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3/6







title #2


"You're an elf, aren't you?"

"Wrong person]



[episode Part 3/6]



ウ~~~~~ウ~~~~

音のパターンから消防じゃなくて警察。ドップラー効果が離れていくので面倒事が遠くでと思ったがそのまま消音した。

「近場で事件かな。面倒な事にならなきゃいいけど」

止まったって事は現場はそこいらだって事だろう。

「なんかあったか?事件がありそうな」

「確か国立銀行があった筈です。あとも官庁街です」

お嬢がスマホで事態を調べると、なんかわからんが武装勢力による立てこもりらしい。

「今どき?イランの大使館や、ペルーの大使公邸か。はやらんだろう」

コンビニやファーストフードなら聞くが、銀行と成るとこの国じゃ10年に一度あるかないかぐらいじゃないかなと珍しいものに居合わせた偶然に・・・・・・困る。

「午後からの校外授業に行くはずのナントカ美術館はアッチだったわよね」

「多分通じてる国道は封鎖かな。地下鉄も臨時停車かも」

「今ならとっとと行った方が渋滞に巻き込まれないか。でも巻き込まれたらにっちもさっちも動かないからな」

「じゃあ犯人逮捕して落ち着いてから行く?」

遅れても責任は取らなくてもいいのでコレ幸いだとサボれる算段する。

「さんせ~」

「同上」

どうせ直ぐに解決と、思ったが現実は超人主人公登場アニメみたく、あっという間に解決にというわけにはいかなかった。事態は動かなかった。

「漫画とかアニメならすっ飛ばすシーンも現実はタイムラプス(早送り)してくれんな」

「そりゃそうだろう。人生は退屈だ」

姫が退屈は三人の中で一番苦手だと欠伸と伸びでふざける。

「人生95%は褻[け]の日 晴れは2%ですからね」

だから所詮人生暇潰しって言うらしい。

「間尺が合わんぞ。3%どこいった?」

「誤差を入れとかないと。遊びゼロで機械は壊れます」

「3%はガバガバだろう。特亜国ならともかく、ウチの国の工場で歩留まり3%出るとQC(品質管理)管理の首が飛ぶぞ」

「ある程度ガバガバな方が頑丈でいざって時も役に立つらしいが」

「ガバガバって男は嫌がるだろう」

会話に素っ頓狂な合いの手?が飛んできた。

「いきなりシモ話をブチ込むな」

そんな意味じゃ無いと言おうとしたが興がそげたので止める。



「なんかちょっと前に話題になった、モルモットの擬車化?アニメのコマ撮り特撮の撮影風景を見てる気分だな」

「なんだ、そりゃ」

慎重な日本警察で万全をきそうと、ライブカメラにはただ増え続ける警察車両が、時々なんか動いていると思うぐらいだ。

「風景が動かないって事よ。事態が推移するのがえらくじかんかかるみたい」

あのコマ撮りアニメじゃひと動作だけで数時間ぐらいかかったらしいので、それと同じならいつ終わるかわからんと退屈を予感してゲンナリする。

「ホットドッグを食いながら44マグナムでとっとと犯人撃ち殺す警官はいないのかね」

姫は鉄砲バンバンで直ぐに終わると思っていたらしいが、そんな展開はなかった。

「いないでしょうね。あんな対人に過剰な武器いくら犯人でも撃ったら査問会で吊し上げ食らうらしいから」

「犯罪者に人権なんかないだろう。とっとと撃てばいいんじゃない」

悪 即 斬 が座右の銘の姫がマジでそう言っている。そうできたらこの世は平和?だとため息をつくお嬢。

「まあ私も無いとは思うけど、それを言ったら身も蓋もないから一応あるって事になってるみたいよ」

「ナイフしか持ってない厨二病馬鹿のバス立て籠もりを15時間もかけるような国だからね。今回もなんか長くなりそうね」

「急ぎならそこの知り合いのビルにヘリポートありますから会社のを呼べますよ」

