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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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㉔桜VS真莉亜!

 一時間目の授業が終わって中休み。拓夢は資料室に、授業で使った歴史の教材をしまいに廊下を歩いているのだった。

 なぜ生徒である拓夢がそんなことをしているのかというと、小テストで赤点を取った罰なのだ。


「それにしても重いなあ……。地理の授業なんかなかったのに、世界地図まで入ってるよ」


 拓夢がトボトボと歩きながら愚痴を漏らしていた、その時……。


「あああああぁぁぁぁあああああ~~っ! 拓夢くんだぁぁあああああああああああああああぁぁぁッッ!!」


 突然大声で名前を叫ばれ、拓夢はドキッとして後ろを振り向いた。

 見ると桜が、大好きなお菓子を前にした子供のように、ニッコニコ顔で立っていた。

 何がそんなに嬉しいんだろうか……と思うほど、無邪気で楽しそうな笑顔である。その理由は拓夢自身にあるのだが、鈍感な拓夢は気づかなかった。


 桜は、拓夢の前に一歩進んで、


「どうしたの? そんな重そうな荷物を一人で運んで。もしかして、イジメに合ってる?」


 桜が心配そうに拓夢の顔を覗き込む。


「ち、ちがいますよ。社会の先生に頼まれたんです。ほら、男子学生って、僕だけでしょ?」


 そーなんだ、と桜は拓夢の言葉に相槌を打った。

 そして、


「じゃあ、わたしも手伝うよッ!」


 といって、拓夢の荷物を半分受け取った。桜からすれば、愛しい拓夢のお手伝いが出来ることは、何よりの幸福なのだろう。拓夢からしてみれば、罰を受けたのは自業自得なので、桜を巻き込むことには申し訳なさしか感じないが。


「すみません桜さん。持ってもらっちゃって」


「ぜーんぜん、大丈夫だよおおおおおおおおおおぉぉぉおおおお~~ッ」


 桜は満面の笑顔で答えた。


 あれから何回か断った後、寂しそうな顔をして、最終的には泣きそうになった桜に根負けして、拓夢は手伝いをお願いした。桜はいつだって自分を助けてくれる。自分に好意を持つより前、つまり初対面の時でも。つまり桜という人間は、困っている人を放っておけない、優しい女の子なのだ。それなのに、自分はその手伝いを拒んで……。


 そんなことを考えながら二人で階段を降り、一階へ向かっている時だった。


「あ、真莉亜ちゃんだっ!!」

 

 先頭を歩く桜が、階段を上がろうとしている真莉亜を見つけ、声をかける。


「あら……? 桜さん。それに、拓夢さま……」


 真莉亜は拓夢を見た途端に、白い頬をポッと赤く染めた。綺麗だ……。拓夢は思わず、その表情に見とれてしまった。以前から美しかったが、告白されてからは本当にまぶしいくらい綺麗になった。本当にこんな人が自分に告白してくれたのだろうか。もしかしたら、あれは夢だったのではないだろうか……。


 そうやって拓夢が自問自答していると、


「お二人とも、どうしましたの? そのお荷物は」


 真莉亜は、拓夢と桜が持つ教材に目をやりながら尋ねた。少しだけ上がった眉尻に、二人の関係性に対する嫉妬がうかがえる。


「歴史の先生に頼まれたんだって! 拓夢くん一人だと大変そうだから、未来のフィアンセであるわたしが手伝ってあげてるのッ!」


「そうでしたか……では、わたくしもお手伝いいたしましょうか?」


 真莉亜は優雅な微笑みを携えながら答えるが、上がっていた眉尻がさらに二ミリほど上がった。お淑やかなふるまいを崩さない真莉亜にしては、異常な事態だ。


 それだけ、桜の発言が真莉亜の心に火をつけたということなのだろう。


「ううん。二人だけで間に合ってるから、大丈夫だよッ!」


「そうですね。それに真莉亜さんは、昨日激しく頭を打ったんですし。無理しない方がいいですよ?」


「いいえ、わたくしなら大丈夫ですわ。それに、わたくしも拓夢さまのお手伝いをしたいですもの♡♡」


 真莉亜は、語尾にハートマークがつくほど甘く、そして可愛らしく言った。そんな真莉愛を、桜はきょとんと見ていた。真莉亜にしては、珍しいほど強引な申し出だったからだ。


 とにもかくにも、三人はそれぞれに荷物を抱えて、社会科資料室へと向かうのであった。

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