下界の落ちこぼれ
「本条!また最下位か、やる気あんのか?!」
数学科教室にて、先生と生徒が向かい合って座っていた。
国立魔法学校高等部の数学科教師、石井 大智は、教卓にチョークを叩きつけた。
「俺はやる気ないなんて一回も言ってないっすよ。」
「何言ってんだ?!お前の成績がものを言ってるんだよ!真面目にやれ!本条朔夜ぁ!」
「俺が成績を上げたって、センセーに得があるわけではないでしょ?それともなぁに?自分の評価を上げるためですか?汚い大人ですねぇ。」
「っ?!貴様ぁーーー!」
「じゃあ、失礼しますねー。ああ、言い忘れていた。何をどう頑張っても俺は自分の成績を上げる気はないので。まあ、下げる気もないですけど。」
「お前の成績が下がるわけがないだろうが!底辺がっ、口だけ回しやがって!下界の落ちこぼれがっ!」
「センセー、仮にも教師ならお言葉遣いにはお気をつけて下さい。」
本条と呼ばれた生徒は、教室のドアから廊下に出た。
本条朔夜、序列258/258位。
国立魔法学校高等部1年E組。
得意魔法なし。
得意教科なし。
得意武術なし。
何もなし。
異名「下界の落ちこぼれ」