黒塗りハイヤーみたく、ハイヨー シルバー とばかりに直ぐに呼ぶ事が出来るらしい。

「ローン・レンジャーですか。お姉様幾つですか?」

やっぱり160歳説は・・・・・としたり顔。

「突っ込めるお嬢もだぞ」

じゃあお前はなんだ、豪血寺の若作り婆さんかと姫に突っ込む。

「それを指摘する姫様もですよ」

卓を囲む三人にはありえない野太い声に振り返る三人。

「あ!」

「ん」

「お」

最後のツッコミは黒服であった。

三人が、JK/JCの会話に割り込むな、お前が突っ込むなと言おうとしたが、顔が「駄目だこのJKら、なんとかしないと」って呆れられていたし、年齢的に敬わねばならんと突っ込まなかった。


「ま、まあいいけど美術館は山の中腹。ヘリポートなんかないだろう」

ヘリはどこでも着陸出来ると思いがちだが、着陸しないならいいが接地するのは非常時でも無い限りは許可申請が面倒くさい。非常時は後で面倒なのだが。

「ウインチ降下装置もあります」

「奇襲の空挺降下や、山岳遭難の救助じゃないんだから」

「お嬢は真面目に言ってるのは分かってるけど、どこまでをどうで、どこを笑えばいいんだ」

「ギャグ漫画で庶民と金持ちの生活ギャップを笑いに変えるってありがちパターンだけど、リアルだとマジだと笑えないな」


パーン

「ん。爆発かな?」

ビル群の壁から共鳴して破裂音が聞こえてきた。

「立てこもりで発砲って国内じゃ中々ないよ。め~ずらし」

アーカイブ映像を探したってこの国じゃ中々ないだろう。ライブ映像を見ていると、犯人は銃火器を持っていないようで、自爆?用の爆薬をデモンストレーションで爆発させたらしい。

「自爆テロってこれもウチの国じゃ中々見ないな」

「何にせよ、立て籠もりなら他人事だけど、爆発テロなら周りも他人事じゃないから、被害が及ぶかもしれんとなると午後の校外授業中止かな」

「展覧会楽しみでしたけど、致し方無いですね」

お嬢が残念がる。なんか会社のロビー用のゴッホを探しているらしい。ひまわりかよ。どこの損保会社だ。

「本当に楽しみにしていたの残念無念だよな」

姫がまったく気が乗らない風体で乗っかる。

「それにしちゃ喜んでません」

「そういや、喋れない美術館は肩が凝るって言っていたよな」

「だってよ、静かで喋っちゃいけないって言われると逆に大きな声で喋りたくなるだろう」

葬式で叫びたくなるようなもんだと嘯く。

「あなたぐらいでしょう。まあキ印な芸能人にはいるらしいけど」

どこの大西画伯か、蛭子先生かと素気ない言葉にお姉に同意を求めるが、同意見かもしれんが同類と思われるのが嫌でそっぽを向くと、裏切り者と怒っていた。


 プルプルプル

学校から状況を鑑み、現状待機のメールが来た。

天下の往来のここで?といいつつ、結構真面目だし、幸いコンビニの前なので食とシモだけは困ることは無いので時折なんか買って居座ることにした。

普段なら登下校の買い食いは禁止だが、今回に限り学校公認でもあったので、錦の御旗が嬉しくて三人は楽しくなっていた。

「まあ風も陽気も気持ちいいからいいバカンス気分だと思えば、命のボーナスタイムだな」

「眼の前が渋滞の道路じゃなければね」

「だな」

パー パパパパパ ビーンビーン

爆弾テロだと知れて、クラクションとエンジンのレーシング音が五月蝿くなる。

「ビルがあるんだから届かないって。気化爆弾だとヤバいけど」

「日本は平和ですから爆弾は怖いんでしょうね」

どこか他人事。流石に大企業のお嬢様だけに危機管理の押し込みはちゃんとしているようだ。

「お嬢はいいの?」

ボディガードがいつも就くぐらいのお嬢様だけに気をつかい、近場に止まるビースト(武装黒塗りリムジン)に入っておくかと聞く。車内空間は陽圧かけてるので中にいる限りBC兵器も大丈夫な筈だ。

