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東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第一章 識鏡録
19/75

識鏡録 18 霊夢と魔理沙とプリシラと

この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

「ッ!?」


鍵を探していた霊夢は、突如気配を察知して全力で振り向いた。


飛び出して来た人影。霊夢は咄嗟に弾幕を撃ち込んだ。


「……!」


攻撃を難なく躱してのけた人影は、しかし動きを止めた。


「……その格好。博麗の巫女か。ここで何をしている?」


向かってくる者は問答無用で叩きのめす霊夢だが、相手の殺気が霧散したことを感じて追撃は延期し対話を試みる。


「強いて言うなら調査かしら? 怪しげな場所を見つけたものだから。そういう貴女はここで何をしているの?」


絶妙に影になっていて、相手の姿はハッキリとしない。声からして女だとは分かったが。


「……ここは私の家」


そうじゃないかとは思っていた。

だからこそ後暗い態度はとらず、あえて堂々としていたのだ。

博麗の巫女として当然のことをしているだけ。そう振る舞う。


「そう。ならちょうどいいわ。あの扉のむこうには何があるのかしら?」


「知る必要は無い」


「へえ? 後暗いところがあると言っているようなものね」


「…………」


人影は迷っているようだった。

一体何を迷っているのか……霊夢がそう思っていたその時だ。


「えっ!? 霊夢!? 侵入者って霊夢のことだったのぜ!?」


聞き慣れた声だった。

言わずもがな、霧雨魔理沙である。


「魔理沙……なの?」


「おう。こんなところで何してるのぜ? 霊夢」


「あんたを探してたのよ、バカ! 約束してたでしょ、今日!」


「あれ? 今日だったのぜ?」


とぼけたことを言う魔理沙に腹が立つが、今はそれより気になることがあった。


「はぁ……。それより魔理沙、そっちの人は知り合いなの?」


そう訪ねつつ、霊夢は戦闘態勢を解く。


「ああ、この人は……」


人影が前に出てくる。

黒い髪と碧眼に尖った耳と浅黒い肌。


「プリシラ=フィリシス・ユド=ゼフィリス。

(ダーク)エルフのハイエルフ」


そうプリシラは手短に挨拶する。


「エルフ……初めて見たわ……」


「……ジロジロ見るな」


「あっ……ごめんなさい。つい……」


思わず素で謝る霊夢。


「ま、なんでこんなところにいるのかは分からんが、ちょうどいいのぜ」


そういう魔理沙に、プリシラも頷く。


「どういうこと?」


小首をかしげる霊夢に、魔理沙が今日の出来事を語った。


「ふぅん……。たしかに、人里では赤子が行方不明になる事件が何件も起きているわ。命蓮寺の連中も手がかり一つ掴めてないみたいだし、単純な事件じゃない可能性はあるわね」


エレインについては、正直霊夢にはピンと来ない。

しかし、人里で起きている事件と関連している可能性は見過ごせなかった。


「でも、太古の英雄だっけ? そんなのがチンケな誘拐なんてするかしら……」


「無くはない。伝説の通りなら、エレインの自主性は無きに等しい。眼も耳も使えないから、言葉や物で釣るのは難しいはずだけど、不可能とは言いきれない」


「ふぅん……」


つまりエレインが主犯の可能性は無いが、従犯の可能性はあるということだ。


「伝えるべきことは伝えた」


これはつまりさっさと帰って調査して来いというプリシラの意思表示だったのだが……。


「私はまだ聞くべきことを聞いてないわよ」


封じられた扉のむこうに何が隠されているのか。それをまだ聞いていない。


「知りたければ大老にでも聞け」


大老とは、幻想郷の管理者達のことだ。

一般人が知ってるのは八雲紫(やくもゆかり)くらいのものだが、プリシラの知る限り、管理者は6人いる。

管理者には序列があり、No.1(ファースト)からNo.5(フィフス)までと、番外(ロストナンバー)がある。

番外(ロストナンバー)とは、博麗の巫女がしょっちゅう代替わりするために序列を付けるのが面倒になって作られた称号で、つまりは博麗の巫女の事であり、今は霊夢が番外(ロストナンバー)なのである。

