表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方二次創作【識神譚】  作者: 遊鑼鳴世
第一章 識鏡録
14/74

識鏡録 13 断絶の実力差

この作品は東方Project様の二次創作です。

※オリキャラ多数

※独自設定多数

※キャラ崩壊そこそこ

※投稿不定期

以上の点に注意してお楽しみ下さい。

「霊武技:閃空連斬・愛絶(あいぜつ)


「くっ……!」


エレインの強さは、プリシラの想像を超えていた。

2000年前の大戦時、プリシラは伊吹萃香が覇神ガイラシオラと死闘を繰り広げる光景を目の当たりにしている。それを思い出させる強さだった。

剣技では、明らかにあの二人すら超えている。


「これが求道者……」


清き魂、そして尽きぬ勇気と愛を持つ者だけが、勇者の資質を有する。

勇者とは因果であり概念であり秩序である。

そしてそれは求道者も同じだ。

清き魂と尽きぬ勇気を持つ者だけが、求道者の資質を有するのだ。

清き魂と尽きぬ愛を持つ者は聖者の資質を有する。それが女性であれば『聖女』と呼ばれることになる。


勇者、求道者、聖者。資質を持つ者は勇者が一番少ないが、資質を開花させて資格へと昇華させる者は求道者が一番少ない。それは何故か?


「これが、ただ一つを目指した者の強さ……」


開花するには、多くのものを切り捨てねばならないからだ。

例えば感情の一部などを。

それが真なる求道者になるための条件なのだ。

だから少ない。背負う覚悟より、捨てる覚悟の方が遥かに難しいのだ。


プリシラは次々と術式を展開していくが、彼女の展開速度をも超えて聖刀《振絶(ふるだち)》が閃く。


「閃空連斬・空絶(くうぜつ)


霊武技は闘包霊力……つまり闘気で練り固めた霊力を使う技術だ。霊術よりむしろ難易度は高い。

にも関わらず、この速度だ。

修練に費した時間の総量が違いすぎる。


「そろそろこちらから参りますよ」


「ッ!?」


積極的な攻撃は無い。あくまで迎撃だけ。そう思っていただけに、反撃に転じられて極わずかに隙が生じる。

それを見逃すエレインではなかった。


「閃空絶斬・身無枯(みながらし)


「カハッ!?」


すれ違いながらの一閃。そこまでは分かった。


「(どこを斬られた!? くっ……! 身体が動かない…………。術で…………なっ!? 霊力が……操れない……)」


霊力が操作出来なければ、魔術師生命は確実に終わる。積み上げてきた努力も何もかもが無駄になるのだ。

それに気付いて、老獪なプリシラも流石に平静ではいられなかった。


「安心して下さい。霊力と心幽体(アストラルボディ)を斬り離しただけです。じきに治ります」


そう言われて、プリシラは思い出した。

まだ幼き頃、親からおとぎ話として聞かされた哀しき求道者の伝説を。


伝説にいわく、愛する者のために神を殺すべく強さを求めた男がいた。

眼も耳も使えぬ己を愛してくれた愛しき人のために、男は強く強く求めた。

……そして、求め過ぎた。

古代人間族(エンシェンター)は混沌を司る超越神カラミアによって創り出された、未完にして無限の可能性を秘めた超位種族なのだ。

あまりに強く求めた彼は、求道者としての資質を開花させた。そして感情と記憶のほとんどを失ったのだ。

愛していたはずの人への感情も、共に過ごした記憶も。戦う理由すら忘れて、それでもなお強くなって神々を殺した、最初の大求道者。

限界の無い種族、追随を許さぬ成長の可能性。

それが悪い方向に出たと言えるだろう。

古代人は肉体も精神も心も、限界というものが無い。どこまででも成長出来てしまう。

他を捨て、求めるただ一つを高める求道者は、開花時に限界までポテンシャルを引き出す。

成長限界の無い古代人だと、捨てられる限り捨ててしまうのだ。


そうなって彼が手にした力は、あらゆる剣を扱いこなす能力だった。

一見地味だが、これは大きな可能性を秘めた能力だ。全能を秘めていると言われる神剣オルディバインをも扱いきれるかもしれないのである。


実際に彼が持つ刀は、全てを振るい絶つ聖刀《振絶(ふるだち)》。万物はおろか、空間すら絶ち斬る武器だ。

振絶(ふるだち)》という銘には、二つの意味があると伝わる。

振るい、絶ち斬るという意味と、振り切り、断ち切るという、精神的な意味の二つだ。

故に《振絶(ふるだち)》は霊術や権能の効果によるものすら斬れる。

魔理沙もプリシラも、生きているだけ幸運だった。


プリシラは改めて実感する。神世と神代の差を。

神世とは宇宙創造から人龍連合VS神族連合の聖戦が終了し、真龍族(ドラグーン)古代人間族(エンシェンター)のほとんどが宇宙を去るまでを指す。

神代とはその後の、神々同士が覇権をかけて眷族を率いて争った時代を指して言う。

人代は、争いを治めた宗神が神々のほとんどを神界に定住させてからを指す。


人は基本、古く長く生きている方が強い。

研鑽を積む時間が長いからだ。

特に老化の遅い上位種族や、老化しない超位種族にはその傾向が良く出る。

故に、プリシラがエレインに勝てないのは別におかしいことでは無い。むしろ自然だと言っていい。

それでも。


「(悔しい……)」


10万年生きようと、負ける悔しさは変わらない。負けることが減るだけだ。

エルフは誇り高い種族であり、プリシラもそれなりに高いプライドを持っている。

雑魚狩りと揶揄されようと、諦めずに研鑽を積むくらいには。

しかし、「次は負けない」と思える程度の格差ではなかった。

悔しいが、出直すしかない。

腐っていくマドリギダケを見ながら、プリシラはため息をこぼすのだった……。

難産気味。東方のキャラは沢山いる上に行動範囲が決まってるので結構出しにくい……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