「多分お姉様と一緒のほうがいいことありますから、ここでいいです」

言いながら二の腕に縋り付くので栓無く振りほどく。

「あるかな?」

「あるんじゃない?この間学校の行き遅れ担任ロト9繰越までで40億貰ったんだろう。あいつ競馬競輪パチンコラスベガスとスり続け人生で学校と社会首にされるか、自分で吊るって状況だったけど、姉さんの転校で担任になったとたん万馬券にジェックポットにイケメン彼氏ゲットに、今度は40億だぞ」

「人生終わってみればプラマイゼロだっていうから今までマイナスだったのが今になって帳尻があっただけで、偶然だろう」

周りにそんな偶然が続いたので、周りの連中は自分をフォーチュナー(幸星の人)にしたがるが、人一倍おかしな事に巻き込まれる事が多いので自分に幸運など無いと下場の評価に疑問を呈しているが誰も話を聞いてくれなくて困っている。

何しろ似た言葉が花柳界では所謂“アゲマン”なので、これでも乙女なのでシモな“マン”なんて蔑称は嬉しいワケがない。

大体がまだ使ってないから立証にならん。

「ですね」

お嬢も笑って同意する。

「お陰で担任辞表出して世界一周ハネムーンに行くのはいいが、引き継ぎもしないままだったんでクラス中てんやわんやだったんだぞ。あいつには幸運でもコッチはとばっちりで災厄だ」

周りがあげようが下げようがどうなろうと知ったことじゃないが、何故か嫌なおハチがコッチに回ってくるので、自分からすればどこが幸運な人だ。


「それは御災厄ですが、周りにとってはお姉様と同じどうでもいいんじゃないですか?」

「どういう事だ?」

「お姉様が多少泥を被っても自分が幸せになるなら目をつぶってくれって事です」

他人の不幸は蜜の味程は望まぬが、自分の蜜のためなら骨を折ってくれと願う。

「ひどいな」

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれなんて主義に反するのは先の事件でも分かるであろう。そんな事は立派な勇者様とかにお願いしたい。


大体自分はそんな星の元にいないってのとブー垂れる。この体躯に容姿だって遺伝子の嬉しい突然の贈り物だっていうが、贅沢な悩みじゃなく本当に厄介の種なんだ。無条件かつ積極的に喜んだことは無い。

「そうですか。ちょっとお借りします」

そう言って彼女のマジソンバッグを持ってコンビニに行くと、一番くじのデカい賞を持ち帰ってきた。

「ほら」

借りたバッグと一緒にラスイチで貰ったプレイズ商品を見せる。

「持ってるモノにすら幸運が宿るんだって評判ですよ。まあウチのオカルト研が面白おかしく吹聴していた戯れ頃ですけど、案外当たったません」

その実証が証明されたと胸をはる。俺らにないモノをはるなと、姫が不機嫌になる。なんか胸の事であったらしいが、立ち入ると色恋沙汰等に話が及ぶと面倒なので聞かない。

「違うと思うぞ。それ一番くじのラスイチだろう」

「ですか?」

今は昼前。

今どき朝売りきれない一番くじでラスイチが残ってるって事は人気な無いって事であるのだろう。更にラスイチなことは見れば分かるのに、誰も引かなかったので残っていたのはよっぽど人気が無いからだ。いわば誰も欲しがらない残り物余り物だから手に入ったので運は関係なくモノ好きに過ぎないが、そんな事は彼女も分かって言っているので面倒なのでそうしておいた。

