エルフの方ですか? いえ、人違いです!
series
Is this another world?
I don't think so (personal opinion)
title #2
"You're an elf, aren't you?"
"Wrong person]
mikenemo make
[Part 1/6]
∬1∬
「違いますよ~」
頬と耳先がピクピクするのを抑えられない強張った笑顔?でにこやかな否定する。
キャピ キャピ
道路向こうを幼稚園か保育園の集団散歩の一団が彼女を見て、多分眉毛犬を見て驚き嬉しがるような調子で囃し立て黄色い声を上げていた。
止めなさい、人を指差すものじゃありませんと制す保母さん保父さんの言う事など何処吹く風だ。
「エルフだ」
「やっぱエルフだ~」
「エルフだ~~~~」
ピクピク
「ですから、違いますよ~~~~~お姉ちゃんは人間です~~」
震える頬に剛力招来なバフがかかる。
(こんな人通りの多い場所で叫ぶなガキども、目立つだろうが)
それが嫌がる自分を甚振る悪意なら道路を走ってるトラックを僕は死にましぇんって強引にでも止めて行き、例え柔らかい頭でも張り倒してやれるが、無垢?な善意だけに出来ない。
はっ倒してお里の下町の口喧嘩みたいに『てめえら 違うってんだろう。張り倒すぞ』も出来ない。
大声でどやしつけて泣かれでもしたら、泣く子と地頭には勝てぬように、更にあやしたり すかしたりして、怒ってる雰囲気を察して遠巻きにしている周囲が、すわ面白ろいものは近くばよって目に見よとばかりとなり、逃げられないように囲まれて更に泥沼だと、自分に ドー ドー とウマガールをいなすように自制する。
「まあ、オタクの姿みて、人間種だって思うほうがおかしいだろう。ゲームの種族選定画面で、オタクみたいな外観が出てきてヒューマンって表記出てきたらクレームの嵐だろう」
ゲーム好きの友人“姫”に友人?をクレーム対象に例えるなと睨む。
「悔しいが、言い返せない・・・・」
確かにこの姿は全年齢だろうが年齢制限ゲームだろうが、午前0時を回った後のアニメなどなら間違いなくそのような種族評価が正しかっただろう。
いわく種族名“エルフ”だと。
アニメやゲームなどと多少違うのは本来?は緑色染の天然素材な服なのに、今の彼女は石油製品の制服ジャケットにタータンチェックのブレザー姿。持っているものが弓で無くこれも天然素材では無く石油製品のマジソンバッグ。喋っているのがエルフ語?では無く江戸弁のイントネーションを含んでいる日本語であったぐらいだ。
「諦めたほうが宜しいと思いますわ、お姉様。彼らは事情を知らないんですからそう思われても仕方がありません」
姫の相棒である、こちらも負けずに誰が観てもお嬢様風体に“お嬢”が慰め?てくれる。
「ああ」
分かってるとばかりにため息をつく。
しかし小さかった事少し危ないヲタク連中に同じことを聞かれて、ヲタクの雰囲気が怖かったし臭かったので早く話題を切り上げたかったので曖昧な返事に終始し話を合わせた(合わせたつもりはない)たら、その日の内にネットで森の少女が帝都に現るって事になって、馬鹿騒ぎが始まって災厄の日々が始まってしまった。
(あれから曖昧な返事は事態をややこしくするって人生訓を学んだんだよな)
だからこの手の誤解だけは訂正しとかないと悪夢再びだと強迫観念で思うようになった。間違いは小さな内に訂正しないと、リカバリー不能になるんだと。
「大丈夫ですよ。あの手の子は多分寝て明日起きたら忘れてます」
「だといいがな」
三つ子の魂百までって揶揄する。
「しかしあいつら幼稚園児ぐらいだろう、ファンタジーゲームをするとは思えん。夜はちゃんと寝てるのか?」
頭をはりたい事を抜きにすればちょっと心配をする。夜更かしで寝不足は成長促進ホルモンの分泌にはなんちゃらかんちゃらであったからな。自分の場合は子供の時から日が暮れるとすぐにおネムで、起きるのは朝日が昇るまで寝ていたので成長しすぎたが・・・。
「エルフだ~~~」
「だ~か~ら~ 違うってんでしょうが~~~。あたしはこれでも5代続く江戸時代からの・・」
順序立てて出処を言い聞かせようと叫んだ瞬間、眼の前の道路に大型トラックのアルミコンテナが信号で停まった。
「・・・・」
アルミボディに某求職サイトの広告が乗っていた偶然に呆れる。
「この話はひょっとしてギャグで出来てるのかな?なんでわたしがエルフだって、さもありなんって展開だ」
