無いだろう。

しかし霊夢の脅……押しの強さに負けてしまったのだ。


鏡也はチラリと霊夢を盗み見ると、コッソリ呟いた。


「ま、気の強い美人に押されちゃ断り切れないよな……」


「ん? 何か言ったのぜ?」


「いやいや、何でもないよ」


鏡也は落ち着いた笑顔でそう答える。


「(この女慣れしておる感じは本物っぽいのじゃがな……)」


やりとりを見ていた萃香はそう思うが、しかし断定は出来ない。

考えても仕方のないことだ。


「ほれほれ、まずは中を見てみようではないか」


「それもそうね」


そうして中に入ると、一目瞭然の問題点があった。


「おいおい……。家具が一つもないのぜ……」


「これは……予想外ね……」


ガランとした屋内を見回し、鏡也は頭をポリポリと搔く 。


「ま、屋根があるだけマシかな」


「ほう。なかなか野生的なことを言うではないか。同居者として頼もしく思うぞ」


「いやいや、そうは言っても実際問題どうするのぜ?」


「そうよねぇ……。不動産屋に家具があるのか怪しいし……。うーん……」


そう呟いて霊夢は考え込んでしまう。


「他に何かツテは?」


「……思い当たらないわ」


そんな様子を見た萃香は、少し考える素振りをしてからそう尋ねた。


「ふむ。鏡也よ、お主、どんな家具が良い?」


「うん? ……まあ、ふかふかのベッドは欲しいよね」


「うわ、思ってたより普通なの来たのぜ」


「睡眠の質は大切じゃからのう。気持ちはわかるわい」


「…………あんた、そもそも寝るの……?」


霊夢は訝しげに尋ねた。


「寝るわ! わしを何だと思うておるのじゃ!。…………コホン。紅魔館ならば、余った家具があるやも知れぬぞ」


紅魔館。それは霧の湖の畔に立つ吸血鬼の館だ。


「まあたしかにあそこならありそうだけど……。大丈夫かしら? 最近様子がおかしいと聞くわよ。ねえ魔理沙?」


「そうなんだよなー。なんか城塞みたいになって来てるのぜ」


「調査を兼ねて、ひとつ行ってみぬか?」


それを聞いた霊夢はコッソリ微笑む。


「それはいいわね!」


「……なんじゃ霊夢、おぬしが素直に賛成すると気味が悪いのう……」


「(鋭い……)」


「まあまあ、とりあえず行こうぜ? どっちにあるんだ?」


紅魔館がどんなところかは、鏡也もおおまかには聞いていた。

紅魔館勢は新参ではあるが、急速に影響力を拡大している大勢力の一つなので、幻想郷を語る上では欠かせないのだ。


「あっちなのぜ。魔法の森のむこう側だからな」


魔法の森の北側に霧の湖があり、そのまた北側に紅魔館はたたずんでいる。


「そうと決まれば、さっそく行くかのう」


「あら、人里に住むなら仕事が必要なのよ? 萃香はそっちを探すの」


「…………は?」


ポカンと惚ける萃香。


「なんと申した……? このわしに、労働せよと……?」


顔に手を当て、萃香はそう尋ねた。


「鏡也のそばにいるんでしょ? それともまさか、王族たる者がヒモでいいの?」


七鬼神の一人である鬼神伊吹の血を引くということは酒の席でたまに自慢しているので、霊夢も良く知っていた。

だからそれを逆に利用する。


「ぐぬっ…………」


王族が労働などするかと言おうと思っていたが、そういう言い方をされると口にしずらい。


「じゃ、じゃがな……わしは鬼じゃぞ?」


「あんた、ツノ隠せるじゃないの」


そう言ってから、霊夢はとある問題に気付く。


「あ! そっか……ツノが無いとただの子供にしか見えないわよね……」


「…………」


物凄く否定したい。しかし否定すると状況がより不利になる。


「たしか大人の姿にもなれるんじゃなかったっけ?」


ギクリ。悩んでいた萃香の動きが硬直する。

なれはするが、結構疲れるのだ。

完全体の姿とまではいかなくとも、現在より成長した姿を維持するにはそれなりの精神力を消費する。

分裂していて足りない分を精神力で補わねばならないからだ。


「そういや吸血鬼異変の時にちろっと見たことあるのぜ」


「ならそれで解決ね。さ、行くわよ萃香。魔理沙、鏡也の案内はよろしくね」


そう言って霊夢は渋る萃香を引きずって行ってしまった。


「そ、そうか。わたしが案内するのか……」


「ん? どうかした?」


「い、いや……なんでもないのぜ? じゃ、さっそく行くのぜ〜」


どうも誤魔化されたような気もするが、鏡也は深く追求しないことにした。


「そうだな。行くか」

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