「で、このぬいぐるみは・・・ワニ?」

ネタ元を知らんので聞くとトラックに引かれて死んだワニってあまり欲しくないぬいぐるみらしい。後頭部のワダチが痛々しい。

「なんだこりゃ。特級呪物じゃないのか?」

読んでないし、見てないのでわからんがあまり家に置いておきたくない。

「ワニが轢死って、何があったんだ」

熱川バナナ・ワニ園に暴走ダンプでも突っ込んだのか。

「それかこのワニ生前どっかの総裁だったのかな?」

それかトロッコ問題での切り捨てられた方かもしれん。

「しかしトラックで死亡って、このワニ姫が好きな異世界にでも転生するのかね」

きっとブランドのバッグに転生するんだろう。今の時代は自販機にも蜘蛛にも路傍の石や草にでもなれるんだからまだありそう?だ。

「ワニじゃ犬死にじゃない」

爬虫類の分際じゃ、異世界定番導入のブラック企業に務める事も問題のある学校で巻き込まれて転生/転移は出来そうにないだろう。

転生モノでお馴染み暇そうな女神様だって知らん異世界転生させるよりバッグにしたほうが良いと思うだろうし、神様だってキャバクラでお目当ての娘へのプレゼントにしたほうがいいと考えるだろう。

「止めよう。信じちゃいないけど、神様の事なんかくっちゃべってるとどこで狂信者が、おらの神様をばかにしただ って恨みをかうかもしれん」

「賢明だと思います」

二人で貝になろうとしたが、姫だけは違った。

「この間テレビでやっていたけど、宗教法人になると脱税仕放題だって本当か。どこに行けば売ってるんだ。やっぱ永田町かな?それか元町かな。それとも隣国?」

スパーン スパーン

「そのネタは止めろ」

姫を二人のハリセンが突っ込む。


「で、でで これどうしましょう?」

単なる実験で引いただけだったので、こんなワニ欲しくは無いので所在に困り、バッチいモノを持つように指でつまむ。

「昔鳥だって騙されて食わされたんでトラウマあるんで蕁麻疹が出そうだ。どっかやってくれ」

引いておきながら、縁起が悪いといらんからくれるらしいのでコッチもそんなインケツいらん。厄払いとばかりに善行をしようと募金オークションに出していいかと聞くと2人共にいらんらしいので写メで取ってオークションサイトで出すと結構いい値段で速攻落札したので黒服さんがコンビニから発送してくれる。

「ほらっ」

「だから、“ほらっ”ていわれても」

運がいいでしょうと、その証左だと言いたいらしい。相変わらずわたしに益は無かったんだけど。

「まあ困った人の助力になったかもしれんから、世のためには成ったかもしれんから運はヨイかもね」

あたしたちもゴミを捨てなくて、エコに気を使わなくて済むって意味で運はいいって事にした。



「まだ終わんないね」

どっかの格闘漫画みたく、使った尺にそぐわず現場は全く動かない。

「ナントカ武道大会とか、ナントカ闘技グランプリとか、ナントカ海賊王選手権じゃないんだから話をとっとと薦めてくれないから」

「本当に退屈だな」

「ですね。何を話をためてるんでしょう」

近場で事件が起こってるのに携帯でだべるのも、面白動画を見るのも身が入らないだろうし、友達といるのにネット視聴をするほど常識知らずじゃ無い。なんか差し障りのない話題を 話題を 話題があった。

「そういやコンビニのバイトが行ったようにこの世と異世界が繋がっているとしたら、その関係者とかが颯爽と ズバッと参上 ズバッと解決とかしてくれ無いかな」

中二病みたいな馬鹿な妄想だって言ってる方だって百も承知だと笑ってる。

「通りすがりのヒーローご登場かな」

時流の流行り的に勇者様か賢者様でもいいか。

「流しのヒーローね」

白いギターを背負った渡り鳥って奴だが、あまり上手くないない。新堀ギターで3日ぐらいで辞めたってレベルだ。ギターヒーローとは望まないが、もう少し人前で弾いて良いレベルまでなってこい。

「知ってるぞ。リベット打ちのGパン着込んだヤツね」

「金属アレルギーには大変そう。それに連中登場は高い場所が定番だから雷にも打たれそうで危ないわよ」

昇るのも降りるのも大変そうな高所で現れるギター持ったヒーロー。いくら悪の戦闘員には強くても、サンダーブレークを発するグレートマジンガーじゃないんだから雷には弱いだろう。