ブルロロロロ
青信号で動いた時に道路向こうにいた園児らの姿は無くなっていた。思いは多分届かなかったようで、大声を上げた自分が馬鹿みたいで語るに落ちた。
「・・・・」
あの子達はこれからずっと自分をエルフだと思って暮らしていくんだと、苦虫を噛み潰した後ろから二人の歌声が聞こえた。
「は~しれ はしれ~♪ エルフの~トラック♪」
振り向くと笑いながら、唄うヘッドライトをコーラスしていた。
「どこ~までも♪ ど・・」
パン パン
二人の頭を意趣返し(八つ当たり)とばかりに張る。
「痛いよインディード」
「痛いです、インディード姉様」
「誰が求職サイトだ」
アルミボディにかかれていた広告の偶然をからかう二人。生憎よんでましたと、したり顔ではたく。
「求職サイトと有名キャラを混ぜるな。いや混じってないんだよなメーカーCIとしては・・・・・でも混じったような・・・・・まあいいけど」
「いいネタだったけどな。笑わせて貰ったし」
エルフと言えばのあの人名登場を運命なのだと笑う。運命には逆らえないと、これからはそう名乗って改名したらと薦めてくる。
先祖代々日本生まれの日本育ちにどんなDQNネームだ。悪魔ちゃんじゃないんだから、名乗っても対処に困り笑ってくれないだろう。クソ暑いか、くそ寒い時期の湾岸の科特隊みたいな所なら、笑ってくれるかもしれんが。
「そう言えば、歌の歌詞が少し間違っていた ようだけど・・・」
走れ 走れ エルフのトラック・・・・・・・ちょっとだけ違う。
「ちゃんとした歌詞で歌って良いのか?」
エルフの所をトラックメーカー名に戻して唄うぞと、ニヤニヤと意味深に笑う。
「いや、それは色んな意味で不味いから間違ってるのが正解だったな」
「そうですね。間違って歌わないと大変な事になります」
「ごめんなさい。社名に直さないでください」
何に負けたか知らんがガックリと肩を落とす。
ペロ ペロ
「今更だけど姉さん強運持ってるって言われてるけどさ~、小さく不幸だよね」
コンビニで三人今日新発売の季節限定アイスを頼んだが、彼女だけ違う味を食べていた。二人に先を譲ったのだが、運が悪いことに彼女の前で売り切れてしまった。
「一番楽しみにしていたのにね。ニヒヒ」
「悪いですわ、喜ぶなんて。うふふ」
「ぶ~」
オレンジ色のソフトアイスを舐めながらちょっと意地悪く口を開く姫は、今どきいねえよってタイプのスケバンみたいなJKで、多分舐めてるコーンディップアイスより、風船ガム膨らましたほうが似合いそうだ。
「不幸ね?なんか自分じゃそう思ったけど無いけど、なんでか皆はそう言うよね」
自分が強運でも不幸でもあまり気にしない。そんな事を自身で口にするなんてロクな人間じゃないと実家の婆ちゃんに言われた。
若いもんがそんなモンに心の安息を求めるなんて、自分の心を腐らせるって言われて口にはしないと自重していた。そんなことばかり言ってるDKがどっかに居たような気がするが、アレはどうなんだろ。そんな愚痴を言う男子は女子に辛気臭いって思われるとか聞いたので持てないんではなかろうか?。
「おみくじを引いても吉以上は出た記憶無い。福引の回転ガラガラでもいいところウエットティッシュってヤングドーナッツか、きなこ棒が食べたかってボヤいていたもんな」
福引で望むのがヤングドーナッツかきなこ棒なんて、普段の境遇が不幸すぎるだろうと憐れむ。
「大きなお世話だ。人生山あり谷あり、涙の後には虹も出るだろう」
「でも姉さんの前後で大吉とか引いてる人いるし、ガラガラでも前後で特等引いたヒトもみるだろう」
「確かに回りに懸賞よく当たるやつがいるよな」
「もう少し早くか遅くかだったら良かったかもしれませんのに、まるで前後賞の無い宝くじの前後賞コレクターですね」
「絶対王者がいるスポーツ競技でトップには立てないシルバーやブロンズコレクターみたいに言うんじゃない。憐れまれてるようで気が落ちる」
ほしかった懸賞景品があると一緒に出した人間が当たり、フォーチュンクッキーは自分だけ入れ忘れられていた。
名物限定羊羹を買おうと朝早くから並んだのに自分の前で売り切れ、半額になった日替わり弁当が目の間で売り切れで仕方無しに値引きなしの弁当で会計が終わったと同時に半額シールが張ってあったお目当て弁当が補充され、舞浜デゼニーランドのライドアトレクションでは自分の前で次をお待ちくださいで戻ってくる途中に不具合があったらしく運行中止で、別のライドにお回りくださいとなって最前列だったの他に回るには今度は最後尾であったので折角並んだ時間が丸々お釈迦。
