識鏡録 23 慧音先生
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
◆登場人物紹介◆
上白沢慧音
種族:獣人族と妖怪族(白沢)のハーフ♀。年齢:180歳
血統能力:旧故認識改変、(白沢時)妖気、浮遊、身体再生、空間操作、未来予知、低次運命改変。
技能権能:闘気、妖覇気、威圧。
程度の能力:(人間時)歴史を食べる程度の能力
(白沢時)歴史を創る程度の能力
得意とする霊術:(白沢時)妖術
◆人里で寺子屋を運営する有力者。管理者の一人である上白沢慧忌の孫娘にあたる。
「先生~! いるー?」
ややあって、一人の女性が建物から出てきた。
外見は人間で言う20代前半というところの、落ち着いた雰囲気の美人だ。
「こんにちは、霊夢。今は授業中なのだけど……」
そう話し始める二人をみやりつつ、鏡也は小声で魔理沙に尋ねた。
「なあ、誰なんだ? あの人」
「上白沢慧音先生。寺子屋の先生で、人里じゃちょっとした有力者なのぜ」
「寺子屋?」
「ま、小さい学校だなー」
小さい学校の先生が、何故有力者なのか。
鏡也が疑問に思っていると……
「付け加えれば、あの子は管理者の一人、No.4上白沢慧忌の孫でもあるのう。本人がそれと知っているのかは微妙じゃが」
「うわっ!? ビックリした……。いきなり出てくると心臓に悪いのぜ……」
突然萃香が現れて解説を入れたが、鏡也はもはや驚かない。
今回はどこかで合流するのが分かっていたからだ。
「なるほどね。じゃあ、慧音先生? が有力者なのも……?」
「うむ。慧忌のジジイは各勢力との交渉や調整を仕事としておるからの」
そのくせに出不精で面倒くさがりで云々……という愚痴が続いたが、鏡也はその辺は聞き流して尋ねる。
「ところで、萃香も人里に入って大丈夫なの?」
「む? 当然じゃろ?」
何を言ってんだこいつはとでも言いたげな反応をされ、二人は思わず萃香の立派なツノを凝視した。
「いやだってほら……鬼じゃん?」
「? いかにも。わしこそ鬼の中の鬼。
《ただ独りの百鬼夜行》じゃ」
そう言って萃香はふんぞり返る。
話がまったく通じていない……。
古来より、数ある人類種族の中でも特に人間族から恐れられた種族。その一つが鬼人族だ。
いくら身体の小さい萃香でも、立派なツノは誤魔化せない。
実際のところ、萃香が人里に入るのはだいたいお祭りの時なのでギリギリなんとかなってきたものの、さすがに日頃からその辺をうろついていたら混乱は避けられないだろう。
鬼が宴や祭りが大好きだということは知られているからともかく、それ以外で人里にいたら「何が目的だ!?」となってしまう。
「なあ萃香」
「ん? なんじゃ?」
「そのツノ、人里にいる間は隠せないか?」
萃香はキョトンとしていた。
何故だかわかっていない顔だ。
この辺り、人間側と鬼人族側にはかなり認識の違いが存在するのだが、それを知る者も今やそう残ってはいない。
この場にいる面々も、誰も気付いていないのだった。
「?? まあ、かまわぬが」
多少の手間ではあるが、その程度が許容出来ないほど狭量な萃香ではない。
「でも、ツノがないとただの鎖付けたチビなのぜ」
「よかろう。喧嘩じゃな? 相手してやる」
怒るのではなく、むしろ静かな凄みと共に言ってくるのが本気を感じて恐ろしい。
「す、すまん。言い過ぎたのぜ……」
基本的に、萃香は自分のことを言われて怒ったりはしない。
彼女が怒るのは鬼人族を貶されたと思った時か、鬼としての尊厳を汚されたと思った時くらいのものだ。
普段の様子からは気付き辛いが、萃香にも《鬼王七族》の一つ、伊吹の名を背負っているという意識はある。
それを傷付ける者はただではおかない。
「あ! 萃香、ちょうどいいわ。ちょっとこっちにきて」
慧音と話していた霊夢が萃香を呼び招いた。
「うん? なんじゃ?」
「慧音先生が挨拶したいって」
「何度か祭りの際にお目にかかりましたが、こうしてお話するのは初めてですね。改めまして、上白沢慧音と申します。鬼の長老様だとお聞きしました。以後よしなにしていただけると嬉しいです」
とても丁寧な挨拶だ。丁寧過ぎて逆に違和感があるくらいである。
「誰が長老じゃ誰が。わしはまだそんな歳じゃないわい!」
「はぁ? じゃあ、あんたより歳食ってる鬼はいるの?」
「そんなの……そんなの……うぅむ……」
2000年前、多くの鬼が戦場に散った。
それは決して若い者だけの話ではなかった。
永く生きた力ある鬼達こそ、そのほとんどが激戦の果てに力尽きていったのだ。
「そうじゃった……。今やわしが長老じゃったな…………」
「……ちょっと、独りで落ち込んでんじゃないわよ。慧音先生が困ってるじゃないの」
霊夢は発破をかけるようにあえて強めの口調で言った。
「……すまぬな。いかにも、わしが鬼の長老じゃ。その歓迎具合から察するに、わしも人里に入ってもいいのかのう?」
その言葉は半分冗談だったが…………
「もちろんです。私は管理者についても少しですが聞き及んでおりますので」
「ほう。左様か。ではしばらく住まわせてもらおうかの。そこの男としばらく同居することになったのでな」
慧音は驚いてそこの男を見つめた。
そしてその男、鏡也の容姿に驚愕する。
「し、失礼ですが、あのお方は人間なのですか……?」
とても人間とは思えない。それが慧音の感想だった。
それほど鏡也の容姿は飛び抜けていたのだ。
「ん? 多分そうだけど。どうして?」
そう鏡也が反応する。
一応話は聞いていたのである。
「いえ……」
慧音は言い淀む。
鏡也は自分の容姿については「多少かっこいい」程度にしか認識していないのだ。
「まあ、話はそれくらいでよいじゃろう。通ってもよいか?」
慧音は萃香の助け舟にほっとした表情を浮かべた。
「もちろんです」
「お? 行くのか? 例の事件については聞いたのぜ?」
「あんたは話聞いてなかったのね……。ちゃんとその辺の話も聞いたわよ」
「まあまあ、とりあえず行こうよ」
鏡也が霊夢を宥めて、一行は出発するのだった。
そろそろ個人視点も出て来ると思います




