表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の魂  作者: 米木パン
9/22

第8話:特訓

(そこだ、エルホープ。振れッ!)


「はいッ!」


 あれから数日後。毎日稽古をして来た彼は、遂に熊すら楽に倒せるようになった。

 今こそニエルの指示に従って戦っているが、もし、一人で戦うとしても、彼は勇敢に熊と渡り合う事が出来るだろう。


(……やはり、強い。いや、強くなる。この子は、私よりも……。)


「……それは、少し過大評価が過ぎると思うけど……。」


 エルホープはポリポリと頬を掻いた。更に、恥ずかしそうに少し顔を赤くしている。


(いや、そんな事は無い。現に、君は幼い頃の私よりもずっと成長速度が速い。それに、君が私よりも強くなるのは、自然の摂理なのだ。)


「自然の……摂理?」


 エルホープは何を言っているのか分からない……とでも言わんばかりに、首を傾げている。


(要するに、勝手にそうなる物だと言う事だ。強い獣人の子供はその強さを受け継いでくる。稽古を続ければ、やがて親を越えれる程に。世の中はそういう風に出来ていて、だからこそ獣人は世代を追うごとに強くなっていく。)


 発明によって、突発的に強くなるのが人間。そして、鍛錬を繰り返し、徐々に強くなるのが獣人である。

 この2種族は、この法則によって、時に敗れ、時に勝利して、均衡を保ってきた。


「そう……なんだ……。」


(うむ……。)


 ニエルはコクリと頷いた。その動作はエルホープからは見えないが、彼も、何となくは察したらしい。


「それなら……頑張るよッ! 強くなって、一刻も早くお母さん達の無念を晴らさなきゃ!」


(……正直……戦いに出て欲しくは無いのだ……。)


 ニエルはエルホープには自己防衛の技術だけを身に着けて、生き延びて欲しかった。

 人間との戦いという危険に、身を投じて欲しくはなかった。


「でも……良いの……?」


 エルホープの問いがどういう物なのか、ニエルには分かっていた。分かっていて、答えるのに少し間が空いてしまった。


(……構わない。)


 エルホープはニエルの考えている事が分かる。その為、ニエルがどう抑えようとしても抑え切れぬ、人間への憎悪がエルホープには聴こえてしまう。


 自分が妻を殺して、喰らったのだという絶望。愚かにも人間に操られ、自分の家族を殺してしまった無念。

 そして、その要因となるあの博士と指揮官に対する憎悪に、エルホープは気付いている。


 だからこそ、せめてもの救いとして、獣人達の仇を討ちたいと、エルホープは考えたのだ。

 しかし、それはニエルに一蹴されてしまった。とても、容認できる物ではないと。


(君が気にする必要はない。私の復讐は、私が行う。)


 彼自身、どう行うかは思いついていない。しかし、それでも我が子に行わせるという考えはまるで無かった。


「……うん、分かった。」


 エルホープが素直に頷いてくれた事に、ニエルは内心ホッ、とした。


(よし、それでは行くぞ。まず、素振り200回!)


「はいッ!」


 話も程々に、2人は早速、稽古を再開した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