「ドッチも違うと思うけど。それに流しって、それはヒーローか?地方の居酒屋だってもういないだろう」

「ギターだったけ?アコーディオンじゃなかったか?」

「横漏良造さんじゃないんだから。それじゃ日曜昼ののど自慢が始まるわよ」

怪人が「1番 ショッカーからきました蜘蛛男 白い蜘蛛のように 歌います」とか歌いだしたら困るだろうと止める。

「そういいつつ、お姉様なんでアコーデオンを担ごうとしてるんですか?」

「うっ」

いつのまにかアコーデオンを持っていた。

パラパパパラ パァ♪

ドリフ定番のオチを弾いたが「オチてないよ」「オチてません」と二人は冷たかった。




「と とにかく ・・・・・・・・ なんだっけ?」

ボケが潰されてガックシきた動揺でドモルが、何とか無い威厳を取り戻そうとするが激しい。相当前後不覚でゲシュタルトも崩壊してる。

「異世界帰りの勇者様かなんかしらんのが事件を解決してくれないかな~ まででした」

「そうだった。そうだった」

確かに魔法かなんか知らんが異世界出戻り、都落ちがいたら、なんかすんごい能力あるってのが定番。

魔法でも剣技でもスタンドでも呪術でもチェーンソーでもなんでもいいからふんじばってくれれば助かる。

「疾風のように現れて疾風の様に去っていってくれますかね?」

「そういや、そうだね」

事件現場で勇者が現れたら、それはそれで騒ぎになるだろう。例え空でも飛ぶなり瞬間移動するなりしても、厄介事が凶悪犯から正体不明に移るだけで警官は事後処理するし周囲を調べる。マスコミだってとっとと帰社するとは思えない。

自分らの願いは立て籠もりの逮捕や確保じゃなく、あくまで渋滞の解消だから、よくわからん第三者が現れたら、更に事態がややこしくなるだろうから、ソイツは出てこられても役立たずって事になった。

力がなんでも解決するなんて、ぼくのかんがえたさいきょうのナニカは大抵非効率でシステマチックとは程遠いので収集にあたる人間にとっては迷惑以外に何者でもない。

「じゃあ勇者様はいりませんね」

「植木人志さんみたいに、お呼びでないと、いらんな」

「そうだな」

ニュース関係に続き、エンタメ関係が騒ぐと渋滞が更に酷くなるかもしれんので、じゃあ、通りすがりのヒーローはいらん事に決定した。



「ん?どうしたお嬢」

「なんかおかしなのが現場に現れてますよ」

タブレットを見ると、現場に変な連中がワラワラと涌いていてた。

「なんだ?スッパイマン 雲男 不思議ちゃん女にブリキ男 とかいるぞ」

赤いマントに全身青タイツの太ったおっさんらが警官と問答を繰り広げていた。

「あれは・・・・・・・・・・・なんだ」

事件現場で警官と仮装大賞の出演者が何やら揉めていた。

「菌ちゃんの仮装大賞が始まった・・・・・のかも」

「それか新作映画がコケまくってるんでプロモーション活動かもしれん」

どっちかが的確に状況を伝えていた。

「・・・・」

「・・」

「」

言葉は無く三人が事の推移を見守った。

「もしかしてだけど、姫が言っていた、通りすがりのヒーローじゃない?いわゆる厨二病の妄想的展開な」

「どういうこと?」

「馬鹿なんで授業についていけずに退屈で、暇つぶしに、正体不明のテロリストが学校を占拠して警察が手をこまねいている間に自分が颯爽と現れて 天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ 悪を倒せと俺を呼ぶっていいながら現れた勘違い じゃないでしょうか。特別な力なんか無いのに」

自分の頭を左巻きにクルクルしている。つまり狂ってる妄想狂だとの事だ。

「とっととトラックに轢かれておけば良かった連中って事」

「あんなの轢いたら加害者である運転手がとばっちりだろう」

最低でも免停は食らうし、下手すると交通刑務所。多分二度と大手の配送の仕事には付けない。それが大型だと免許取得だけで50万は元手がかかってるし、ニ種まで取っていれば人を轢き殺した運転手を雇う乗合自動車の会社はないだろう。

