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庶民特待生となった僕は、名門学園に通う美少女達から愛されまくる!  作者: 寝坊助
第2章 築かれるハーレム! 拓夢様はわたくしのモノですわ!
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⑳真莉亜を抱きかかえ、走る拓夢。~真莉亜さんは僕が絶対助けるんだ!!

「真莉亜さ――――――――んっ!」


 思慮など持ってのほかで、拓夢は大空に響き渡るほどに叫んだ。

 後のことなど、構っている余裕はなかった。


 拓夢はいても立ってもいられず、(くら)から飛び降りた。

 フローレンスも成り行きを分かっていたようで、すでに動きを止めている。

 そして自分より後方にいる、真莉亜の元へと駆け寄る。


「真莉亜さん……無事でいてくれ」


 必死な思いで呟きながら、ひた走り。

 真莉亜の元まで辿りついた時だった。


「あああっ!」


 拓夢は倒れた彼女を見て、思わず声を上げた。

 真莉亜の額からは、一筋の血が流れていたのだ。


「真莉亜さんっ、大丈夫ですか!?」


 女性アレルギーのことなど気にも止めずに、拓夢は少女を抱きかかえた。

 必死で叫ぶが、返事はない。

 意識を無くしているのか、すでに、死……


「そんなこと、させないっ!」


 拓夢は真莉亜の体を、強く抱きしめた。

 

 その瞬間、拓夢は自分の無謀さを思い知った。


「ぐうっ……! 震えが……」


 絶世の美少女である真莉亜を抱きしめたことで、女性アレルギーが強く反応してしまったのだ。

 クラクラする。全身から汗が滲み出て、意識も朦朧(もうろう)としだす。

 拓夢は、自分自身を殴りつけたい気持ちにかられた。

 こんなことなら、クロスカントリー対決なんて受けるんじゃなかった。こうなることは、十分に予想できた。それなのに、自分は……。


 しかし今は、そんなことを反省してる場合ではなかった。腕の中にいる真莉亜が、か細くではあるが呼吸をしていることが分かったのだ。しかし、このままでは危ない。何が何でも、医者に見せないと!


「僕が……っ、僕がっ! 助けるんだっ!」


 真莉亜を抱えて立ち上がろうするが、体中にじんましんが走り、思わず膝をついてしまう。

 

「……っ!」


 拓夢は、唇を強く噛みしめた。切れた口の端から血がボタボタと零れ落ちるが、そんなことはお構いなしだ。意を決して、もう一度真莉亜を抱えて立ちあがったその時、

 

「拓夢くんっ!」


「えっ?」


 後ろから、桜が息を切らして駆け寄ってきた。


「大丈夫ぅぅぅうううううっ!? 真莉亜ちゃんはぁぁああああああ!?」


「真莉亜お姉さまはどうなされたのですか!? もしかして、頭を打たれたのですか!?」


 少し遅れて、取り巻きの女子生徒達も追いついてきた。


「……キャー! 真莉亜ちゃん、頭から血を流してる―――――っ!」


「早く救急車を、救急車を呼ばなくてはっ!」


 桜も取り巻き達も、取り乱したまま慌てて叫ぶ。


「病院が、近くにあるんですか!?」


 拓夢は女子生徒達に向けて怒鳴った。思わず語気が強くなってしまったが、そんなことを気にしている余裕はない。


「えっ……く、車でも、ここからだと一時間以上はかかったような……。えと、三十分だったかしら……?」


「どっちですか! ていうか、場所はどこなんですか!?」


「そ、それは、わたくしには……」


「もういいですっ! 少なくとも、すぐ近くには病院はないんですねっ? それなら、直接行った方が早いっ!」


 真莉亜の体の感触や、甘い匂いに触発されて、拓夢はどんどん意識が薄れていた。

 しかし、拓夢はもはやそんなことすら忘れていた。考えていることはただ一つ。

 真莉亜を助けたい。ただそれだけである。


「はぁ、は……ぁ」


 真莉亜の口から漏れる苦しそうな呼吸が、胸を締め付ける。

 頼む、死なないでくれ!

 拓夢が心から願った、その時だった。

 それまで目を白黒させていた桜が、拓夢と女子生徒との間に、割って入った。


「拓夢くんっ! わざわざ病院まで行かなくても、保健室に連れていけばいいじゃないっ! ベッドもあるし、学校医や看護師も常勤しているよっ!」


「保健室までの道はっ!?」


「ここをまっすぐ行って校舎に入って、昇降口まで行ったら、すぐ左に曲がって! 大きな体育館が見えるはずだから、そこを右! 色々教室があるはずだけど、大きく『Nurse's office』って書いてあるからっ!」


「ありがとうございますっ、桜さんっ!」


 桜に礼を言うと、拓夢は真莉亜を抱えたまま、校舎に向かって走り出したのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です! [気になる点] 真莉亜はどんな体勢で、どんな風に落ちたんだろう? [一言] プロレスでよくあるノーコンテスト。 ま、前に書いた通りどっちが勝ってもメリットないからこう…
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