彼氏が出来たお馴染みにキスしたらえらいことになった
ファーストキスはレモン味なんて言うが、私は味なんて感じなかった。
まぁ当然だ。
やけくそに唇を奪っただけなのだから。
「彼氏ができたの」
ある日、幼馴染みの苺花が嬉しそうに言う。
最近、一緒にいることが少なく、隣のクラスの男子と仲が良くなっていたのは分かっていた。
苺花は可愛い。クラスの女子からも猫可愛がりされるほどで、クラスのマスコット的な存在だ。
当然のごとく苺花に興味ある男子は山ほどいたが、苺花が私から離れてるときはほぼ存在せず、私が睨みを効かせていたので、 今まで男子とそういう関係になったことは無いはずだ。
にもかかわらず、いつ、仲を深めたのか⋯。
「ごめんね?今日は用事があるの」
いつも一緒にいるが縛りたいわけではない。知らない男子からの誘いなどならば、必ず苺花は私を呼ぶ。
「帰ったらいつもみたいにお邪魔していい?」
人間は常に在るものに対して無いことを想像できないものだ。
無くなってからそれに気づく。
どれほど自分の中で大きかったかを。
少しずつ苺花との時間が減っていく。
その度に、苺花の事を考える時間が増えていく。
そんな自分が嫌になる。
苺花の為に色々していたのに、気がついたら私が苺花といる為になっていた。
うそでしょ?私達女同士なのに⋯。
好き。
幼馴染みとしてではない。
女として好き。
loveなのか。
「どうしたの?」
今日も「用事」とやらを済ませて夜になってから来た苺花。
ぱっちりとした目、ぷるぷるな唇、私より大きい胸とお尻。
loveだと認識してから目に毒でしかない。
ふわふわな苺花の身体。
触れてみたい。味わってみたい。
―でもそれは私のモノではない―
「⋯え?」
もう彼女はここに来るべきではない。
私などいなくとも、彼氏とやらが守ってくれるだろう。
「私の事、嫌い?」
は?
「私の事が嫌いならそう言って?」
言えるわけがない。
「私は⋯好き⋯だよ?だから一緒にいたいの」
幼馴染みとしてだろう?分かっている。
まともに顔を見る気も起きない。
「お願い。教えて?」
身体が勝手に動く。
苺花の顔を上げさせる。
「えっ、あっ」
さっと目を閉じた苺花に私は唇を奪った。
「んっ⋯」
男はオオカミ。
そう私が苺花に教えていたのに、気がついたら私がオオカミじゃないか。
笑えないな、全く。
なんて呑気な事をこの時は考えていた。
「ファーストキスの味⋯分かんなかった⋯」
オオカミは結局なにも守れないらしい。
「ね、もっかい、して?」
⋯は?
⋯え?
苺花が完全にキス待ち顔してる。
好きな人の可愛いキス待ち顔に逆らえず、吸い寄せられるように唇を重ねてしまう。
「んっ、んっ、ぷはっ⋯はぁ⋯はぁ⋯えへへ、気持ちいいね、キス」
どういうことなの。
キスしてしまっている私も私だが。
「それで?私の事はキスしたくなるぐらい好きってことで良いのかな?」
可愛い上目遣いで聞いてくるがそれどころではない。
「え?スマホ?⋯あっ!?」
苺花がテーブルの上に置いてあるスマホにメッセージが来ている。
内容は。
[彼女の様子はどう?嫉妬してくれてる?]
「え、えっとね?これは、あはは⋯」
嫉妬?したよ?凄く!
オオカミになってしまうほどにね!
「だ、だって!こうでもしなきゃ意識してくれないと思って⋯」
なんだったのだここ数日の私の葛藤は。
「あ、のね?えっと⋯騙しててごめんなさい。彼氏なんていません⋯」
どうしてくれよう、この感じ。
「えっと、お詫びに⋯私、を⋯た、食べちゃう?」
こちらを上目遣いで見つつ、しゅるりと外れる胸元のリボン。
今の私はオオカミだ。餌から誘われたらどうしようもない。
そう、どうしようもないのだ。
しかし、あれだな。
彼氏が出来たのお馴染みにキスしたらえらいことになった。
え?内容がスカスカ?重要なシーンが描写されてない?
妄想で補ってください。




