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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第一章 識鏡録
22/77

識鏡録 21 いざ人里へ

この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

「えっ!? 鏡也お兄ちゃん、行っちゃうの……?」


それは、皆が食事を済ませた後のことだ。


「まあ、いつまでもここで世話になってるわけにもいかないしね」


「会えなくなるわけじゃないから、我慢しなさい」


霊夢はそう妹を諭す。


「そうそう。また会いに来るからさ」


そう言われて、霊奈は渋々納得した。


「うん……」


「じゃ、行くわよ」


「えっ!? もう行っちゃうの……?」


上目遣いで寂しそうにモジモジする霊奈は、とても可愛かった。


「よしよし。元気でな」


そんな霊奈の頭を、鏡也は優しく撫でる。


「達者でのう」


「は? 何言ってるのよ。あんた、鏡也の監視をするって約束でしょ? 当然鏡也と一緒にすんでもらうわよ」


寝転がって伊吹瓢から酒をのみつつ適当に送り出そうとしていた萃香は、その思惑を見事に打ち砕かれた。


「なぬ!? いや、しかしじゃな……」


「なに? あんたが監視するって言うから泊めたのよ。まさか鬼が嘘はつかないわよね?」


「ぐぬ……。それはここに居る間の話で……」


「あら? 鬼の棟梁にして《鬼王三童》の一人、酒呑童子伊吹萃香ともあろう者が言い訳かしら?」


「……よかろう。今回はその挑発に乗ってやる」


尊大な態度だが、小さな身体のせいで愛嬌にしかなっていない。


「俺は心強いよ。よろしくな萃香」


「うむうむ。素直な若者は好みじゃぞ」


萃香はそう言って物言いたげに霊夢の方を見る。


「ふん。悪かったわね。素直じゃなくて」


不貞腐れたかのように霊夢はそう言うと、表情を切り替えて続ける。


「それはそうと、魔理沙とそっちの貴女はどうするの?」


「ん? 私か? まあ暇だし、ついてくのぜ。鏡也の家が何処になるのかは気になるしな」


「用は済んだ。帰る……」


そう告げると、プリシラは魔法の森の方へ飛んで行った。


「それじゃあ霊奈、一人で留守番出来るわね?」


「出来るけど……あうんはいないの?」


高麗野あうん。それは神社に住まう狛犬の精霊である。


「ああ、数日守矢神社の方に行くって言ってたわよ」


真霊種の中でも存在の不安定な精霊族である彼女は、その存在の形を保つために定期的に別の神社へ移らねばならない。

精霊の存在は痕跡によって保たれる。

存在の痕跡が自然と精霊をわける唯一のものなのだ。

痕跡が揺らげば存在が揺らぎ、最悪自然物へ還ってしまう。

ずっと博麗神社に住んでいると、狛犬の()()から博麗神社の()()になってしまうのである。それは彼女にとって死を意味する。


「そっかぁ……」


普段は博麗神社に住んでいるあうんだが、だからこそこういう時は外せない。


「安心せい。わしが見守っておる。何かあれば守ってやるわい」


そう言われ、ようやく霊奈は安心した。

萃香を倒せるような者はそうはいないのだ。


「じゃ、行ってくるわね」


霊夢はそう言って霊奈の頭を撫でてから、ふわりと離陸する。

その後を追って、鏡也も空へと浮き上がった。


「萃香は飛ばないの?」


そう問われ、萃香はこともなげに答える。


「なに。わしは先に行っておるでの」


次の瞬間、萃香の姿は霧のように掻き消えた。


「便利な能力だよなぁ……」


「まったくだわ。さ、行くわよ」


霊夢は流石に慣れている。


「へいへい。わーったよ」


「調整完了。いつでも行けるのぜ!」


箒にとり付けたミニ八卦炉の調整を終えた魔理沙が、元気良くそう叫ぶ。


こうして、鏡也達は人里へ向かうのだった。

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