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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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㉑想い、ついにぶつけて

 次に真莉亜が目を覚ました時、最初に目に映ったのは、保健室の天井であった。


「真莉亜さん……大丈夫ですか?」


「拓夢さま……」


 そう言うと、真莉亜はベッドの上から、視線だけを拓夢に向けた。保険医に寄ると、軽い頭部打撲らしい。小さめのたんこぶが出来てはいるが、1~2週間で腫れも引くレベルだそうだ。


「頭痛くないですか? 先生に行って、何か冷やすものでも持ってきましょうか?」


「……いいえ。わたくしは、平気ですわ」


「そうですか」


 だったら、飲み物でも用意した方がいいかな?

 それとも、軽く何か食べるものでも……。

 考え込んでる間に、真莉亜は布団から顔を出してくる。

 平気だとは言うが、顔がボーッとしている。


「すみません……ケガさせちゃって」


 拓夢は頭を下げた。自分があんな勝負を受けなければ、真莉亜がケガをすることもなかったのだ。そう考えると、どうしても申し訳ない気持ちになってくる。


 しかし、真莉亜はきょとんとしながら、


「どうして、拓夢さまが謝るんですの?」


「だって、危険な勝負を受けてしまった以上、僕にも責任があります。幸い、大したケガじゃありませんでしたけど……もしかしたら、重傷につながっていたかもしれない。そう考えると……」


「心配してくださるのは嬉しいのですけれども、わたくしから持ち掛けた勝負ですのよ? いわば自業自得ですわ」


「でも……」


「それに」


 真莉亜は、拓夢の言葉を遮って言った。

 アーチェリー対決で敗北して以来、無性に拓夢のことが気になっていたこと。

 婚約者との結婚が、急に嫌になったこと。

 婚約破棄をすると家に迷惑をかけると、一人悩んでいたこと。


「ですから、謝るのはわたくしの方です。わたくしの都合で、拓夢さまに大分無理をさせてしまいました」


 ベッドから起き上がると真莉亜は、申し訳なさそうに頭を下げた。

 そして、顔を上げると、


「拓夢さま。約束を、覚えていらっしゃいますか?」


「はい。僕が勝ったら、真莉亜さんと婚約するって約束ですよね」


「……わ、わたくし。約束は守りますわ。有栖川の子女として、一度果たした約束をたがえることなど、死んでもしません」


 頬を赤らめながら主張する真莉亜。しかし拓夢は、真莉亜の責任感に同情していた。


「いえ、そんなこと気にしなくていいですよ。真莉亜さんも、つい興奮して言ってしまったようですし。僕もこんなことで、真莉亜さんを自分のものにしようだなんて、思っていません」


 笑って励まそうとする拓夢だったが、反対に真莉亜は顔をしかめた。


「こんな……こと?」


「でも、婚約自体は破棄した方がいいですよ。真莉亜さんに、あんな人はふさわしくないですし。何でしたら、真莉亜さんに良い人が見つかるように、僕も精一杯サポートしますよ」


「わたくしの結婚を……サポート……」


「そうです。真莉亜さんは僕の大事な『お友だち』ですからね。僕に出来ることなら、何でもお手伝いしますよ」


「……で、くださいっ」


 真莉亜は小さく呟きを漏らしながら、ぎゅっと布団を握りしめた。


「はい? 何か言いました?」


「――どうして、分かってくださらないのですか!!」


 真莉亜は顔を上げて叫んだ。瞳を赤くし、整った顔をゆがめながら。


「わたくし、本当は貴方のことを諦めるつもりでいたんです! 勝負に勝てば、吹っ切ることが出来るだろうと! 想いを断ち切ることが出来るだろうと! でも、出来なかった……! わたくしには、出来なかったんです……っ!」


「真莉亜……さん?」


 手を伸ばしかけて、拓夢は気づいた。

 彼女が握りしめていた布団が、震えていたことを。そしてシーツの上に、ポタポタと水滴が落ちていたことを。


 拓夢が息を呑んでいると、真莉亜は赤い顔を向け、


「……わたくし、貴方のことが好きなんです!!」


 大粒の涙を流しながら、そう叫ぶのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [一言] とりあえず話を整理すると「政略結婚をしなければならない。本心ではしたくないけど家の都合で仕方が無いし代わりになる男性もいない。ところがそこに拓夢という本心から…
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