プロローグ
※この作品は東方Project様の二次創作です。
※オリキャラ多数
※独自設定多数
※キャラ崩壊そこそこ
※投稿不定期
以上の点に注意してお楽しみ下さい。
「……もはやこれまで……ね……」
神々をはじめ、ありとあらゆる種族が二つの陣営に別れて戦う絶望的な覇権戦争が起きているというのに、空は相変わらず空色だった。
戦争勃発前と違うのは、時々轟音と爆光と爆風とがどこからか飛んでくるくらいのこと。
一時染まることはあっても、すぐに元の空色に戻る。自然はどこまでも超然としていた。
しかし、その空の下で戦う者達はもはや限界だった。これ以上の戦争継続は無意味だ。
「でも、このままおめおめと滅びを待つわけにもいかないわよね」
一度ギュッと目を瞑り、覚悟を決める。
自分を犠牲にしてでも、主の血脈は守らなければならない。それが巫女たる者の務めだ。
それに自分には既に子供がいる。死んでも消えても、血は残る。主のために殉職した誇り高き巫女になった自分の血が。
「霊華!」
愛しい人の声に振り返る。
夫の顔を見ても、もはや決意は揺らがない。
「霊也。私、やるわ。ここに、仇なす者を阻む大結界を築くの。天神ですら封力誓約無しには越えられない壁を……!」
「……無茶だ、霊華……」
霊也から神の力を取り込んだ博麗霊華の術力なら、巨大結界というだけならなんとかなるだろう。
しかし天神すらも阻むとなれば、一人では不可能だ。
「……お願い。やらせて……!」
霊華の瞳からもはや揺るがぬ決意を読み取った霊也は、ゆっくりと霊華を抱きしめる。
「……わかった。僕もやろう」
「霊也……」
「霊華のいない世界に未練はないよ」
「で、でも……。子供達は……?」
「もう15だ。二人いれば生きていける。才能もあるから」
霊華と霊也の子供は双子だった。
「……霊優、霊臨を頼むわね。
霊臨、貴女に巫女の責務は任せるわ」
言霊に乗せ、最後の別れを告げる。
「さあ、はじめましょう」
「ああ。仇なす者、害なす者を阻む大結界を」
身体を一度離し、改めて手を繋ぐ。そうすると言ったわけではないのに、自然と行動は一致した。まるで数十年連れ添った夫婦のように。
「起源眼!!」「識神眼!!」
二人は揃って瞳力を解放した。
「「三千大千世界隔封大結界!!!」」