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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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㊼白銀の絆

「……あ。起きましたか? 拓夢様」


 うっすら目を開けると、ノエルが心配そうに顔をのぞき込んでいた。

 

「ノエルさん……いたたっ! いたっ!」


 意識が覚醒すると共に、背中と腰に激痛が走った。

 段々と思い出してくる。木刀を持ったノエルに追われて。階段から滑り落ちたのだ。


「……安静にしていてください。もう追いかけたりしませんから」


 痛みに悶絶(もんぜつ)する拓夢に、ノエルは優しく暖かな言葉をかけた。


「ここは……?」


「私の部屋ですよ。あの後倒れた拓夢様を、ここまで運んできたんです」


 拓夢は部屋を見渡す。

 先ほど衝撃を受けた、あの内装のままだった。

 十二畳ほどの洋室。広々とした室内には、見事なまでに拓夢の写真で埋め尽くされていた。

 寝ている時の写真、授業へ向かう時の写真、食事中の写真……全く気づいていない様子から、よほど小さいカメラで盗撮されたのだろう。まるで熱烈なアイドルオタクのような部屋に、拓夢は恥ずかしさすら覚えた。


「思い出した……。僕、ノエルさんに追いかけられて、階段から落ちたんだった」


「腰とお尻を特に強く打ってるみたいですけど、軽い捻挫(ねんざ)と打撲くらいだと思います。骨折の心配はなさそうですが、明日になったら医療チームに見てもらいましょう」


「でも、頭は打ってないみたいですよ。よかった。これ以上おバカにならないで済みそうです」


 拓夢の冗談に、ノエルは「ふふっ……」とうっすらと微笑みを浮かべた。いつもの冷淡な笑みではない、柔和な笑みだ。


 その表情を見て、拓夢は言った。


「やっぱりノエルさんは、そうやって笑ってる方が可愛いですよ。あの時(・・・)みたいに」


「拓夢様……」


 ノエルは驚愕した様子で拓夢の顔をマジマジと見た。


「思い出して……くれたんですか?」


「はい……ごめんなさい。今まで忘れていて」


 拓夢は寝返りを打ちながら、何とか上半身だけベッドから体を起こす。


「でも、やっと全部思い出せましたよ。いやだなあ、言ってくれればよかったのに。雰囲気とか全然違うから、思い出すのに時間……が……」


 そうやって起き上がりながらノエルの顔を見た時、拓夢は驚きの声をあげた。


「な……!?」


 白い頬を朱に染めて、整った目頭の間からポタポタと涙を垂らしている。


「え? ノエルさん?」


 あらためて彼女の名を呼ぶが、ノエルは激しく嗚咽(おえつ)を漏らしながら泣き続けているので、返事もできない。


 ここまでくれば、拓夢にももう分かっていた。

 彼女との間に、言葉はいらない。

 だから。


「時間はかかっちゃったけど……また会えて嬉しいよ。ノエル」


 ノエルさん、といつも呼んでいた彼女のことを、呼び捨てにするのは初めてのことだった。すると、


「う、う、う……うわああああああああああああああああああああんっ!」


 ノエルが叫び声を上げながら拓夢に抱きついてきた。

 抱擁(ほうよう)なんて優しいものではない。拓夢の背中や腰に手を回し、スタイルのいい体を、つがいの小鳥のように押し付け抱きしめてきた。

 当然、むち打ちを打ってる拓夢は、女性アレルギーも相まって悶絶(もんぜつ)する。


「ぎゃああああああああっ! ノ、ノエル! 落ち着いて!」


「うわあああん! 拓夢様ぁ! だぐむざまあああああああ!!」


 号泣するノエルに骨がきしむほど熱く抱きしめられ、拓夢の意識は再び闇の奥へと吸い込まれるのであった……

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― 新着の感想 ―
[一言] 本性が明らかになった途端、別人のようにキャラ変わりましたなw(・∀・)
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