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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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㉘イメチェンしたのに、なんですかその態度

「城岡様ですわー! 城岡様がいらっしゃいましたわー!」


「キャー! 城岡先輩、こっち向いてー!」


「はあ……」


 放課後。拓夢はため息をつきながら廊下を歩いていた。この世の苦労を一身に背負ったような暗い顔をして。

 桜のアイディアでイメチェンして以来、拓夢人気はますます酷くなる一方だ。聞いたところによると、ファンクラブまで出来たらしい。何のファンなのか? 何をするクラブなのか? まったくもって謎だらけである。


「はあ……」


「城岡様がため息をつかれてますわー!」


「あぁ……物憂げな表情、何て素敵ですの……」


「城岡様の吐かれた吐息を、わたくし吸いたいですわ!!」


「う……キモい」


 一年生も、二年生も、三年生も、みんなで集まって拓夢を取り囲んでいる。最近はいつもこうなのだ。授業中は流石に大人しくしているが、休み時間に入ると、こうして拓夢の元に寄ってくる。放課後になるともう、アイドルの追っかけのごとく集まってくるのだ。いまだに拓夢は自分にそんな価値があるのかと、不思議でならない。


「そう思いません? 僕なんかの為に集まってもらったって、何の意味もないと思いません?」


 拓夢はそう隣を歩く女子に聞いてみたが、返事は散々だった。


「きゃああああああああああっ! し、城岡様から話しかけられてしましたわああっ! 今日は、わたくしにとっての記念日ですううううっ!」


 実にファンクラブ会員っぽいリアクションだ。拓夢には経験のないことなのだが、もしファンが熱狂的な推しメンから話しかけられたら、こういうリアクションになるのだろう。まあ……女性アレルギーを持つ自分には縁のない話ではあるが。


 それにしても、逐一自分の行く先々で付きまとわれて、いちいち大声できゃあきゃあ叫ばれるのは、正直面倒ではある。まあ、好意を持たれて悪い気はしない。それに女子生徒に人気があることは、庶民特待生としては喜ばしいことだと言えるだろう。


 これで女性アレルギーさえなければなあ……と三回目のため息をつきたくなるのを抑えつつ。

 拓夢はギャラリーに向かって爽やかに笑顔を作った。


「すみませんが、僕今から家に帰るところなんです。ですから、そこを通してもらえませんか?」


 ――キャアアアアアアアアアアアアアア!!


 拓夢がそう言うなり、一際大きな叫び声が廊下中に響き渡った。

 

「嫌ですわー! 城岡様がお帰りになられるなんてえええええ!」


「それでしたら、わたくしと一緒に下校いたしましょう!」


「せめて、昇降口の前だけでも!」


「げっ!」


 女子生徒たちが騒ぎ出したので、拓夢は慌てて逃げ出した。

 あれだけの数のお嬢様から抱きつかれでもしたら、本当に死んでしまう!

 拓夢としてはそれは嫌なので、とにかく廊下を全力で走る!


「お待ちになってー! 拓夢さまー!」


「くっ、やはり城岡様に説得は通用しませんわ! こうなったら我が家の権力と財力を駆使して、城岡様を監禁するしか……」


 ――怖い怖い! 拓夢は手足を振るスピードを最大限に早めた。

 箱入り娘のお嬢様と拓夢では走るスピードに差があるので、拓夢は何とかギャラリーたちを振り払うことに成功した。


 三年生が使う教室の階まで来たところだった。

 一人の女子生徒と廊下ですれ違ったのは。


「城岡さん? ちょっと待ってください」


「はい……? どちら様ですか……?」


「どちら様……? 何を言ってるんですか貴方は……」


 そこにいたのは、緑色のサラサラなロングヘア―をなびかせた、崇高な美少女。

 彫りの深い顔立ちに、切れ長の鋭い瞳。つまり……。


「れ、冷条院さん!?」


「しーっ。廊下で大きな声を出さないように」


 口元に指を当てながら怒る百合江だが、拓夢が気づかなかったのには、わけがある。

 今日の彼女は、メガネをしているのだった。


「どうしたんですか、冷条院さん。そのメガネは?」


「記憶障害ですか? 貴方が昨日、私にはメガネが似合うと強く推してきたんじゃないですか」


「あ、ああ……いや、すみません! あまりにも似合いすぎてて、逆に気づかなかったというか!」


「それはどうでしょうね。メガネをかけただけで私と気づかないということは、普段から私に対する印象がその程度だったと思いますけど?」


「う……」


「……と。イジめるのはここまでにしておきます」


 百合江はふうっと息を一つついて、


「それよりも。城岡さんに大事なお話があるんです。よろしければ、生徒会まで来て頂けませんか?」


「大事な、話?」


 拓夢は百合江の話を聞き返した。


「何かあったんですか?」


 すると百合江は、困ったようにメガネの奥の瞳を右往左往させながら、


「ええ……。大問題が起きました。なので至急、来ていただきたいのです。よろしいでしょうか?」


 と、上目遣いに尋ねてきた。あの百合江がここまで頭を抱えるというのは、よっぽどのことなのだろう。まあ、何かあったら頼ってくださいと言ったのは自分だし、何より困っている百合江からの頼みを、無下にするわけにはいかない。


「分かりました。冷条院さん。僕に出来ることなら、何でも言ってください」


 拓夢が微笑みながらそう言うと、百合江は顔を赤く染め上げた。


「そ、そうですか。まあ、別に城岡さんの手助けを期待していたわけではないのですけどね。話だけでも聞いてみてください。あ、勘違いしないでくださいね? 私は別に、城岡さんに断られなかったことに、ホッとしているわけではなくて、そもそも……」


「……あの。感謝してるならしてるで、素直に言ったらどうですか?」


「そ、そうですね、すみません」


 拓夢がツッコミを入れると、百合江は申し訳なさそうに頭を下げるのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [気になる点] ヒロインがいっぱいいすぎて入れ替わり立ち替わりだから覚え切れない;; 人物紹介ほしいかも;; [一言] >「そう思いません? 僕なんかの為に集まっても…
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