「学校じゃないけど、生徒じゃないけど社会悪が現れたから、すわ俺たちの出番だって頼まれもしないのに現れた連中が本職の警官と揉めているって光景を見せられてるってことか?」

「当たって無いことを祈るぜ」

自分の絵空事が現実化したことに、あいつらと自分は同程度かと嫌になったらしい姫が机につっぷしていた。



「えっと、それは置いといて ・・・・・ そう言えばあの店員が保護された場所じゃ、変な死体が上がったらしいぞ」

面倒臭いので、再びタブレットの伝える放送は見なかったことにして、話をもとに戻す。

「不審死ですか。服毒とか、銃撃を受けたとかですか」

「いや、単なる山での遭難・・・・多分滑落死。被害者はアニメ・漫画好き・・・・?」

「アニメ・漫画好きが山で滑落死って、それはク・・・・・」

姫にシーと口チャックを促すお嬢。

「言いたいことはわかりますが、そのネタは禁止です」

「ん・・・・・・・・だな。多分遭難したのは伐株山だろう、大分の」

大分伐株山はハイジのブランコがあるんで、アニメ好きなら納得することにした。


ただ死ななくてもいいだろうと思う。

「まじ不審死。そいつ十年近く引きこもりのニートであったのに、なんでか興味もなかった登山やって、観光地でもない誰もこない縁もゆかりも無い山で死んでるんだって」

死んだ山は一般的な観光地じゃないし、それが異世界へと続くゲートとやらのある近場であった。

「確かにそりゃ不審死だ」

「不審死ですね」

引きこもりが家で死んでいたら、パソコンに怪しい宗教・呪いサイトの履歴があろうが、持ってるだけで何とかポルノ法で捕まるような画像が写してあろうが、怪しいサイトからの脅迫めいた請求があろうが、部屋中丸めたティッシュが転がっていようが、一日二本が限度でそれ以上飲むと心臓麻痺で死ぬって分かっているドリンクの空き缶がうず高く積まれていて、毒殺の疑いがありそうな摂取量が体から検出されても自然死だ。

死因;アホ って診断書に書かれて。


しかしヲタクが大自然の中で死んだなら遺書があろうが、家族への感謝の手紙があろうが、余命いくばく無い診断書があろうが、線香を立ててあろうが、死に装束で頭に天冠(三角布)をして、両手を組んで天に召されたような格好だろうが不審死だ。

蝶ネクタイの小学生探偵やプロ野球球団に逃げられた施設関係者が、「なんか変だなと」つぶやく案件だろう。


「死んでまで、め~わくだな」

人は死んだらゴミになるっていうんだから?、山で死んだら不法投棄。だからゴミ処理場に持ち込んで、自然を汚さずに己等に相応しい場所で死んで欲しいもんだ。

「おまけに持っていた肥後の守(古来折小刀)が自分の左目貫いていたって。まあ、それは滑落したときに刺さったようで致命傷とは関係ないらしいが」

「なにそれ?確かにそれも不審ね。虫歯が痛いって、虫歯があるから痛いんだから無くなれば痛くなくなるって銃で亡き者にしようと撃った面白いやつがいたけど、痒かったのか知らんが、亡き者にしようとしたのか。それクラスと並ぶアホだな。まあ惜しい人を亡くしたとは全然思えないけど」

