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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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㉗チームTK

「協力してくださいっ! 『くるみお嬢様化計画』に!」


 甘ったるいチョコレートの匂いをまき散らしながら、くるみは拓夢に向かってそう叫んだ。

 一方で拓夢は、何だかよく分からないといった表情で、くるみを見つめていた。


「その顔は城岡先輩、いまいちピーンと来てない感じですね?」


 くるみは拓夢の視線に感づき、ジト目をぶつけながらそう言った。


「い、いえ。ていうか姫乃咲さん。まだお嬢様になるの、諦めてなかったんですね」


「当り前です。くるみはそう簡単に諦める女の子じゃないです♪」


 ちっちっちと、得意げに指を振るくるみに向かって、拓夢は疑問を投げかける。


「でも、何でボクなんですか? 本物のお嬢様になりたいんだったら、真莉亜さんにでも習えばいいじゃないですか」


「真莉亜お姉さまではダメなんです。ここは城岡先輩じゃないと」


「僕?」


 不思議そうな表情をする拓夢に対し、くるみは両手をバッと広げて説明した。


「くるみにとって、真莉亜お姉さまはあくまで目標なんです! その真莉亜お姉さまに頼ったって、お姉さまの劣化コピーになるだけじゃないですかっ!」


 天高く空を見上げながら、握りこぶしを作り、


「だから、城岡先輩なんですっ! 先輩は、あの真莉亜お姉さまから告白されたじゃないですかっ! 城岡先輩は、お嬢様ハンターと呼ぶにふさわしいです! だから、くるみのコーチは城岡先輩が適任なんですうっ!」


 火事になりそうなほど瞳を燃え上がらせ、力説するくるみ。

 それよりも、拓夢にとって引っかかる点があったが。


「えっと……もしかして。真莉亜さんって、僕に告白したこと、みんなに喋ってるんですか?」


 拓夢が尋ねると、くるみは何を言ってるんだとばかりな視線を向ける。


「そうですよぅ! もう学園中、その噂で持ち切りです! 新聞部が緊急号外を発行してますし、セレブ界ではトップニュースに上がってるくらいなんです!」


 ……まあ、告白されたのは事実だが。

 しかし、拓夢は危惧していた。これで真莉亜を慕う女性たちから、嫉妬の目を向けられることだろう。真莉亜には口止めしておくべきだったかと、頭を悩ませていると、


「……城岡先輩。お願いしますよぉ」


 拓夢が考え込んでいると、くるみが目を潤ませながらお願いしてきた。


「ひ、姫乃咲さん?」


 拓夢はビックリして思わず席を立ちあがりかけた。

 くるみの手は震えていて、その瞳からは光る雫……つまり、


「くるみには、城岡先輩しか頼れる人がいないんです。こんなことをお願い出来る人が、くるみにはいないんです。だからどうか、くるみを助けてください」


 くるみは、ポロポロと涙を流していた。

 

「……」


 拓夢は苦笑した。

 何も難しく考える必要はない。 

 引き受ける理由は、これだけで十分なのだから。


「えーっと、一応言っておきますけど、僕には女心とかよく分かりませんよ? ファッションのセンスとかもないですし、お嬢様のマナーにも詳しくないです。それでも……よければ」



「ほ、本当ですか!? 城岡先輩!!」


 ……と、くるみは先ほどまでの涙はどこへやら、急に顔をパアッと明るくすると、拓夢の顔を覗き込んで叫んだ。


「ああ……神様は、くるみを見捨てたりしなかったですね。というか、城岡先輩こそが神です! お礼に、イチゴをあげるです!」


 と、くるみはパフェに乗っていたイチゴを一つだけフォークで刺すと、拓夢の皿の上にちょこんと乗せた。


「あはは……ありがとうございます」


 しかし、泣かれるよりはずっといい。くるみには涙より、笑顔の方がよく似合うのだ。

「よーく味わって食べるですよお?」と胸を張るその姿は小憎らしいが、それすらも微笑ましく思える。


「あっ、そうだっ! そうと決まったら、こんな他人行儀な話し方はダメですぅ!」


 くるみはハッと何かを思いついたような顔で叫んだ。

 まあ、話し方に関しては四天使全員おかしいが。その中でも、くるみはまだ一年生なのだ。もう慣れたこととはいえ、先輩である拓夢が敬語を使うのは、確かにおかしい。


「ということで、これからはくるみのこと、『くるみちゃん』って呼んでいいです。言っておきますけど、男の子にこんな呼び方するの、先輩が初めてですからねぇ? ありがたく思うですよお!?」


 ナイスアイディアだ、とばかりにくるみはドヤ顔で提案した。

 先ほどくるみの笑顔は素敵だと言ったばかりだが、この笑顔には流石の拓夢も少しだけイラッときたのだった。


「その代わり、くるみも先輩のこと、『拓夢先輩』って呼ぶです! これから長い付き合いになるですから、お互いに遠慮はなしですっ!」


「は、はは……。よろしく頼むね、くるみちゃん」


「はいです! 拓夢先輩♡♡♡♡」


 ……とはいうものの、やっぱり機嫌が良い時のくるみは可愛いので、それでよしとする。

 それに何だかんだで、庶民同好会のメンバーと仲良くなれるのは嬉しい。拓夢はくるみとこれからの予定を話し合いながら、昼食を終えるのであった。

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[気になる点] >しかし、拓夢は危惧していた。これで真莉亜を狙う男たちから、嫉妬の目を向けられることだろう お嬢様学校なのに?
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