そして大老とは、番外(ロストナンバー)以外の5人を指す俗称だ。

博麗の巫女とは違い、5人は幻想郷創設以来変わらないためにそう呼ばれているのだ。


「へぇ……。管理者達(あいつら)のことを知ってるのね」


プリシラはコクリと頷く。


No.2(セカンド)が誰かは知らない。No.4(フォース)とは会ったことない」


逆に言えば他の3人とは会ったことがあるということだ。


霊夢の知る限り、No.2(セカンド)は特別表に出たがらない性格だ。彼女ですら名前しか知らないくらいなのだ。

No.4(フォース)は極度の出不精なので、会ってなくても不思議ではない。


他の3人に会ったことがあり、管理者だと知っている。それが本当なら、むしろ管理者に協力する立場ということになる。

余計なトラブルを避けるため、管理者はNo.1(ファースト)の八雲紫以外は通常管理者だと名乗らないのだ。


だが、霊夢はまだ疑いを捨てない。


No.2(セカンド)以外の名前、言ってみなさいよ」


「まだ疑ってるのぜ?」


呆れ気味な様子の魔理沙を無視し、霊夢は精一杯鋭い視線を作ってプリシラを睨みつける。


No.1(ファースト)、八雲紫

No.3(サード)、伊吹萃香

No.4(フォース)上白沢慧忌(かみしらさわけいき)

No.5(フィフス)、レフィリア」


プリシラは気負うでもなく答えた。


「え!? 萃香って管理者だったのぜ!?」


「……あってるわ」


霊夢もここに来ては認めざるをえない。

プリシラは怪しい部分もあるが、だからと言ってゴリ押しすべき相手ではないようだった。


「へえー、あの萃香がねぇ……!」


魔理沙はさも意外と言わんばかりの反応である。


「萃香はかなり頭良いでしょ……」


不憫に思った霊夢は一応そうフォローを入れた。別に心にも無いことを言った訳では無い。萃香の技量や知識量は、バカに到達出来る領域では無いのだ。


「ま、そんなことより霊夢……」


魔理沙はサラッと流して霊夢に近づく。


「鏡也とはどうなのぜ? 少しは進展したのか?」


「なっ……いきなり何言い出すのよ!」


プリシラが小首をかしげる。


「キョウヤ? 何の話……?」


「1ヶ月くらい前から、博麗神社に居候してる男がいるんだよ。すっごいイケメンなんだぜ?」


「余計なことを言うんじゃないわよ。それに鏡也はまだ魔界での修行から帰って来てないわよ」


プリシラは小首をかしげる。

人間なのだと思っていたが、魔界の瘴気の中で普通の人間が生きていられるわけがない。

魔法の森の瘴気ですら、普通は耐えられないのだ。

霊夢は博麗の直系だし、魔理沙は半分魔術師の家系の血が流れている。

だとしても平然と瘴気に耐えてるのはおかしいくらいなのだ。

だとすると……


「……そのキョウヤ? どんな奴なの?」


「うーん。なんか記憶喪失らしくて、自分の名前も忘れてるくらいなんだぜ」


「そ。だから萃香が名付けたのよ。識神鏡也(しきじんきょうや)って__」


「ッ!?」


その瞬間、プリシラの霊波が大きく乱れた。


「なに!? どうしたのよ!?」


識神(しきじん)……鏡也(きょうや)……? 萃香様が、名付けたと言った!?」


それは滅多に声を荒らげることの無いプリシラとは思えない迫力だった。


「そ、そうだけど……なんなのよいきなり……」


霊夢は迫力に気圧されてたじろぐ。


「フゥゥゥ…………」


取り乱したと自覚したプリシラは深呼吸して乱れた霊波を整えた。


「会わせて。その男に」


迫力こそ収まったものの、気迫は変わらない。


「わ、わかったわよ……」


霊夢は思わず頷いてしまった。

幾度かの死線をくぐってきた霊夢を気迫だけで頷かせるあたり、やはりプリシラもただ者ではないだろう。


「でも、どうしてそんなに会いたいのぜ?」


「……それは会ってから。萃香様に話していいか相談する」


「ふぅん……。まあ、それはいいけど。いつ帰ってくるのかわからないのよ……」


それを聞いても、プリシラは諦めなかった。


「なら、帰って来るまで神社で泊めて」

4/8。最後の方増筆しました

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