なんで漫画好きって記事にあると思ったら登山とは関係ないラノベやら漫画、DVDプレイヤーにアニメDVDが死ぬほどテントに持ち込まれていた。

「ソイツ、そんなモン背負って山まで登って何やってたんだ」

「キレイな大自然の中で一人でいたしたかったんでしょうか」

「きたねえもんで山を汚すな。山岳信仰を知らんのか」

野糞より嫌そうに突っぱねたい。

「テントに丸まったティッシュを調べて片付けて持って帰って捨てる現場のおまわりさんが不憫だ」

「確かにミステリーゾーンだわな。誰も興味引かれないんで、動画サイトで世界の不思議って事では検証されそうにないけど」

引きニートってわけわからんから、住む世界が一生違いたいとエンガチョって事で話は終わった。



ブルブルブル

「あらっ、やっぱり美術館臨時休業ですって」

スマホに電子回覧板が回ってきた。

「午後暇になったか」

現地解散の筈だったから多分このまま下校だろう。

「出かけます?多分直ぐに放校でしょう」

「放校ってお嬢、その使い方違ってないか?もう前学校のことは忘れさせてくれ」

放校とは退学の事だ。授業短縮での臨時休校や放課後とは違うのだ。学校から帰っていいって放課後とは激しく意味が違う。

「そうでしたっけ?」

「お前わざといってねえか」

前の学校はエルフ選手権?騒ぎで自主退学となった。

まあ勉学に勤しむ趣味はあまり無いので嬉しいが、学校に来るなと言われたからと言われても義務教育だからいかねばならんのだが、隣の校区あたりに転入しても同じ様に都会の狭い敷地に混み合った住宅街の校舎では問題の解決にならんと郊外のセキリティの良い私立に編入することになった。

まあプー太郎にならなくてよかったが、越境の私立であったので公立で自宅通学と違いとにかく金がかかる。

頑張れば自宅通学は可能であったが、月数万の定期代も痛いが、この容姿ですっかり厄介者扱いなのでJRと私鉄から勘弁してくれと言われてしまったので、新興ブルジョアが巣食うくっそ高い家賃を払う事になってしまった。

親元を離れるのは少し早まったぐらいだから気にしなかったが、家賃と学費のしわ寄せは日々の甘味に寄せられて、毎日朝夕の楽しみは2日に一度になってしまったのが辛かった。


「あと午後からゲリラ豪雨に雷注意報だって」

どこぞにお出かけって調べると、どうやら午後は雷雨にゲリラ豪雨らしい。

「雷様か。なんか嫌な予感がするな」

「なんだ?雷様コントでも始まるのか?」

姫の徒然な言を違うと無視する。

「映画星間戦争の不吉なフラグを立てないでください」

「おお、そうだな。気をつけよう」

いいつつキョロキョロと黒くなり始めた雲を見る。

「鳥が飛んでないな」

「鳥さんだって濡れるのも、電気焼き鳥は嫌だろう」

「だな」

鳥が飛ばないってのは西洋じゃ不吉の前兆なのだが、いきなり休みになった幸運に心が弾んでいるのに冷水はといわずに置いた。

「でもゲリラ豪雨は困るな。半額弁当買いに行くスーパーは雨で半額シール貼るから今から急がないと間に合わない」

「急ぎなら送りますけど、まだ犯人捕まってないから無理でしょうね」

あのリムジンなら数分渋滞のガソリン代で半額分が吹っ飛ぶのでコスパの甲斐が無いと断る。

「立て籠もりの事忘れていた。もういいから捕まれっての。出かけられないだろうが」

「確かになんかあったときにパリピだったなんて事になると黒歴史ですね」

「特のお前さんは将来の希望が公務員だろう。国家の一大事に遊び回っていたなんて知れると採用面談でバツが悪いだろうな」

「それはマジ困るな。人生コツコツが一番だからな」

将来は国が潰れない限り親方日の丸な国家公務員はリストラやら事業縮小の冷や飯ぐらいは多分無い。

お手当も手厚いし、選挙の時の手伝いなんて日曜出勤は痛いが、朝から晩まで体育館の隅でパイプ椅子に座ってれば一日で五万円ぐらい手当が出るとか聞いたので、どんな万難を排しても将来は国家公務員だ。

社食も恵まれてる民間よりも安くて美味いらしいし、保養施設も全国に完備されてるなんて一部上場だってそこまで手厚くない。

変な有名税の悪評は面談に困るので、日頃の阿呆のちょっかいにも相当我慢しているぐらいなのだから。まあお陰で物腰柔らかな森の人って人気がでてしまったが。

「お前さんなら女性タレントとかで女優とかの芸能人でやっていけるんじゃねえのか。まあ不安定だからいつ干されるか知らんが、短期で稼ぎまくって名を売ったら干された後もヨツベーで小銭稼いでいけるんじゃねえ」