まあ殘念賞で送られたボールペンが有名アイドルのレアモノで、クッキーのおみくじ紙が某国製で製紙に有害物質が使われていた事が発覚したり、半額弁当の揚げ物に賞味期限切れの食材が使われていた。ライドアトラクションのマシンの油が摩擦熱で燃えて乗っていた客の服が焦げ臭がついてしまって、羊羹が売り切れたのが可哀想だったと、形が崩れたワケアリどら焼きを箱で貰って買い出しのお駄賃を減らさずに甘味を手にできた。その意味では強運で少し運が悪いかもしれない。
「いや、それは神か魔女の救いの見えざる手があるんじゃねえか」
ソッチの方が運が良いって事になった。
「・・・・」
「・・」
笑っていた二人が顔を見合わせて、自分のアイスはあげないが少し舐めてくれと差し出す。
「なんで?」
「だって」
「ですよね」
先例によると、彼女が関わらない時はおかしな成分や不幸が降りかかるって事だ。
なら巻き込んだら自分たちは助かるって理屈だ。
「それだけか?何か他意が有るようだけど」
「なんでもないぞ」
「それだけだです」
「ん?まあ良いわ。食ってみたかったんだ」
バカ息子環境大臣肝いりの使い捨て紙スプーンを出して二人のアイスをすくって食べると、おあずけされていたので美味かったが、言う通りにしたのに何故か残念がる二人であった。
「?」
ペロリ ペロリ
一口ずつ食べたが、予想に違わず美味かったので、先っちょだけで逃げした魚は大きかったと後悔が首をもたげる。
「なんで今回も一番楽しみにしていたあたしの前で売り切れよ」
二人は今日発売の新作味を舐めていたが、実は最後の一個を巻いていた店員が最後の一個を落とした。
当然床を舐めるなんてドッカの若手女優じゃないんだから力なく愛想笑いで、じゃあと定番蜜柑を頼み『おいしいよね。定番だもん』と強がりを言った。
確かに自分定番なので美味しいが逃した魚は大きいので味は三割減だろう。
「まあ、今回は運ってより姉さんが悪いんだけど」
「なんで?」
アイス玉を落としたのはあたしのせいだと言う。
なんでもあのコンビニ定員はアニオタで有名で、コンビニ限定のアニメプライズ一番くじをインターセプトするために親にコンビニを開いてもらい、毎回お目当ては店に出す前に狙い撃ちで引いていたらしい。
しかしオーナー権限で部外者が横槍強奪すると示しがつかん&オーナーの息子がニートだと評判悪いし、税金対策も兼ねて店員をやっているらしい。当然接客態度は悪く手際も良くない。だから落としたのであろうが。
「大丈夫か?あの店」
店の心配する筋合いは無いが、客の心配はした。
絶対あの店で出来合いアイスは、あの店員の寝転んだ跡やコロンの匂いがついてるようで絶対買いたくない。
「流石にアイスボックス寝っ転がりは無いだろうけど、店員が一番くじを横取りってだけで問題あるような」
大手のボッタクリ商売だと分かっているので三人は一番くじには手を出さないが、重賞が当たらないと決まっているくじを引かされる客はたまらんだろうな。自分は引かないからいいが。
「あれっ、姫何やってんの?」
姫と呼ばれたJKがスマホで、お代官様申し上げますカキコをして「これは誅伐である 悪 即 斬」と笑っていた。
お前寿司屋の妖怪醤油舐めも通報しなかったかと突っ込む。
「潰れるぞあのコンビニ・・・・ってお嬢も」
お嬢と呼ばれたJKが、いつのまに側にいたんだって黒服黒メガネでガタイの良いボディガードが差し出した盗聴防止のミリ波通信機で連絡を取っていた。
「天が呼ぶ 地が呼ぶ コンプラが呼ぶ 悪を倒せと、本部を呼・・・・んでください」
言われた黒服がFCの本部を呼び出していた。
コッチは掲示板のカキコじゃなくて、コンビニ本部の上の上に通報しているらしい。
「お前ら怖い。下手すると今の時代じゃ首くくるぞ」
「お姉様のアイスを落とすなんて万死に値します。まあ、それは冗談ですけど公正だとの懸賞で不正なんて許せませんから、そ~れ お仕置き“だべ~~~”です うふふ」
ドクロベーの声色は全く似てないけど、可愛いからいいか
一応
「あらほら さっさ~」
と乗って敬礼しておく手に汗をかいていた。
続く
シリーズ
「ここは異世界ですか?」
「違うと思います(個人の感想です)」
お題 2つ目
「エルフの方ですよね?」
「人違いです]
書人 三毛ネモ
[6の1]
over