識鏡録 14 戦闘後
この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
プリシラが動けなくなって3分程経った頃。
「おーい……。無事かー?」
恐る恐るではあったが、魔理沙が戻って来た。
「(いい判断。遅すぎず、早すぎない)」
戦闘音が消えてすぐでは、エレインに遭遇しかねない。かと言って遅すぎればプリシラが死んでいた場合の蘇生が間に合わなくなってしまう。
そう考えれば、3分はベストに近い。相手が盗賊なら戻るには早いが、エレインは明らかに別のたぐいだ。
死者の蘇生には、対象者の魂が絶対に必要になる。
しかし魂は死体から抜けていってしまう。
死後硬直がそのサインだ。
魂が抜け始めることで死後硬直が始まり、完全に抜け切ることで完全硬直する。
死後硬直に個人差があるのはこのためだ。
だが逆に言えば、完全硬直までなら蘇生は可能ということでもある。
3分は完全硬直のリスクと遭遇のリスクがちょうど交わるあたりなのだ。
プリシラの定まらない視界に、金髪と黒い魔女帽が映る。
「あれ……。これ、まさか死んでるのぜ……?」
そう言う声は軽かった。魔理沙はプリシラが死ぬとは全く思っていないのである。
何せプリシラは萃香が本気で褒めるような傑物なのだ。彼女が死ぬなんて現実感が無いにも程がある。
死んだフリでもしてるのだと思っているのだ。
「おいおい、いつまでやってるのぜ? バレてる死んだフリなんて寒いのぜ」
プリシラは数百年ぶりにムカついた。
「ほれほれ」
魔理沙はしゃがみこむと、かろうじてゆっくり瞬きはしているプリシラを覗き込み、ツンツン突き始めた。
「(………後でシメる……)」
身体が動かないので、今はどうしようもない。
「おかしい。特に怪我も無さそうなのに全然動かないのぜ……」
頬を少し斬られた以外は、特にプリシラに外傷は無い。
「…………う…………ご…………け…………な…………い……………」
なんとかそう口を動かすと、
「ん? もしかしてこれ、フリじゃないのぜ……?」
ようやく魔理沙は事に気付いた。
「ととと、とりあえずアリスのところに運ぶのぜ!」
急にあたふたし始める。魔理沙は自分のピンチには燃えてくるタイプだが、仲間のピンチには狼狽えてしまうところがあった。
「浮遊!」
プリシラを魔術で浮かせると、魔理沙は自分も箒に座って飛び上がる。
ポケットからミニ八卦炉を取り出して、箒の後ろにセットした。
「八卦炉・有効化!」
駆動音を響かせながら、ミニ八卦炉が起動する。
「空気障壁展開。加速点火術式ロード。システムオールグリーン。帽子も押さえた。いくのぜ! 魔術:アクセライグニッション 解放!!」
爆音と超加速。弾丸のような加速だ。それはそうだろう。加速点火術式は元々、銃弾を発射するために作られた術式なのだから。
どう考えても怪我人(?)を連れた状態で使う移動方法ではないが、焦っている魔理沙の頭にはそんな気遣いは残っていなかったのだ。
短めです。投稿頻度やや落ちます。