「ギャンブル嫌い」

有名になるって弊害も一般人のウチにもう経験しているので煩わしい実情がわかった。一般人ってタガがある今ですらうざいのに、芸能人なんだから有名税なんて思われ、これ以上のスケールアップは結構。

「それも勿体ねえ。ホントか嘘か知らんが、良いか悪いかも知らんがなんか運は持ってるんだろう」

無条件な幸運じゃなくても、馬鹿とハサミは使いようって言葉みたく適材適所を考えれば類まれなる才だろう。

「一攫千金を狙うならウチに来てください。幸運な星の時はウチの方に来てもらって、不幸な星の時は敵方に潜り込んで不幸を撒き散らして貰って敵方には弱体化してもらいますから、幸不幸合わせて仕事は幾らでもあります」

「敵に不幸を撒き散らすって、ペストの遺体みたく、中世の攻城戦みたいに投げ入れるって事かよ」

自分はどんなB兵器扱いだと文句を言う。

「敵方の将クラスにVD(梅毒)持ちをあてがうよりマシでしょう」

「お嬢、生々しすぎるぞ」

梅毒の最後は最悪狂死だけに、抗生物質の無い時代は立派な暗殺術であった。

「あの親はお前に何を教えてるんだ?」

それを今どき知ってるお嬢の英才?教育が怖かった。

「うふ。金持ち、金座持ち(権力者)はそれだけで敵が多いんです。相手の攻撃手段を知らないと対策の立てようがありませんので」

「さいですか」


「まあ二人のありがた~いお誘いは・・・・」

空中の持っている何かを持ち上げて、脇に置くようなジェスチャーをする。有名な“置いといて”ポーズであった。これで話題転換を図ろうとしたが、そうは問屋が下ろさなかった。

「おいといて」

「おいといてだな」

さすがにツーカー?なだけにわかったらしい。

「で?」

「それで」

何やら連想ゲームが始まる。暇なんで乗る。

「両手を・・・・ 頭の上に乗せてコッチに向けた手のひらを開く・・」

「おまねこかな?。お前この前同人誌読んでいたよな」

ブンブン

「(# ゜Д゜)」

「違うみたいです」

その場で飛び跳ねる。

「ジャンプ ああ、うさぎだ」

「ああ、うさぎの耳だ」

「ンンン(^o^)」

「それでうさぎの?」

「うさぎの なんだ、蝶々か 違う 蝶じゃなくて ああ 蛾だ ああ当たった当たった」

「が うさぎが うさぎが 」

見てると手枕で横になる。

「横になった ああ、寝たんだ  」

「ん ん \(^o^)/」

「うさぎが 寝て  なんだ? なんかとんでる ブーン? か 蚊か? ああ、蚊 で 蚊で 目玉  ああ目玉じゃなくて めだまの上のほう? 目 めだ かとめで かめ うさぎとカメだ」

「んんんんん(*^^*)」

「まだ続くの うさぎとかめが・・・」

苦労の末、うさぎとかめが競争している間に待っていた仲間たちはBBQしてゴールの時は誰もいなかったってお題であった。


「ぜえ ぜえ ぜえ。なんで俺たちこんな事してたんだっけ」

頑丈が自慢の姫が肩で息をする。

「知らん。忘れた」

「なんで連想ゲームなんかしていたのかしら」

「・・・・・」

見ていた黒服が

「連想じゃなくて脱線ゲームだったからでは?」

と突っ込んだ。以外な場所からのオトシに突っ伏す。

「チャンちゃん」

口でジングルを鳴らして落とす。

「あんた芸能人がやっぱ向いてる」

キレイどころじゃなくて、お笑い芸人だが。

「それはわたしもそう思いました」

「やだ」

三人突っ伏してのびた。

のびながら思った。

文字だけで連想ゲームは無理だ と。





title #2


"You're an elf, aren't you?"

"Wrong person]



[episode Part 3/6]


end


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